Home>今月のハイライト> 連載 世界の名作発掘(第23回) AZモデル1/72「スピットファイアーMk-1 Late 

連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第23回)

AZモデル1/72「スピットファイアーMk-1 Late」 

by 鳥巣 Torisu           /    


 

<実機解説>

バトルオブブリテンが佳境を迎えたころゲーリング元帥がガーランド少佐に「何か欲しい物は無いかね」と尋ねたところ「イギリスのスピットファイアーが欲しいです」と語ったと言われている。

当時世界最強と謳われたルフトヴァッヘからも羨望された英国の救世主スピットファイアーの歴史は1936年イギリス空軍(RAF)が各航空機メーカーに発注した仕様書F37/34に始まる。この要求にスーパーマーリン社は1000hpの新型ロールスロイスエンジンを搭載した美しい曲線を持つ低翼単葉の試作機タイプ300で応じた。その高性能に満足したRAFは1936年6月3日「スピットファイアーMk-1」として310機を発注した。そしてWW2の危機が迫ってきたのでさらなる発注が行われ開戦の1年後には9個飛行隊に配備が終了していた。
1940年の8月から9月にかけての「バトルオブブリテン」においては相棒のハリケーンと共に連日押し寄せるルフトヴァッヘの戦爆連合に立ち向かいイギリスを守り通した。
ライバルのMe109と比べると加速や垂直運動では劣ったが旋回性能では勝り当時実用化されたレーダーサイトの運営によりメッサーより優位な位置で交戦できた。勝敗を決めたのはパイロットの技量であったと言われている。
「英国の戦い」でイギリスを守り抜いたスピットではあるがその後のヨーロッパの解放への戦いでは航続距離や搭載量でアメリカのP-47や51に大きく水を開けられヨーロッパの空はアメリカ機に制覇されてしまった。
スピットファイアは「英国の戦い」の為に生れてきた戦闘機と言っても過言ではないだろう。



<キット解説>

AZモデルはチェコの新興メーカーの一つです。日本にやってきたのは2005年以降でラインナップも未だインジェクションキットされていない日本陸海軍の雑用機やスパイトフルやアタッカー等のマイナーな英国機に力を注いでいる注目のメーカーです。
キットは簡易インジェクションながら全面に繊細なモールドが施されていて制作意欲を掻き立てられます。
キャノピーパーツはインジクションでデカールもコーション類の文字まで読み取れるほどクオリティの高い物が入っています。


箱絵


胴体パーツ

制作

<コクピット>

計器盤・座席・スティツク・内部フレームの4点構成です。各パーツのモールドのメリハリが良く72のスピットでは高いレベルの出来です。
RAFの機体内部色が見つからなかったのでクレオス「ザクカラー」薄いグリーンを代用しました。塗装後エナメルの銀でドライブラシを施しました。胴体に組み込んでキャノピーを閉じると殆ど見えなくなるのが難点です。

<胴体と翼の組み立て>

簡易インジエクションキットなので当然ながらピンとダボ穴は有りません。基本的にイモ付けです。
左右の胴体を張り合わせる前にエンジンの排気管を先に取りつけます。塗装の手間を考えると後付けの方が良いのですが排気管を付ける開口部が小さく貫通しているので塗装後に付ける際に胴体内に落してしまう危険があります(実際にそれを起こしてしまい予備に持っていた同じキットからむしり取りました)
排気管を付けたらコクピットを取りつけます
位置決めのガイドはありませんから仮組みを入念行い胴体に取りつけます
次に翼を組みます
翼の裏側に射出時の打ち出しピンが残っているので切り飛ばします。
脚収納庫を取りつけます。下面翼側の主脚カバーの開口部と収納庫の位置が若干合わないので下面翼側の開口をデザインナイフで削り調製します。
翼の上下を張り合わせたら胴体に取りつけます。
キットのまま取りつけると上半角が少し足りないので指を上に押し上げて治しました。

<パテ修正とサフ吹き>

胴体の貼り合わせ部と主翼の接合部に隙間が発生するのでタミヤポリパテを盛り付けて整形します。
乾燥後#400・800・1000・1500の紙ヤスリで削りサフを吹き付けて基本工作は終わりです。





<塗装>

組み上がったら塗装です
機体下面    Mrカラー「ダックエッググリーン(スカイ)」
機体上面    Mrカラー「310番」の茶色
迷彩のグリーン Mrカラー「309番」の緑
機首のイエロー Mrカラー「RLM112」の黄色
の4色を仕様しました。
迷彩の緑はハンドピース用に希釈した色を筆塗りで数回に分けて重ね塗りをしました。型紙を用いなくても手軽に迷彩が出来ました。
塗装後タミヤから新しく発売された「スミ入れ塗料(ブラック)で墨入れをしました。
自分で希釈する手間が省けて細部まで流れ込む濃度が良いです
塗装が終ったらデカール貼りです
デカールはフイルムが薄く糊もしっかりしています





<仕上げとクリアー掛け>

最後にプロペラ・主脚・ピトー管・無線アンテナを付けて一晩置いて仕上げの半光沢クリアーを吹き付けて完成です。
簡易インジェクションと言うマニア向けのキットですが完成すればスピットの綺麗な曲線美を堪能できます。
今回も新興メーカーのAZモデルのスピットを製作する機会を与えて下さった編集部に感謝です。
参考資料
文林堂・世界の傑作機No25[スピットファイアー]






Home>今月のハイライト> 連載 世界の名作発掘(第23回) AZモデル1/72「スピットファイアーMk-1 Late 

Vol.32 2011 August    www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
  無断転載を禁ず  リンクフリー

「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」

製作記事

TOTAL PAGE