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F-106A (ハセガワ 1/72)の製作

by 厚木の助さん

 

 ご無沙汰しております。厚木の助です。USAF特集に合わせて、ハセガワのF106を ちまちまと作っておりました。NAVYしか作らない訳ではないのであります。
 ゆくゆくは、センチュリーシリーズを72で全機 作り倒してみたいと儚い夢を持っておりまして、編集部にラブコールをかけております。
 さて、このハセガワのデルタダートは RF101と同様に70年代に登場した非常に古いキット。細かいことを論えば 限りがないのでありますが、「今でも立派に通用するキット」として評価されております。というより、 72スケールで入手できるのは、唯一これしかないのです。
 という訳で今月は これを料理してみたいと存じます。


実機について

 F-106は 1955年から配備開始されたF-102の発達型として 開発が進み、当初は、F-102Bと呼称され、1956年には早くも初飛行いたしました。 しかしF-102は所詮は「つなぎ機種」であったため、単なる改良程度では済まず、大規模な設計変更が必要となりました。それで、開発費がかかりすぎ? 議会予算獲得のために、新型F-106として上程されたという逸話が残っております。真偽はほぼ近いものであったことでしょう。
 まず、胴体形状ですが、F-106では最初からエリアルールの適用が計られています。F-102は 当初はXF-92を踏襲したズンドウ胴体であり、性能が出なかったものですから、当時のトップシークレットであるエリアルールを あわてて導入し、胴体を設計変更して ツジツマを合わせておりました。
 一方、発達型のF-106はというと、ウエストにばっちりと「くびれ」が出来て、柳腰の それはきれいなヒップとなっております。 
 このおかげで、F-102はなんとか音速を突破できたレベルであったものが、F-106では らくらくと音速を超えることができ、マッハ1.9に達しております。
 
 要撃レーダーは、F102で間に合わなかった ヒューズMA-1FCSを搭載しており、目標までの誘導、攻撃、帰投まで、全天候下で可能となりました。
 F-106では 胴体を延長したため、機体規模が若干大きくなり、SAGE要撃システムの電子機材を一新しておりますので、推力も50%増加のJ75エンジンを積んでおります。
 JXの選定のために訪米した防衛庁の係官の評では 「まるでキャデラックのようで、全く手が届かなかった」とのことですから、当時は今のF-22ラプターのような存在であったのでしょう。


 F-102では エアインテークがコクピット下前にあったのですが、F-106では キャノピー後ろに位置を後退させています。また、主翼の後退角も変わり、境界層分離板が無くなり、そのかわり、ドッグツースがついております。

 兵装は胴体下のウエポンベイに収められており、ファルコン4発と ジーニー1発を搭載できます。このジーニーですが、危ない核弾頭でありまして、近くを飛行中のものは 全て巻き込みます。 これで、鬼に金棒。「ソ連の爆撃機さん いつでも飛んでいらっしゃい。きっちりと撃ち落として上げるから」状態となったのであります。
 とはいえ、乱暴な兵装であったことに気がついたのか、70年代にはM61,20mmバルカン砲を搭載できるようになっております。
 生産機数は275機。いくら金持ちのアメリカでも さすがに 500機揃えるには お高すぎ ということだったのでありましょう。
 搭載電子システムは国家最高機密で、門外不出の箱入り娘だったため、海外に派遣されることは生涯一度もありませんでした。この辺の事情はF-22に似たものがあり、F-22も常に海兵隊にガードされている堅そうなお嬢さんではあります。
 F-106はUSAFの単座戦闘機としては最大級の大きさで、これだけの大型機でありながら、エンジン推力に余裕があるため、マニューバビリティは案外と良く、格闘戦も善戦したという話が残っています。

ハセガワのキットについて

 キットの表面モールドは端整なウキボリパネルラインです。スジボリではないのですが、小生 全く気になりません。気になる御仁は彫りなおしておけばよろしいでしょう。
コクピット内はごく簡単なもので、グレアシールドは手を入れた方がよろしいでしょう。シートは簡単なものですが、外から見えるのは、ヘッドレストの部分だけなので、モノ48を参考に 形状を整え、シートベルトを追加するだけで、見られるものになります。
 機首にオモリがかなり必要ですので、レドーム内だけではオモリスペースが足りないため、胴体接着前にコクピット前後にオモリを仕込んで上げましょう。
 胴体の合いは良好で、また、胴体ミサイルベイが開閉選択できるようになっていますが、隙間無く閉めるのもかなり労力を伴ないそうなので、開いた方が楽チンです。
 レドームの胴体との合いがなかなか曲者でして、接着部乾燥後、瞬間接着剤を盛り、スムーズにつながるように削り倒しております。
デルタ翼は上下貼り合わせですが、後縁も薄く、理想的な翼モールドです。胴体との合いも非常によろしいようです。

垂直尾翼後縁は少し薄く削った方がいいでしょう。
前縁のセンサー類は一度切り落として整形して、最後に金属線で自作したものを取り付けております。

 エアブレーキは開閉選択ができるようになっていますので、せっかくのメーカーの好意ですから、開けてみました。。

 エアインテーク入り口形状が少し、実機と異なりますので、ここは写真を見ながら整形する必要があります。とはいっても、耐水ペーパーで丁寧に削れば大丈夫なレベルです。
 キャノピーは透明度もよく、胴体との合いもF102より、改良されていまして、使いやすくなっています。

塗装

 全面 Mrカラー73番 エアクラフトグレーです。
デカールはスーパースケール別売りを使用。機首のレッドブルのマンガが可愛いものです。
保護のため、全面にクリアーを吹いて仕上げております。
 レドームは少し艶がある黒。アンチグレア塗装は完全ツヤケシ黒として変化をつけてみました。エアインテークリップはメタリックシルバーです。機首ピトー管はシンチュウパイプと0.3mm洋白線を組み合わせて自作しております。
 ウエポンベイや脚庫の中をインテリアグリーンで塗装すれば、ほぼ完成と相成ります。

全体的に非常にシンプルなきれいな佇まいにになりました。
皆様 最近は、新キットの方にばかり 目がいってしまいがちでありますが、どうしてどうして、このキットのようなイニシエのスダンダードキットの製作も楽しいものです。特に 72のF-106は ハセガワのこのキットが唯一入手可能なものですし。

さて、兵器搭載ラックですが、作動状態に下ろしてみました。ファルコンとジニーはまだ搭載していませんが、その理由はというと、実は この状態では当然、地面にこすれるからであります。後の祭り。

お後がよろしいようで、失礼いたします。


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