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連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第36回)

「シュペールエタンダール」(サニー1/72)

by 鳥巣 Torisu           /    

 

<実機解説>

フランス海軍航空隊は1960年代末から1970年にかけて当時運用していたジエット攻撃機「エタンダール」の後継機の計画を進めていたそしてイギリスとフランスとの間で共同開発が進められていたSEPCAT「ジャギャー」の海軍型の採用を政府から薦められたが海軍側は要求性能に合わないとこれを拒否しダッソー社が自主開発を進めていたエタンダールの改良型「シュペール・エタンダール」の採用を決定した。
原型は1973年に完成し翌1974年10月28日に初飛行に成功した。その後開発と実戦配備は順調に進み1978年に生産を終了したが後継となるラファールMの実戦配備の遅れから21世紀初頭までフランス海軍航空隊の由一の打撃戦力として長きに渡り運用された外見は平凡だが偉大な名機である。
(概要)
全長:14.30m
全幅:9.6m
全高:8・86m
エンジン:アター8K50
推力:49.03N
速度:  1200Km(海面高度)
航続距離:1320km
兵器搭載量
爆弾・ロケット弾・空対空ミサイル合計2100kg



<キット解説>

1980年第初頭日本の模型メーカー「サニー」からフォクーランド紛争終結後直ぐに発売されたキットですが2012年現在その金型は韓国アカデミー社に渡り定期的に日本に流通しているキットです。 キット自体はサニー社オリジナルのままで少しモールドが太く感じますが1980年第初めの頃のキットとしては標準的なモールドです。
キャノピーも今の水準から見ると肉厚です。
デカールは現在アカデミー社の物になっています。
箱絵
武装部品

 
胴体と主翼部品
 デカールとキャノピー

組み立て

<コクピット>

計器盤・コクピットフロアー・座席・スティックの4点のパーツで構成されています。計器盤とサイドコンソールには何も再現されていないのでハセガワのF-104か計器盤デカールを流用してそれらしく再現しました。座席はフランス機専用らしい形をした物になっておりますが気になる方はハセガワのミラージュF-1の物と交換しても良いでしょう。
マスキングテープをカットして作ったシートベルト追加しました。コクピット内部はクレオスNo72「エアークラフトグレー」で塗装し座席はシートはNo38オリーブドラブで外側とステイックはNo40「ジャーマングレー」で」塗り分けました。

<翼と胴体の組み立て>

3点姿勢なので錘として機首部にM5のナットを入れました。先に組んだコクピットを胴体右側に固定してから左の胴体を貼り合わせます。ここは隙間が生じたのでタミヤのラッカーパテを盛り付けました。次に胴体下面を取りつけます下面と胴体上部を取り付けた時胴体後部(エンジン部)に大きな隙間が生じたので胴体上面側にプラ板を裏打ちしてパテを盛り付けました。
胴体の組み立てが終わったら主翼の上下を貼り合わせます。
主翼付け根側に隙間が生じたのでここもパテを盛りました。


<エアーインテークの取り付け>

胴体と主翼の組み立てが終わったら左右のエアーインテークを取りつけます。そのまま組み付けると胴体との間に大きな隙間とズレが生じますのでデザインナイフで干渉する箇所を削り調整しながら胴体に合わせます。

<整形>

胴体・エアーインテーク・主翼に盛り付けたパテを紙ヤスリ#400・800・1000・1500と番数を上げて削ります。仕上げに2000番の紙ヤスリを掛けた後クレオス#1200のグレーサーフエンサーを吹き付けて1日乾燥させれば整形は終わりです。
(消えたパネルラインの彫り直し)
パテ修正とサフ吹きで消えたモールドを彫り直します。
大きく目立つ平面の直線部分だけをトライツールのテンプレートとP-カッタで彫り直します。次に胴体曲面部をモデラーズのマスキングテープをガイドに貼って彫り直しました。



<塗装>

基本塗装は
上面:ブルーグレー
下面:白
のツートンカラーです。
上面がブルーグレーなので発色を良くするために機体前面にクレオスNo69「グランプリホワイト」を均一に薄く2~3回ハンドピースで吹き付けました。
次にクレオスGX-1「クールホワイト」を更に重ね塗りしました。
白塗装の乾燥のため一晩置きます。
塗装が乾いたら垂直尾翼と水平尾翼の塗り分け塗装を行います白い箇所をマスキングし実機で水色に塗られている所をライトブルーにシアンを足して濃くした色を塗りました。
尾翼の塗り分けが終わったら此方もマスキングして上面のブルーグレーを塗ります。
今回ブルーグレーは既製品を使わずオリジナルブレンドの物を使用しています。
使用した色は
クレオス
No2:黒
No32:軍艦色2(日本海軍)
色の原:シアン
の3色です
軍艦色に黒を数滴足して暗めにしたベース色にちょっとづつシアンを入れ様子を見ながらかき混ぜて作りました。
このブレンド色を上面に塗った次に白を足したハイライト色を塗りましたが白を多めに入れて良かったようです下地のブルーグレーとあまり変わりません。
単調にならないように最後に黒のスミ入れを施しました。



<デカール貼り>

マーキングは今年でフォークランド紛争勃発30周年なので わずか5機の非力な戦力でイギリス海軍の艦船2隻を沈めるという快挙を成し遂げたアルゼンチン海軍のマーキングにしました。
アカデミーのデカールは糊が弱く感じたのでマークセッターを使用して補強しました。
白い文字類の発色は良いですがコーションデカールの一部に版ずれが有ったり「?」の物も有ったので大きな文字以外はほとんど貼りませんでした。



<脚の取り付けと仕上げ>

ランデイングギアー類はクレオスNo8「銀」で塗りタイヤはNo40「ジャーマングレー」で塗り分けました。
ランデイングギアーに多めに接着剤を塗りしっかり取り付けます。
脚カバーの取り付け位置が分かりにくいので実機写真等の資料を参考にしました。主脚カバーは大きく外側に開いているのが正しいようです。脚の取り付けの次はパイロン・ドロップタンク・エクゾゼミサイル・着艦フックを取りつけました。
着艦フックの色は良くわからなかったので資料DVDの中では焼鉄色に見えたのでそのように見えました。
最後に小さなアンテナ類を付けてクリアーを吹き付けて完成です
今回はフォークランド紛争から30周年経った節目の年の最後の12月にシュペールエタンダールのキットを製作する機会を与えてくださった編集部に感謝です。



<参考資料>

大日本絵画:スケールアビエーションVol 88号
インターネット「ウィキペディア」
DVD:映像戦史・世界の空軍「フランス海軍航空隊」
より


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Vol48 2012 December   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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