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懐かしのB級キット(第10回)
屠龍 サニー(マルサン) 1/100

by 加藤 寛之

  玩具から始まったプラモデルが ギミック路線か、それとも 全く動かないけれども精密なモデルの方向に行くか メーカーによって多様性に溢れていたのが 1960年台でした。
 当時から、精密というには?がつくけれども ギミックが面白いプラモデルを日本メーカーが多く発売していました。エルロン、方向舵可動は当たり前、というか それが当たり前のトレンドの時代だったともいえます。
 学校前の文具店でプラモデルが売られていることも多く、箱絵が魅力的でショーウインドーに釘付けになり、学校帰りに店の前の道路で座り込んで、プラモを作った経験のある読者も多いはず。小学生の遊びの一部として当たり前にプラモデルがあり、今からは想像も出来ないプラモ黄金時代だったと思います。

 
 金型精度が追いつかず、可動部がガタガタで、細かいディテールは?が二つくらいつくが、デッサンはなんとなく実機の雰囲気を再現しているという今でも捨てがたいキットが多くありました。既に絶版になっているものが多いのですが、幸い、その中には今でも生き残って現役のプラモキットもあります。

 このシリーズは そんな 懐かしいB級キットを取り上げて行こうという連載です。形状とか デイテールを求めるならば、後発の決定版を購入すればいいわけで、ディテールの修正などをせず、オリジナルの雰囲気を壊さず、完成を目指そうという目論見です。

 
 さて、今回は 加藤寛之さんの サニー(マルサン)の往年のB-29の続編2 屠龍です。



 サニーのB-29に本来セットされるはずだった屠龍がこれ。入手したサニーのキットは不良品(?)で、なぜか屠龍と飛燕の2つが入っているお得なものだった。この屠龍、組み上げることは問題なくできる。だがその形状は、細すぎる胴体、中途半端なスピンナーからエンジンカウリング、ナセルへかけての樽のような造型など、実機とはほど遠い。それでも間違いなく屠龍に見えるから不思議。
  



キットの構成をみると、胴体は左右分割で座席は胴体に造りつけ、主翼は左右別で上下分割、水平尾翼は一体、エンジンカウリングは前部が別パーツ、あとは小物。胴体を合わせてみると左右で大きな段差があり、とくに胴体後部下面がひどい。削って合わせたのではさらに胴体が細くなるので、段差へプラバンを貼ってパテで均した。



 主翼と水平尾翼は軽く整形すればOK。水平尾翼は胴体穴への差し込み方式。“ちょっとキツイかな”と思いながら胴体穴へ差し込んだところ尾部へ向かって亀裂が走り、割れてしまった。ここは慌てずに瞬間接着剤で固めて復旧成功。後部風防は密閉型であるかのようになっていたので、後端を切り落として半開放型に修正しておいた。
 



塗装は、本当は全面褐色にしたかった。なにより1色で簡単だから(←私は塗装が面倒で嫌いなのです)。だが余りに実機離れした形状をごまかすため、線状迷彩にした。そのためデカールとは一致しない。まず全面を明るい灰色に塗り、その後に面相筆で濃緑色をくにゃくにゃと塗った。その後に溶剤に濃緑色を溶かした程度の薄い色で線を広めに上塗り、さらに線が太くなりすぎた場所を明るい灰色で補正した。主翼前縁の黄色は、キットに刻まれた塗りわけ線を尊重して塗ったが、実機はもう少し先端方向に広いようである。日の丸は在庫の余りデカール、日の丸以外はキットのデカールを使っている。最後に真鍮線をピトー管代わりに挿して完成とした。



 <ご参考に>
今回の線状迷彩ではかなり適当に塗ったのだが、こういった塗装の場合、実機は右手ききの整備員が、右肩を軸に弧を画きながら手の届く範囲で動かして塗っているようだ。実機ではそのように塗られているらしいので、模型でもそのように考えて塗ればよい。このキットであれば、1/100の人間が翼上に立ったり脚立の上に乗ったりして塗る感じである。実機写真では胴体側面や垂直尾翼くらいでしか塗装状態を確認できないが、おそらく主翼上面も同様であったろうと推定する。


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Vol33 2011September.    www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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