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F‐89 スコーピオン レベル (1/77)

by 加藤 寛之



  これは箱スケールとも称される、まだ1/72とか1/48といった標準的縮尺が定まっていなかった時代の製品。デカールを貼る位置に文字や国籍マークの浮き彫りがある、懐かしいものだ。レベルは、もっと新しいスコーピオンのキットを発売しているのだけれども、これを持っていたので作っただけのこと。しかもあと2~3個は持っているはずで、新しいものを買う余地などないのだ(と言いながらレベル1/72も持っている)。  今回、私が所属するS.L.B.の次回展示会のテーマのひとつ“夜間飛行”に合わせて組み始めたのだが、偶然にもWebモデラーズ編集長がアカデミー製のスコーピオンを作った記事と重複、ちょっと脇に片付けてあった。



キットの金型製作がいつかは知らないが、50年以上たっているのは確実だろう。表面のモールドは消えかかり、金型の歪みが原因のような膨らみや歪みも随所にある。これはレベルの発展に尽くした年輪のようなものだから、大目にみる。部品を見れば、コックピットは前後席も人形も一体の1パーツのみ。風防はワクが別パーツになっている。このキットが設計された時代は、まだ部品分割の方法も手探りだったことが分かる。  一方、部品の左右の区別は明らかで、たとえば主脚は取り付け部分の形が左右で全く異なる形になっている。部品点数も最小限で、たとえば通常は地上で閉じている主脚のタイヤカバーは主翼下面に筋彫りされた一体成形。「誰でも簡単に間違えずに組める」というプラモデルの基本は確実におさえてある。



 組立ては、胴体下面側にあるエンジンカバーを胴体に接着するあたりから始めた。この接着によって左右胴体の強度があがり、胴体全体がゆがみなく組める。左右の主翼は上下を接着するだけなのだが、事後変形がひどく、腕力で矯正しておいた。翼端と翼端ポッドの間には隙間が生じたので、瞬間接着剤を多めに流しこんで接着とパテの代用を兼ねた。  胴体と主翼の間は、胴体への差込用のベロを切り落とし、接着面を均すことで密着させた。車輪は軸を焼き潰すことで回転可能になるようだが、回転する必要もないので軸を短縮して固定しておいた。きれいに組めれば、それでよい。


塗装は組立図に大雑把に指示されているが、箱絵とは異なっている。ここは箱絵を信用して塗ることにした。スコーピオンの嫌なところは、筆塗りでは鬼門の「銀」と「赤」の塗装であることだ。言い訳だが、筆を使ってエアブラシのように薄く滑らかに塗りたいのならば、いっそのことエアブラシで塗ればよい。筆で塗ったタッチが見えても、筆塗りだからそれで良い、そう考えるのである。まあ、要するに気にしないで塗る。
問題はデカール貼り。面白がって、キットの文字やマークの凸モールドを残しておいたので、当然のことながらデカールが貼りにくいなんてものじゃない。ブカブカ、シワシワだ。もはや致し方ない、“今度このキットを作りときは、凸モールドを削ろう”と心に決めたものの国籍マークはついに貼り付けに失敗、手持ちのデカールで代替した。そのため主翼のものは明らかにオーバースケールだが、“派手でいいじゃないか”と自分に言い聞かせた。
 これで完成。出来上がるとイメージは正にスコーピオン、これぞレベルの味である。



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Vol 37 2012 January.    www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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