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A-1H スカイレーダー(イタレリ 1/48)の製作

by 田口博通


お化け屋敷?に突入 怖がらないで

 今回取り上げる、イタレリの48 スカイレーダー。といっても ピンとこない方も多いと思う。
何を隠そう、もともとはエッシーからA-1H,AD-6として、40年前に発売されていたもの。後年AMTアーテルからAD-4Wとしてバージョンを変えて再発売されていたものの オリジナル単座版というほうが わかりやすいだろう。 90年代には 入手困難になっていたが、その金型が、まわりまわって 21世紀になり、イタレリブランドから再発売されたものだった。
 イタレリ48新製品かと、勇んで購入したのだが、箱を開けてみると 残念でした↓  しかたなく、押入れに直行していたものを思い出し、作ってみた。
 
 80年代に、モノグラムから決定版が発売され、98年にタミヤから全面スジボリのだめ押し決定版が発売されるに至り、見向きもされなくなったエッシー(現イタレリ)48である。
「出来が今三つ、苦労を買っただけ」の噂が先行し、怖がって誰も作らない典型的なお化け屋敷プラモデルの一つといえよう。
 商業誌ではまず、取り上げられるはずもなく、今回、初めて完成作品と製作レポートを目にする読者も多いのではないだろうか。


実機は

 実機の詳しい解説はWM2010年5月号 A-1H スカイレーダー (ハセガワ 1/72) にあるので、そちらをを参照ください。
 空軍では海軍から移管された機体に、射出シートと 通信アンテナを装備し、使用していた
頑丈な機体に更に、小火器用の防弾板を機体下面とコクピット側面に追加し、ベトコン攻撃や、墜落パイロットの救出作戦に多用されている。兵装はロケット弾、ナパームなど多彩。

イタレリ(エッシー)のキットは

 基本的な形状を修正するのは 大工事となるため、あきらめたほうよい。できる限りストレートに製作することにした。タミヤやモノグラムの決定版が別にあるのだから、ここは オリジナルキットの持ち味そのもので製作するのが正解だと思ったからである。
 完成作品の写真から判断いただきたいが、全体の形状には大きな破綻は無いと思える。

1) 組み立て上 気になった点だが、まず どうしようもないのが、エンジンカウリングの直径が小さく、長すぎな点。このため、機首のブルドックらしさが薄れ、スマートになっている。また、開口部も小さい。ここを修正しようとすると 切った貼ったの大工事となろう。

2) 翼の後縁が厚い。翼の断面形状がヘルダイバーか、アベンジャーという風情で、層流翼という感じがしない。 翼断面を修正することは無理なので、翼後縁だけ外側から幅広の金工ヤスリで大胆に削り、薄くしてみた。これだけでもかなり印象が違ってくる。

3) 主翼の翼端形状だが、厚すぎ、後部が丸すぎなので、翼幅が短くなるのを承知でヤスリで少しフラットに直してみたが、満足な形状にはできなかった。

4) プロペラが前後逆に、シャフトがついている。このため、4枚のプロペラを切り離し、0.5mmの金属線を仕込んで、180度回転させ、再接着してつじつまをあわしている。 

5) 胴体左右がAD-4Wとコンバーチブルだったため、別パネルとなっているが、胴体と 面一にならないので、パテ修正が必要だった。 
 左右エアブレーキ前の補強パネルはプラ板で追加した。


 コクピット内は 簡単だがバスタブ型の部品がついている。シート形状には疑問もあるが、そのまま使用し、シートベルトだけ鉛板を細く切って追加している。左右コンパートメントはデカールが付属。 ヘッドレスト後部のキャンバスをマスキングテープで自作し、キャノピー可動レールをシンチュウ線で追加すると、それなりに見られるようになると思う。





 胴体下面の防弾パネルはごっついモールドとなっていて、かえってこの方が実感があって、よろしい。下面エアブレーキは0.5mmのプラ板を形状に切って貼りつけてみた。
 主脚庫内には 一応桁を模したモールドがついている。


塗装

 全面をサーフェーサーで下塗りした後、スジボリとリベット打ちを 行った。
サーフェーサーを塗った上だと エンピツの下書きがしやすい。細く切った透明プラ板を定規に、スジボリを入れていく。一部、スジボリがよれて曲がっているが、ご愛嬌ということでご容赦を。リベット打ちは リベットルーラーを使ったので、あっという間に終わった。最後に2000番くらいのペーパーで軽く表面を均して、歯ブラシでスジに残ったカスをとり、布で磨いておこう。

塗装は、キットデカールを使い、ベトナム迷彩とした。
塗料はおなじみの Mrカラー特色、No311 下面グレーFS36622
No310上面ブラウンFS30219, No.303グリーンFS34102,No309ダークグリーンFS34079
を使った。フリーハンドで吹き付けている。
下面は パネルラインの場所に先にダークグレーを吹いておき、それを残すようにパネル内にホワイトグレーを吹いて、陰影を強調している。
充分に乾燥後、油彩のローアンバーをハンブロールシンナーで溶き、WASHINGし、舵などの可動部には濃い目の同色油彩を面相筆で入れ、強調しておいた。
これでぼっとしたベトナム迷彩に少し、メリハリがついたように思える。
デカールを貼った後、3色迷彩ツヤの統一とデカールの保護を兼ねて、つやけしクリアを全面に吹いておくと、バッチリ完了。




完成へ

 小物は、下面バーアンテナをシンチュウ線で自作。胴体上アンテナ類は写真を見ながら形を整え接着し、黒、グレーなどで塗っておいた。着艦フックも白黒のマダラ模様である。
アクセントとなる垂直尾翼上端のライトは、シンチュウパイプと透明プラランナーを組み合わせ、透明REDで塗って取り付けた。
主脚はブレーキパイプもモールドされていて、このラフなキットの部品の中では出色の出来で、そのまま使った。
主翼機銃は、シンチュウパイプの組み合わせで自作した方がよい。
武装は、キットの部品をオリーブドラブに塗って 適当に取り付けた。

好みで、排気管からの油ヨゴレを派手に書き込んでみてもよい。(筆者は清潔なモデルにしたかったため、行っていない。)

以上でベトナム線で活躍したスカイレーダー”エイブルドッグ”が完成。
決して悪くない、結構 いい雰囲気の佇まいだと思うのですが、いかがでしょうか?



 噂で怖がって人がよりつかないモデルは正に”できたもの勝ち”である。
果たして、このイタレリ(エッシー)のスカイレーダーは日本で何機完成したことだろうか?おそらく10本の指に満たないだろう。 今回、光栄にもそのお仲間に加われたはずである。

完成品にはスタイルなど おかしな点があっても、それなりに愛着がわく。他人の評論など どうでもよい?ではないか。
情報を集め、評価が定まったキットに群がって作るのもよいが、人が寄り付かないお化け屋敷に踏み入って 作ってみる。これも、プラモデル作りの醍醐味の一つ。
あなたも 一つ、ゴーストバスターのお仲間に! 




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