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   青島プラモ日記(その7)
飛燕 (ハセガワ1/48)

by 田口博通



 皆様にご心配をおかけした中国の反日騒ぎは10月の国慶節入りとともに 一段落となり、ここ青島も夏の終わりを迎えました。

 夏の間は マンション横の五四広場では、毎週のように イベントが開催されていまして、 週末は朝から それはにぎやかでした。 9月末にはあの騒然とした反日デモを忘れたかのように、同じ場所で大イベントが開催。中華的ROCKが大音量で鳴り渡ります。中国はダイナミックレンジの広い国ですが、それでもそのGAPの大きさには感心します。 
 10月になりやっと静かな秋を迎えたら、10月末には、初冬の足音が ひたひたと迫ってきました。 忙しいことです。

夏の終わりを惜しむかのように 青島の五四広場で開かれたイベント
テレビ局と広告会社が主催のようです。 (自宅窓から撮影)


 ちなみに この五四広場の名前の由来ですが、54ではなく、5月4日のことで、 「1919年5月4日、青島の主権問題をきっかけにして中国で大規模な愛国(五四)運動が行われ、青島が1922年12月12日に日本から中国に返還され、この中国歴史を変える運動を記念するため五四広場と命名された」そうです。
 
 愛国(五四)運動というのは 何かというと、「 第一次大戦が終結し、パリ講和会議において日本側の「日本がドイツから奪った山東省の権益を容認」という主張が列強により国際的に承認されると、北京の学生数千人が1919年5月4日、天安門広場からヴェルサイユ条約反対や反日を訴えてデモ行進をした。各地の学生もこれに呼応して全国的な反日・反帝運動に発展した。」
 という 現在と似たような愛国運動が100年前にありまして、つまり 五四広場というのは青島を日本の占領から取り戻すきっかけとなった反日運動の記念広場な訳です。ですから、この広場が 今回の反日デモの集合場所に選ばれたのも それなりの理由があったということになります。
 
海外に暮していますと こういった歴史のお勉強はとみに重要で、ただの観光地だと思って、由緒ある場所で日本人がチャラチャラ KYしていると 冷たい視線で睨まれてしまう原因になってしまいますので、地雷を踏まないように おとなしくしているに限ります。



さて、9月後半は領事館の外出自粛警告もあり、マンションでじっとしていましたので、もう一機完成しました。
ハセガワの 48 飛燕です。 青島の飛虎模型店で購入したのが7月、以後、手を付けられなかったのですが、一挙に完成まで持ちこみました。


写真撮影スタジオ

ところで、皆様 完成写真は どのように 撮影されているでしょうか?
こちらでは バックに使える大きな紙を売っている店が探せなかったので、結局 下の写真のように、全日空からもらったカレンダーを裏にして椅子にかけ、机の上のZライトを 照明がわりにして撮っています。デジカメは最大解像度にセットし、周囲をトリミングすれば、こんな環境でも 何とか見られる写真が撮れます。
(前側のスツール上の空き缶は 100均で買ったデジカメスタンドの脚が短いので台替わりです。)


製作

金曜夜に製作開始です。
ハセガワの飛燕は 模型雑誌でも語りつくされていると思いますが、上半角以外よくできています。 今回の作り方はコクピットも無塗装のまま、全て組んでしまいます。

胴体にはサイドパネルを接着


座席とコクピットは ベルトは無いが、それっぽく形は出ている。


コクピット無塗装のまま、士の字までなりました。
この後、一日おいての 継ぎ目の処理も合わせがいいので、簡単に終わります。

塗装

 次の日曜日 楽しい塗装です。手元にある塗料はMrカラーの銀しかないので、自動的に全面銀翼となりました。
まず、艶あり黒で下塗りをします。プラスチックが透けないように防止のためと、銀の発色を良くするためです。コクピット内も艶消し黒で一度 下塗りしておきました。

その上に 細筆でパネルごとに銀を塗ってゆきます。右斜め、左斜め、縦、横、といった具合です。

細筆で塗装中


塗り重ねることでムラのない銀塗装になります。最後に主翼は前から後ろに、胴体は上から下にヘアラインを筆でつけて銀塗装完了です。 
充分乾燥させてから、尾翼の赤と 機首の艶消し黒を テープでマスキングして塗装しました。 これで この日の塗装はいったん 終了です。


マーキング

 平日の帰宅後に ぼちぼちとマーキングを加えてゆきます。今回はデカールを使わず、手書きで行ってみることにしました。
まず、日の丸と、胴体赤帯を テープでマスキングして 赤で筆ぬりします。
その後、白のラインを入れました。
私の方法ですが、デカールの白帯をはさみで切り取り型紙にします。スティックのりで所定の位置になるように胴体に仮付し、その上下の淵に 細く切ったマスキングテープを合わせて貼れば、簡単にマスキングができます。



コクピットは 緑系の塗料がなかったので、ダークグレーで代用し、細筆をつっこんで塗り、計器は銀でドライブラシ。頭当ては 艶消し黒としました。 キャノピー枠はテープでマスキングして黒下塗り後に銀で塗装していますが、日本ではマスキングゾルで一発で済むところ、テープを切貼りしたので、手間がかかりました。
 脚と、翼機銃を接着します。ピトー管は日本であれば、シンチュウパイプと洋白線を使うところですが、中国では手に入りませんので、KITのパーツをそのまま使いました。主翼前縁の黄色警戒色は、省略しました。



スピナーは一度 シルバーとしたものの、完全にエアレーサーに見えてしまったので、後日、赤で塗り替えました。プロペラは裏面を艶消し黒、表面を銀としました。アンテナ支柱は終戦真近の防空飛燕部隊では、無線機ごとはずして軽量化を図り、上昇速度の向上を図ったはずでと、勝手に省略しました。



排気管などを慎重にとりつければ完成です。 主翼前縁警戒色の黄帯が無いと、塗装がすっきりして 胴体ラインとあわせ、エアレーサーのような 佇まいとなりました。





素組、ありもので塗装もすませましたが、1機完成すると それなりの満足感が得られました。1週間で完成です。ストレス解消には もってこいの題材でした。

ところで下の写真は 最近 五四公園の先にできた66階建ての遠雄ビルです。午後、海からながれてきた低い雲で 散乱する太陽の反射光が幻想的です。思わず写真をとりました、下の緑の看板は 有名な青島ビールの本社で 横のマンションが33階建てです。
いや、平和と安全というものは大事だなと 改めて感じました。
それでは 次回。




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