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連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第43回)

 F-14A「トムキャット」 (モノグラム1/72)

by 鳥巣 Torisu           /    


 

<実機解説>

 F-14の構想は古く1950年代にソ連が対艦ミサイルを実用化し大型爆撃のTu90ベアやバジャー攻撃機の脅威が現実になるとこれらからアメリカ海軍機動部隊を守る防空戦闘機の開発が急務になった。その回答がマクダネル社のF-4Hの採用であった。海軍は当面F-4Hで防空任務は任せられると判断したもののソ連の対艦ミサイルの長射程化や近い将来出現するであろう超音速爆撃機に対抗する全く新しいウエポンシステムが必要になるであろうと考えた。この当時レーダー技術やミサイル技術は急速に発展し始め長距離レーダーと長射程ミサイルの実現が現実味を帯びてきて1959年には150キロの探知能力を持つレーダーと長距離ミサイル「AAMN-10」を搭載した亜音速の防空戦闘機開発を各メーカーに指示しダグラス社「F6D-1」案が採用されたが1960年に「防空しか能力のない機体を置く場所は空母には無い」との理由でこの計画は白紙にされた。 その後マクナマラ国防長官の時代になり悪名高い空軍と海軍の戦闘機の統合計画が提案され空軍主導のF-111計画が海軍にもゴリ押しされたが艦載機としては大幅な重量オーバーや大きな機体の取り回しの悪さからF-111とは別の海軍独自の戦闘機計画が持ち上がり1968年に新型艦上戦闘機VFXとして各メーカに指示した。その中のグラマン社が提案したタンデム複座で可変翼を持つモデル303が採用され1969年にF-14として採用された。異例の速さで開発は進み1970年のクリスマス直前の12月21日に初飛行を行うという驚異の速さで誕生した。
異例のスピードで誕生したF-14ではあったがグラマン社と海軍との間で機体代金の支払いを巡るトラブルが勃発し量産機の部隊配備は1973年にまでずれ込んだがその後銀行やイランからの融資でグラマン社は持ち直して生産は順調に伸び最終的にはレギュラースコードローン24個、リザーブ4個そしてトップガン等にも配備されアメリカ海軍の守護者として2006年までの30年以上に渡り君臨し続けた。



<キット解説>

実機モックアップが発表された翌年の1971年に発売されました。
中身はビキナーやプラモデルを作らない層にも配慮した「F-14はこんな形の戦闘機だ」と少々乱暴な感じのするスナップタイトキットです。
子供向けのイージキットの用に思われてしまう内容ですがF-14の最大の特徴である可変翼は動くし組み立ても素
組なら1時間ほどで済みそうな優しいキットです。

胴体部品
主翼部品

製作

<コクピット>

ビキナー向けのスナップタイトのキットなので胴体上部にコクピットが丸ごと一体整形されており組みたて作業はありません(笑)
MrカラーNo317でコクピットを塗った後に座席をジャーマングレーで塗り分け計器パネルにはハセガワの旧版F-14からデカールを流用して貼りました。
付属のパイロットを塗り分けて座席に放り込んだらコクピットの製作は終わりです。



<胴体上下と翼の組み付け>

先ず胴体上部部品に初期型特有のグローブベーンを左右に取り付けます、次に可変翼(可動する)を取り付けます。これで胴体上部の組み立ては終わりです。
胴体上部ができたら胴体下部を貼り合わせベントラルフインを取り付け、垂直尾翼・脚カバーを取り付ければ機体の基本工作は終わりです。
胴体の貼り合わせ部にラッカーパテを盛り付け整形し#1000のグレーサフを吹き付け乾燥後にパネルラインを彫り直せば整形と修正作業は終了です。


<追加工作>

実はこのキットは所属サークルの会員から譲って頂いたものでモノグラムのキットの他になぜかフジミのF-14のミサイルランチャー類一式同封されていたので有りがたく使わせてもらいました。
取り付け位置はフジミのインストや実機資料を参考にして着けました。
ミサイルは手持ちのフジミのF-14から引っ張り出しデカールはハセガワの物を使いました。




<塗装>

1970年代初頭のカラーリングをイメージして
機体上面:ガルグレー
機体下面:ホワイト
機首部  :レドーム
の3色で塗装しました。
機体下面にMrカラーNo69「グランプリホワイト」を塗ります
次に機体上面にMrカラーNo315「ガルグレー」を塗り分けます。
アクセントとしてパネルラインにシャドウー吹きとしてジャーマングレーを塗りその上に「ガルグレー」をオーバースプレーしました。更にエナメルの「スミ入れブラック」でウオッシングを施し塗装は完了です。




<デカール貼りと仕上げ>

オリジナルのデカールは経年劣化で全体にヒビが入り使用できなかったのでコーション類はハセガワのF-14・垂直尾翼のティルコードはメーカ不明のジャンクデカール・国籍マークとネービーの文字はハセガワのA-7コルセアからと言ったオールジャンクデカール仕様です。
もちろん架空マーキングです(笑)
ミサイルとキャノピーを取り付けた後クリアーを吹き付けて完成です。
プラモデルトいうよりはデスクトップモデルと呼べるキットですがこの珍しいキットを製作する機会を与えて下さった編集部に感謝です。
参考資料
モデルアート別冊
モデルアート プロフィール
「F-14トムキャット」







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