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誌上個展

レベル・ファイターシリーズを追って
(PZL.P11c)

by  コルディッツ

  40年以上も前にレベル・ファイターシリーズと出会い、以来プラモデルファンを続ける
コルディッツです。プラモデルファンと自称しながら、実はプラモデル製作は日々以て遠く、
さらに近頃は老眼のために、一生かかっても作り倒せないプラモデルの山を前にして、
ため息をついているヘタレです。
 その一方で、レベル・ファイターシリーズで知った実機を見に行く旅をしていました。
 その資料が溜まって来たので、皆さまにもご紹介したく、投稿させていただきました。
 現物を追っかけているうちに、プラモデルの多少の不出来や考証不足は、あまり気に
ならなくなりました。もしかすると日本のプラモデル業界・ファンが、考証にこだわるのは、
現物を見れず、図面や写真から想像するしかない焦燥感の現れと思うようになりました。
 この視点から考えると、レベル・ファイターシリーズやエアフィックス、フロッグの1960
年代、70年代のキットは、現物を前にした「実機らしさ」をよく掴んでいると思います。
 今回紹介させていただくレベル・ファイターシリーズの実機は、私の個人的趣味から
WWⅡのマイナー機にこだわっていますので、ご了承ください。
 第二次世界大戦まで、独自の航空技術を発展させていたポーランドの生んだ高翼で
ガル翼の戦闘機です。第二次世界大戦のポーランドは独軍とソ連赤軍の侵攻を受けて、
1ヶ月で崩壊したので、時代錯誤の軍隊で有効な戦果はなかったと誤解されていました。
昔見たミリタリーミニチュアの情景写真集には、ポーランド騎兵隊がドイツ軍のⅡ号戦車
部隊に無謀な突撃を敢行している物がありましたが、実際には騎兵部隊は独軍に損害
を与えているようです。ポーランド空軍もPZL社製造のP11cの活躍で、114機の損害で
独軍機130機以上を撃墜するなど敢闘しています。
 私の記憶ではグンゼレベル版説明書には、実機はワルシャワの技術博物館に残って
いるとありましたが、タカラレベル版説明書では、キットはワルシャワにある「複製機」を
原型にしたとあり、がっかりしました。その後ドイツで買った「ヨーロッパの航空博物館
ガイドブック」(独語)に、クラフクの航空博物館にP11cがあるという記載を目にし、思い
立ってから40年、やっと実機を拝観する機会を得たものです。
 クラフクのポーランド航空博物館で購入した博物館ガイドブック(英文)によると、この
P11cは、元々クラフクに配属されていた機体で、独軍に捕獲されて、その後空襲を避け
てポーランドに戻され、廃棄された物とのことです。
 第二次世界大戦初期、ドイツはベルリンの航空博物館に捕獲機を展示していたようで、
ベルリンの技術博物館には当時の航空博物館全体のミニチュアがあり、確かにその中
にPZLP11cの模型がありました。故佐貫又男教授の「ヒコーキの心」によると、連合軍の
ベルリン空襲で博物館のリヒトフォーヘンのフォッカーDrⅠは焼失したとありましたから、
その前後にMe209V等と共にポーランドに疎開したようです。
 クラクフは第二次世界大戦でも破壊されることなく、市内は中世の町並みを残している
世界遺産のある観光地。アウシュビッツ収容所跡へのゲートや、日本の美術品を集めた
「マンガ館」のある事で名高い「ポーランドの京都」です。
 ポーランド航空博物館はクラクフ市東部の公園のような所にあり、市内中央からトラム
で行けます。2011年5月当時はトラム4番線で、約15分行った6つ目の駅「ASW」で
下車、北側の歩道を市内中央の方向に1~2分の戻ると、航空博物館を示す標識が
あり、標識に従って小道を入って行くと、すぐに博物館のエントランスホールが見えて
きます。エントランスホールで入館料を納めますが、ここには売店もあり、PWS-26等の
機体も展示されています。エントランスホールを抜けると、すぐ野外展示場ですが、ここ
には廃棄されたように見える、冷戦時代の旧ソ連機(ポーランドや当時のチェコスロバ
キアで製造された機体も含む)が、大量に展示されています。冷戦以前の機体は複数の
ハンガーに分散されて展示されていました。
 現存するPZLP11cはこのクラフクの機体だけのようですが、輸出型のP24はトルコの
イスタンブールにある空軍博物館で拝観しましたが、残念ながらその時の写真を見つけ
られずにいます。首都アンカラの空軍博物館でもP24を展示しているということですが、
一機を持ち回りで展示しているという説があります。真相は如何に?



P11c クラクフの第2連隊第122戦闘機飛行中隊所属








P11cは地上攻撃機としても投入されました。

















その他ポーランド航空博物館の写真


エントランスホールのPWS-26

スピットファイアLF Mk.ⅩⅥE

YAK-18 貴重な機体とのことで、博物館のBf109G6と
交換展示中とのことです!

撃墜されたP39の主翼、垂直尾翼部分

YAK-11

カーチスホークⅡ



YAK-17UTI

YAK-23

Me209V1

エンジンのコレクション

ベトナムから送られたF105

MIG-21FM



アビアB-33(IL-10)

TU-2S


PZLP23カラスのモデル

野外展示の旧ソ連機

MIG-29UB

Li-2



サーブAJSF37 ヴィゲン

IL-28U ECM(電子妨害)機

なぜかソッピース・キャメル

ハルバーシュタットCl.ⅠⅠ



トラム停車場



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