Home> 連載 世界の名作発掘(第39回) MRCA・パナビア200 (エアーフイックス1/72)


連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第39回)

MRCA・パナビア200 (エアーフイックス1/72)

by 鳥巣 Torisu           /    


 

<実機解説>

1960年代末NATOは加盟国で使用されているF-104の後継機として多用途の戦闘攻撃機を模索していた。そしてイギリス・西ドイツ・イタリアの3か国が共同で立ち上げたパナビア社によってMRCA(多目的戦術機)が1969年に開発が開始された。戦略思想がそれぞれ違う3国の要求をまとめるのは容易ではなかったが妥協の産物として機体は双発エンジン搭載でパイロットは2名そして短距離離着陸と長い航続距離の要求を満たすために採用された新技術の可変翼さらに超低空を正確に長く飛べる高度な航法システム等多くの新技術を盛り込んだMRCAは膨れ上がる開発費・エンジン開発の遅延のアクシデントのあいながらも1974年には初号機が初飛行し翌75年以降は生産も開始され採用各国へ逐次配備された。 1980年代の冷戦ピーク時には西ヨーロッパにおいて対峙するワルシャワ条約機構への槍としてヨーロッパの空を守り通した機体である。
諸元
全長:16.7m
全幅:13.9m(主翼拡張時)
    8.6m(主翼後退時)
エンジン:ターボユニオンRB199-34R×2
最大速度:M2.2(高度11000m)
航続距離:3000km
武装:マウザー27mm機関砲×2
   ハードポイント胴体下×3・翼下×4



<キット解説>

エアーフイックス社が実機が初飛行した後の1970年代中頃に発売したキットです。
全面凸モールドですが五月蠅くはなく比較的あっさりとしたモールドです。
多用途戦闘攻撃機のためかマーテルズ空対地ミサイルを始め1000ポンド爆弾やスパロー等多くのウエポンが同封されています。デーはカル試作2号機のほかRAFと西ドイツ海軍の3機種がチョイスされています。
基本パーツはランナー枠2個分と少なめのパーツで構成されています。ビキナーでも組める配慮がされています。

製作

<コクピット>

コクピットフロアー・サイドコンソール・メインパネル・射出座席・ステックの5点で構成されています。
胴体のコクピット内側とフロアーパーツをエアークラフトグレーで塗ります。次にパネル等の細かい箇所の塗装を行います。
パネルはモールドが施されているのでジャーマングレーを塗りエナメルの銀でドライブラシを施してモールドを浮きたてました。
射出座席もジャーマングレーで塗りました。今回もパイロットを乗せてキャノピーを閉じたら計器パネル等コクピット内部は全く見えなくなりました(泣)。
塗装したパネルとステックそして座席を取りつけたらコクピットの組み立ては終わりです。


<翼と胴体の組み立て>

コクピットの組み立てが済んだら胴体と主翼の組み立てに入ります。
この段階で胴体下部と翼のウエポンパイロン取り付け用穴を開口します。
今回の作例では胴体下部に大型パイロンが2箇所主翼に左右各2か所の標準装備を選び隠し穴を開口しました。
パイロンの取り付け穴を開口したら機首部に尻もち防止にM8のナットを錘として入れました。
次に先に組み立てを済ませたコクピットを取り付けます。
コクピットを組み込んだらこのキット製作の山場である可変翼の取り付けに入ります。
先にパイロン取り付け穴を開口した主翼下面を上面に取り付けます

そして次に左右の主翼を胴体下部に付いている主翼化動軸に主翼前側にある大きめの穴を通します。この箇所には動くので絶対に接着剤を付けないでください。主翼を可動軸に通したら主翼連動桿を右翼前方の小さな穴に通した次に左翼後方の小さな穴に斜め方向に向かい通します。ここも可動する箇所なので絶対に接着剤を付けないでください。主翼の取り付けが済んだら水平尾翼を取り付けます。
こちらも上下に可動することができますが動かすとガタが生じたので固定にしました。
コクピット・主翼・水平尾翼の取り付けが終わったら胴体上部を貼り合わせます。
胴体の次はエアーインテークと垂直尾翼を取り付けます垂直尾翼の取り付け箇所がフイットしないのでデザインナイフと棒ヤスリで削り調整しました。
最後にエアーブレーキを取り付けますがここは開閉選択式です、作例では閉を選びました。



<ポリパテ修正と整形>

通常ならばあまりポリパテは使用しないのですが今回は大きな隙間と段ズレが生じたので使いました。
使用箇所は胴体上下貼り合わせ部分とエアーインテークそして垂直尾翼の取り付け部の三か所です。
胴体の貼り合わせ部の上下にマスキングテープを貼り余計な所にパテが付くのを防ぎました。
ポリパテを盛り付けて1日程乾燥時間を置いて紙ヤスリ#240・400・800・1000・1500と番数を上げて削ります。最後に#2000で軽く撫で#1200のグレーサフを吹き付けて整形作業は終わりです。

<スジ彫り作業>

整形作業中に消えた凸モールドのパネルラインをP-カッターで直して再現します。再現したのは胴体に有る大きなパネルラインのみです。モデラーズのマスキングテープをテンプレートとして貼りP-カッターでパネルラインを彫り直しました。 主翼と水平垂直尾翼には施しませんでした。
チグハグなパンルラインの作例となりましたが全て彫り直す気分になれませんでした。



<塗装>

作例では色が派手で国籍マークが3カ国分ア描かれている箱絵とインストに記されている「試作2号機」にしました。
先ずはクレオスのGX-1「クールホワイト」で機体全体を塗ります。ベースのホワイトが乾燥したら翼と尾翼にマスキングテープを用いて塗り分けラインをマスクします。
マスクが終わったら赤(クレオスNo79シャインレッド)を塗ります。赤の塗料が乾燥したら機首部上面と垂直尾翼の先端を除きすべてマスキングテープでマスクしてクレオスNo92セミグロスブロックを塗ります。この3色の塗り分けを施して最後にエンジンノズル周りをダークアイアンで塗れば基本塗装は終わりです。



<脚部パーツの取り付け>

基本塗装が終わったので脚周りの部品を取り付けます。
脚周りは脚柱とタイヤホイールを銀で塗りタイヤをジャーマングレーで塗り分けました。
脚カバーは両面とも機体色と同じクールホワイトで塗りました。
キャノピーと脚周りの塗装が済んだら各パーツを取り付けます
脚はしっかりと取り付けられますが脚カバーは取り付け穴等が無くイモ付けになってしまうので多めに接着剤を塗取り付けました。
最後に胴体下のパイロンを取り付けて細部パーツの取り付けは終了です。



<デカール貼り>

経年劣化が有り少し黄ばんでいますが最悪な状態ではなかったのでそのまま使用しました。
やはり経年劣化でお湯に浸してすくい上げた途端ブチブチと一部のデカールが切れてしまい使えなかったのでジャンクパーツから一部流用しました。
インスト通りにデカールを貼り固定するために一晩置いてハンドピース用にジャブジャブに希釈したクリアーを数回に分けて薄く吹き付けコーテイングしました。



<仕上げ>

クリアーコートが終わったらキャノピーとピトー管を取り付けて完成です。
この作例では主翼のパイロンと爆弾等のウエポン類は一切付けませんでした。
トーネードの特徴あるスマートな形を見てもらいたくそのようにしました。
それと主翼の可動を楽しむ時にパイロンやウエポン類が邪魔になり破損するのを防ぐためでもあります(苦笑)
今回も今では希少なエアーフイックス社のトーネード試作型を製作する機会を与えて下さった編集部に感謝です。




<参考資料>

キットのインスト
光人社NF文庫「続々・飛べ飛行機」
ウキペディア
以上より参照。


Home> 連載 世界の名作発掘(第39回)MRCA・パナビア200 (エアーフイックス1/72)

Vol51 2013 March   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
  無断転載を禁ず  リンクフリー
「webモデラーズ について」

特集1



TOTAL PAGE