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FOLLAND GNAT T.1(エアフィックス 1/72)の製作

by 田口 博通 Hiromichi Taguchi       



 今月のお題は エアフィクスということで、2012年に新金型でリニューアル発売されたGNAT T.1を作ってみた。同じナットでも初期型だった先代は1960年代雰囲気のビニール袋詰めの簡単なキットだったが、主翼を大型化された発展型のT.1型となった実機同様にプラモの方も大幅な進化を遂げ、かなりいい感じのキットとなって発売されている。部品分割と部品間の合いも現代的によくなった。 パネルラインはメリハリの利いた少し太目の筋彫りで、銀塗装の場合もスミ入れせずとも大丈夫なようである。 このナットのキットはAIRFIXの伝統を受け継ぎ、スタイルのとらえ方がうまくて、ストレートに組んでも、出来上がると写真のように、小粒だが十分満足のいく作品が完成する。価格も安くお買い得。
 主翼のスリッパ式タンク の他、細かいアンテナ部品と、パイロットが2体付属している。
デカールはフライングスクールのマーキングのもので、各所の細かい注意書きまで入った詳細なものとなっており、印刷もしっかりしている。昔のAIRFIXとは隔世の感がある。
箱絵
箱裏はカラー塗装図になっている。
デカールと透明部品 リニューアル金型版はランナー枠2部品で構成されている。


 実機について
ナットは1950年代に英空軍の要求で開発されたジェット戦闘機である。1952年に開発を開始し、1955年に初飛行を行った。小型軽量化を図り安価でメンテナンス容易性を主眼にし、開発された。GNAT T.1はその複座練習機型。運用期間は短いが、イギリス空軍のアクロバットチーム「レッドアローズ」で使用され有名になった。Gnatとは英語でアブの意味。

 ナットの主翼は高翼配置であり、インテイクは翼下機体両脇にあり、単発低出力のエンジンを搭載していた割には高速だったが、音速を突破できなかった。
ナットは運動性と取り扱いやすさは優れていたものの、軽量、小型過ぎ、武装搭載量や航続距離が不足しイギリス空軍では8機の試作発注を行ったものの、戦闘機としては結局採用されなかった。
複座練習機型
 戦闘機としては採用されなかったナットだが、イギリス空軍では、Fo.114(後にナット T.Mk1に変更)の名称でイギリス空軍の練習機として1957年に採用した。
 練習機型は、戦闘機型と比べて胴体が0.64m延長されタンデム複座式となり、主翼は翼幅、弦長を増加し内翼にフラップ、外翼にエルロンを装備した。
 また、スリッパのようなややつぶれた形の増加燃料タンクが装備されるようになった。
 戦闘機型同様、運動性に優れ操縦しやすい機体だったが、機体サイズの小ささ故にコクピットの居住性が悪いことが欠点であった。
 1962年から訓練部隊に配備が開始され、105機生産された。
空軍の曲技飛行隊であるレッドアローズの装備機としても有名で、1965年から1979年までの間本機が利用され、1979年にBAe ホークと機種交代して退役した。
  • 全長:8.74 m
  • 全幅:6.73 m
  • 全高:2.46 m
  • 自重:2,175 kg
  • エンジン:ブリストル オーフュース 701-01 ターボジェット (推力 20.9 KN)1基
  • 最大速度:1,120 km/h
(wikipedia より引用)



[製作の注意]

 キットは グレーの少し柔らかめのプラで成型されている。 
 コクピットは床板に、計器パネルと操縦席、操縦桿を接着するようになっている。シートはシートベルトのモールドもない簡素なものだが、パイロットを乗せるので、塗装するだけにしておいた。
内部はダークガルグレイで塗装し、黒、オリーブドラブ、銀などで塗り分けておく。計器はデカールとなっている。

 コクピット



 胴体はインテークのエアダクトも部品化されている。昔のエアフィックスのジェット機に共通する大きな欠点はエアダクトがなく胴体の大穴がインテークから見えることだったが、きっちりと解消している。日本がバブル後の失われた20年間をウロウロとしている間に、大英帝国はしっかりと着実に進化していたのだ。

おもりが必要だが、機首では場所が充分でないので、コクピットの後ろにも 粘土でつめこんでおく必要がある。




[塗装]

 

 指定塗装は フライングスクールのもので 全面 シルバーに ファイアオレンジとなっている。
今回は小型のため、全て グンゼカラーを筆塗してみたが、エアブラシがあれば、もっと簡単だろう。

下塗りに つやあり黒を塗装し、乾いたら シルバーを筆で塗っていく。エルロン、翼前縁などパネル毎にシルバーの色調を変えると 変化がつく。

黒下塗りの上を銀で 塗装

銀塗装はこんな具合になる。


マスキングテープでマスクし 翼端のファイアオレンジと、機首反射防止の黒艶消しを塗装する。

 マーキングはキットデカールを使った。印刷もしっかりしていて上質なもの。グンゼのマークセッターで糊を補強するとよい。
 風防は枠をつやけし黒で下塗りした上に、シルバー色を塗るようにすると透けない。 
 パイロットは 後から搭乗させることができなかったため、やむなく 計器板下に入る部分の脚を切り、強引に搭乗させた。  

主脚柱と前脚柱は角度に注意して取り付ける。
主脚のタイヤは自重変形タイヤになっているが、脚軸が四角棒となっていて 接地面がきちんととりつけられるようになっていたのはエライ。

 


完成

  小さい機体のため、数日あれば 確実に完成するだろう。
 完成してみると 機首の細さの割に 胴体が幅広いのが特徴になっていることに気付く。GNATは単発だが 日本のT4練習機がGNATに似た雰囲気がある。やはりこれが 練習機のレイアウトの王道なのだ。 実にいいフォルムで、やはり イギリスジェット機はエアフィックスに限る。






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