72スケールは、細かいことを言わず、たくさん作って塗装のバリエーションを楽しむには最適のスケールです。
1/72の大戦機とジェット機プラモデルの普及にハセガワが1960年代から1980年代に果たした役割は大きく、それは評価して良いのではないでしょうか。
できれば、ハセガワには安い価格帯の72商品を発売続行してもらって、塗装バリエーションコレクション作りを楽しませてもらいたいところですが もうかなわぬご時世なのでしょうか。
1機1500円以上の72プラモでは さすがに 数を揃えて楽しむことはできません。
ましてや、最近とみにひどくなった同一機体を2機コンボにして 販売単価を上げる営業手法は なりふりかまわないといった感じでメーカーさんの観点ではよいのでしょうが、我々購買者の足を遠のかせるだけでなく、模型店の在庫金額の負担も増します。ますます 経営難に陥る弱小模型店が多くなることでしょう。
この点、近年のイギリスエアフィックスの72新金型リニューアル攻勢は、組み立てやすくなり、価格も安く設定してあり、非常にパフォーマンスの高いものであることが実感でき、あちこちで話題になっています。 ブランドの再活性化だけでなく 新たに72スケールに取り組む新興国のユーザー層の開拓も目的にしたらしく、新金型費用を投資するにあたって、しっかりした投資ファンドがエアフィックスの今後の商品戦略を練ったと漏れ聞きます。 日本でも、模型店で久しくみなかったエアフィックス製品が棚のど真ん中に並ぶようになり、リニューアル投入によるエアフィックスブランドの再活性化は成功したといえるのではないでしょうか。 |
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ハセガワのムスタングは旧版でも形状に不満はなく、リニューアル新版が発売された時にパネルラインが凹彫りになったものの、他に目立った改良点も見えず、なぜ、これで値段が5倍になるのだろうと納得がいかなかったことがありました。
対してエアフィックスの2012年に発売したリニューアル版P51Dムスタングは旧版と全く別物と抜群に良くなり、かつ価格は低く抑えてあり、1999年発売ハセガワ新版の半額で買うことができます。これは何の差でしょうか? コストの差とは思えず、プラモデルというコモデティ商品に対する戦略の違いなのでしょう。
日本のメーカーでは一社バンダイが購買し作る層をよくリサーチし、そのセグメントにあわせた商品設計や、企画が緻密に行われており、キャラクタープラモではありますが、箱をあける度に驚嘆することが度々あります。 幼少年向けプラモは色プラで接着剤も塗装もいらず、ランナーからもぎとるだけでしっかり完成するように配慮されて設計されています。、一方 マニア向けの商品はかなり凝った作りがされています。ゲートの位置やパーツの勘合はいずれもハイレベルです。
ハセガワだけでなく日本のスケールモデルのプラモメーカーは32、48、72とスケール毎の商品価格帯やターゲット客層など 企画のあり方とセグメントマーケティングを真剣に見直すべきでしょう。
最近はユーザーをわくわくさせるような+アルファを持ったプラモデルが登場していません。
旧態依然とした精密路線と金型償却費だけから価格設定する思考停止路線から抜け出す努力をしなければ、鉄道模型と同様の衰退の一途をたどることになると思いますが、 いかがでしょうか。 |