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P-51D ムスタング
(エアフィックス 1/72 第2版)

by 加藤 寛之



  エアフィックスの初版ムスタングは、垂直尾翼のヒレがないタイプだった。1974年になると新金型で第2版が発売されたのだが、それがこれ。
ただし私は、第2版発売のときの印象が鮮明でない。ちょうどその頃の私はプラモデル製作意欲が低下してきていたし、国産キットの品質向上によってエアフィックスの威光がすっかり曇ったころでもあるから、新発売を知ってはいたが特に興味もなかったのだろうと思う。
ところがエアフィックスがここで新金型の第3版を出すというので、ワールドホビーショップはせがわの棚に残っていたこのキットを慌てて買ってきた。新金型が発売になるというのに現行版を買うというのも歪んだ趣味ではあるが、それは前述のような経緯があってこのキットをまだ作ったことがなかったからである。わざわざ旧版を作る人は世間に少ないから、模型誌に完成品が登場するのはこれが最後かもしれない。楽しんでおこう。



箱を開けてビックリ、胴体や主翼の表面がヘロヘロに歪んでいる。これに加えてパネルの凹凸表現がなされているので、もう表面全体がクタクタに見える。筋彫りもいたるところで消えかかっている。風防パーツは前端の右側が縮んでいる。どうみても金型が寿命になっている。これでは新金型に移行するはずだ。・・・そうかといってこれで製作意欲が落ちるわけでもないので、厳しいキット状態だけれども組みすすむ。表面のヘロヘロは削って均せばよいし、消えた筋彫りは彫りなおせばすむことだから。
左右胴体パーツを合わせてみる。胴体幅が狭くてホッソリし過ぎているようで、主翼面積がやけに広く見える。機首上部の断面形は半円形で、上部が平らで先端で一気にスピンナーにまとまる実機の形とは、だいぶ違う。まあ良いだろう、そういうキットなのだ。その胴体なのだが、横幅はコックピットの床板で固定して決まる構造だ。だが、わずかに床板が狭いようなので、床板の左右に0.3mm厚のプラバンを貼って広げた。主翼は翼端がエルロンよりも厚く造形されていた。これはエルロンに合わせて薄く削る。それよりも前縁も後縁もクタクタなので、とにかく真っすぐに平らに見えるように削る。さらに機体表面全体をサンドペーパーで軽く擦って、歪みを削り落としておく。どちらも、だいたいOKくらいでよし、としておく。縮んで寸足らずの風防右前部は修正を諦めたが、それほど目立たないと信じている。



 塗装はデカール2種から選択なので、スウェーデン機にしてみた。塗料はGSIクレオスMr.カラー。銀色は8番を地色に、シャインシルバーを薄く載せている。その際、わざと筆跡をつけて面白みを出しているが、掲載写真では分かりにくいだろう。 デカールはちょっと厚い感じではあるが、よく貼れた。もっと青が濃いとよいのだが、まあイイだろう。デカールを貼り終ってから主脚を接着したのだが、これはガタもなくしっかりと位置決めできた。



 完成した姿は、細身でカッコいい。「よく出来たキットなのか」と問われれば「ちょっと、どうかな」だが、スリムな印象を強調した個性的表現だと思えば納得できる範囲である。そしていまや後継の新版が発売になったのだから、ここでは「ご苦労様でした」の言葉でキット評をまとめたいと思う。 40年近く勤めあげてボロボロになりはてたものの、素晴らしい後継品に代替わりしての引退である。実にうらやましく、見事な終止符である





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