Home> 連載 世界の名作発掘(第33回)HH-3「ジョリーグリーンジャイアント」 (リンドバーク1/72)

連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第33回)

HH-3「ジョリーグリーンジャイアント」 
(リンドバーク1/72)

by 鳥巣 Torisu           /    

 

<実機解説>

1963年の北爆開始以後作戦機が北ベトナム上空で損傷を受けたり撃墜されるケースが増加しアメリカ空軍当局は捜索救難ミッション用に特別に改造されたヘリの調達が急務になった。
それまでは既存のHH-43(ハスキー)やH-19(チカソー)などのヘリの転用で済ませてきたがこれはベトナム戦で使用するには明らかに能力不足であり新たな新型ヘリを欲していた。そこで空軍はシコルスキー社が海軍向けに開発したSH-3シーキングの発展型として自主開発したS-61に注目し空軍規格の装備品と装甲板・給油プローブ・投下式燃料タンク・高速ホイストやその他の特殊装備を備えた捜索救難ヘリ「HH-3E」を発注し1966年にベトナム戦線に投入した。
アメリカの冷凍食品メーカーのキャラクターの名前である「ジョリーグリーンジャイント」とニックネームを付けられたHH-3Eはベトンナムで多くの救難ミッションを重ねていったが救難作業時に地上を制圧する火器の不足・山岳地帯でのホバリング能力不足が鮮明になり更に能力の向上したHH-53の登場により次第にベトナムから引き揚げられたが州空軍では1980年代まで使用された。
要目
全長:22.3m
全高:5.51m
乗員:3名
搭乗者数:28名
エンジン:GE・T-58ターボシャフトエンジン
1, 500hp 2基
最高速度:265km
航続距離:1.254km

<キット解説>

アメリカのリンドバーク社のキットでかなり以前から日本国内では流通している老舗のメーカーです。
このメーカーの売りと言いますか特徴はビキナー向けに配慮した部品の少ない組み立てが簡単なスナップタイトキットが製品の殆んどを占めているところでしょうか。
今回のHH-3もビキナー向けの製品らしく細かい部品が無く子供でも簡単に組めるキットになっております
モールドは全面凸リベットでヘリコプターらしい表現になっています。透明パーツの精度がイマイチだったりデカールの文字が滲んでいたり日本の目の肥えたモデラーには不満を感じるかもしれませんがビキナー向けとしては十分なキットだと思います。
しかしこのメーカーのラインナップにはカットラスの試作機があったり日本の1式陸攻24型(後期型)とか妙にマニアックなアイテムがある謎のメーカーでもあります(笑)
胴体部品

 

箱絵
 翼部品



 

製作

<コクピットから>

コクピットフロア・座席・計器盤・ステック・パイロットの5点で構成されています
フロアーをMrカラーNo72「エアークラフトグレー」で塗り計器盤と座席をジャーマングレーで塗り分けました。

パイロットも服はカーキーグリーン・ヘルメットはグランプリホワイトで塗りました。キャノピー部品が歪んでいであまり中が見えないのでこれぐらいの塗り分けで十分です。



<胴体の貼り合わせ>

コクピットの組みたてが終わったら胴体を貼り合わせます。
その前に左右の窓の透明パーツを忘れずに付けます。
胴体を貼り合わせた後では付けられません。
胴体左右に窓の部品とコクピットフロアーを取りつけたら胴体を貼り合わせます。
ダボのピンが干渉して左右の合わせに大きな隙間が発生したのでピンを切り飛ばし直接貼り合わせました。
胴体左右の貼り合わせが終わったらエンジンの空気取り入れ口を胴体上部に取り付けます。ここは胴体との間に大き目の隙間が生じるので両方平らになるようにヤスリで整形し隙間はラッカーパテで埋め修正しました。

<コクピットキャノーピの取り付け>

胴体を貼り合わせが終わったらコクピットのキャノピーを取りつけます。
胴体前部とキャノピーの間に隙間が発生します
ここは瞬着パテを盛り付けて隙間を埋めました。
(胴体の隙間の処理と整形時に消えたリベットの再現)
胴体を貼り合わせた時に隙間が胴体の上下にできたのでラッカーパテを盛り付け乾燥後に#320・600・1000・1500と紙ヤスリの番数を上げて削り整形しました
整形後#1200サフ(グレータイプ)を吹き付け表面を整えました。
サフが乾いたらヤスリ掛けで消えたリベットを再現します。
図面やパッケージの完成見本を参考にマスキングテープを貼りテープをガイドにポンチを押していくと凹ですがリベットもどきのモールドが再現できます。
リベットの再現ができたら塗装です。



<ベトナム3色迷彩>

典型的なアジアンスキーム3色迷彩を施します。
胴体下面Mrカラー311 (白)
胴体上面Mrカラー310 (茶色)
         303 (薄い緑)
         309 (濃い緑)
の4色で塗り分けます。
先に胴体下面の311番を塗ります
次に胴体上面基本色の310番を塗ります
薄い緑の303と茶色の塗り分け線をハンドピース用に希釈した塗料で筆で描きその内側をハンドピースで中心から外側に向けて浮き付けました。同じように濃い緑309を塗3色迷彩の塗装はオア割です。
仕上げに茶色と黒をブレンドしたエナメル塗料でウオッシングを施しました。



<ローターの組み立てと塗装>

胴体の塗装が終わったのでローターの塗装と組み立てを行います。
メインローターとティルローターの先端の塗り分けを先ず行います。
メインとティルローター先端は塗り分けが異なるので実機写真や資料を見て塗り分けました。
先端のメインローターのブレード5枚の部品に分かれていますが中心ハブとの合わせは良いので多めの接着剤でガッシリと取り付けられます。



<細部部品の取り付けとマーキング作業>

ローターの塗装が乾くのを待っている間に脚と細部部品の取り付けを行います。
このキット前脚の長さが実機より長すぎます
このまま付けると胴体が尻もちを着いているように見えるのでカットして半分程長さを短くしましたがそれでも尻もちを着いている恰好になってしまいした(汗)
救難ヘリには欠かせない装備であるホイストがこのキットにはついていないのでハセガワのSH-60から持ってきて適当なアンテンナパーツを流用してそれらしくでっちあげました(苦笑)
マーキングは国籍マークと機体NoとUSAFの文字と若干のコーションマークが描かれているだけです。
キットの物は発色がイマイチだったので機体NOとUSAFの文字以外はジャンクデカールから流用しました。
メインローターとティルローターを取りつけて仕上げに半光沢を吹いて完成です。
ビキナー向けのスナップキットなので形状的にちょっと?と思う箇所がありますがHH-3のキット自体現在このメーカーのキットしか入手できないので貴重な存在です
今回もリンドーバーク社「HH-3ジョリーグリーン」のキットを製作する機会を与えてくださった編集部に感謝です
参考資料
ウィキペディアのネットサイト
並木書房「ベトナムチョッパー」
以上


Home>連載 世界の名作発掘(第33回)HH-3「ジョリーグリーンジャイアント」 (リンドバーク1/72)

Vol44 2012 August   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
  無断転載を禁ず  リンクフリー

「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」

製作記事

TOTAL PAGE