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零戦32型 タミヤ (1/72)

by 加藤 寛之



  このキットは、私が本気でプラモデルにのめり込み始めたときには売っていた。そのころに1度、作ったことがある。どうやら1960年代半ばには売っていたようだ。今度作ったキットは、絶版後に何回か再販されたもののどれかを入手したもので、ゆえに主脚は固定方式のものである。



今回もキットの味をいかしながら、今風にさらっと作ってみた。そうは言ってもこの時代のキットは、素組みではまともな形にならない。まず、左右の胴体パーツを合わせてみたら、後部胴体の太さが違う。ここは上面を基準にして、下面でごまかすことになる。細い方にプラバンで埋め合わせて荒削り、それで残った段差をパテで整形した。機内はお人形さんを支える棒が2本あるのみ。私はお人形さんを乗せないので、横棒を切り取ってオシマイ。だから操縦席はなにもない。



主翼の周囲はバリと部品の区別が付きにくいので、前後縁をそれなりに整形する。翼端形状は、角度によっては「へ」の字型に見えるように削ってみた。これは翼端の翼形や厚さが実機のようになっていないと正確には再現できない。ここは無理をせず、そんな雰囲気でOKとした。プロペラはかなり削り込んだ。丸棒がつぶれたようなキットのプロペラからすれば、だいぶ零戦っぽい雰囲気になったと思う。風防パーツは、後端が胴体に食い込んだような実機の形状に無理して似せてあるため、そこが胴体幅よりも広くなってしまっている。ここは目立たないように削っておいた。そのほかにも小さな加工はいたるところに及んでいるが、そのほとんどはパーツ接合の改善であって、素材を活かす方針は貫いている。パテも、上述の後部胴体下面以外には使っていない。



塗装もキット指定を活かしている。灰色は昔ながらの明灰白色、カウリングはやや明るするために、カウリング色に明灰白色を加えた。デカールを貼る際、日の丸はなんとか貼れたが、「報国…」のマークはちぎれてしまった。破片を寄せ集めて使ったが、デカールは使用の限界だったようだ。いわゆる墨入れは、キットの表面モールドがきついのでしていない。



ここまでくれば完成寸前なのだが、主翼上面のフラップ部分の赤ワクを忘れていることに気付いた。そのはずで、キットの塗装指定は旧い考証によるから赤ワクがないのだ。面相筆で直に塗ったが、充分に合格点。

出来上がってみれば、当時のキット水準を思えば上出来の製品である。その頃のキット評でLSの21型・52型とともに推薦できるキットとなっていたのも、「なるほどね」とうなづける。「皆さんも、見かけたらとりあえず購入を!」とまでは言いませんが。


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Vol32 2011August.    www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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