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RF-101C ブードゥー
(ハセガワ 1/72)

by 加藤 寛之



 発売まもなくのころ、兄がこのキットを作った。すごくカッコ良かった。1969年春の発売だから、それから45年が経過したことになる。調べてみたら、1988年夏ころに金型改修してカメラ窓を透明パーツ化していた。どうりで、透明パーツの合いが良かったはずだ。最近は、このキットは廉価な定番商品での製造はないようで、店頭で見ない。このキットも、だいぶ前の生産品だ。  この時代のキットは、金型の合わせ目にめくれ上がったようなバリを持っていることが多い。いたるところにあるので、これの処理にだいぶ時間がかかった。また主翼には金型劣化のためか、表面の歪みやキレの悪くなった部分が目立った。これらの改善を済ませてから、組み立てを始めた。




 コックピットは両脇が机のように出ている床板に簡素な椅子が付き、正面に計器モールドのない平面の計器盤がある。これでオワリ。床の裏面は前脚庫を兼ねていて、手際の良い構造だ。発売時は、これでも立派な再現であった。コックピットに関心がない私は、こういう簡単な構成が好き。灰色をペタペタッと塗っておけばよい。主翼は胴体下面と内翼下面が一体で、左右の内翼上面と外翼上下面が一体なので、主翼は計3パーツである。外翼部分は事後変形で下方へ曲がっていたので、力まかせで曲がりを矯正した。主翼を組んで胴体に組ませてみたら、上面側は胴体とピッタリだが、下面は胴体との部分に段差があった。この段差は主翼パーツ側の内側をニッパーで挟んで広げ、僅かではあるが強引に曲げて合わせた。 垂直尾翼はラダーが別パーツ。垂直安定板との合わせは、丁寧に行う必要がある。水平尾翼にも事後変形があったので腕力で矯正したら、真っ二つに折れてしまった。接着して直したが、よ~く見ると割れた痕跡がある。主翼付け根の吸気口は、中の仕切りの正面に細いプラバンを貼って整形の手抜きをした。あとは、丁寧に組んでいけばよい。主脚、前脚の取り付けは、意外なほどしっかりしている。実感よりも、プラモデルとしての構造で型を作っているからだろう。よい設計だ。風防も、この時代のキットとしては隙間が少ない。これも真っ直ぐな部品分割で造ってあるからだろう。




 塗装はGSIクレオスMr.カラーを使った筆塗り。銀色は、噴き付けの方がずっと滑らかに仕上がる。「どうにかやって、筆塗りで平滑に塗れないものか」と以前は思っていたが、これは難しい。今は、筆を動かして塗った跡を活かすようにしている。 筆塗りの味わいは、噴き付けでは出来ない手作り感だから、「これでOK、噴き付けでは出来ないでしょ」と思っている(思うことにしている)。




 問題は劣化してしまったデカールで、水に入れても剥がれない。お湯でも剥がれない。熱湯で煮ている感じにしても剥がれない。糊が猛烈に濃厚で、水分を含んでも動かないのだ。そこで、デカールと台紙の間に金属ヘラを差し込んで、強引に分けることにした。だいたいはうまく剥がせたが、一部でデカールが切れたり、色が剥がれ落ちたりした。 最も損傷が大きかった垂直尾翼の派手なマークは、ついに使用できなかった。代わりに、何のキットのものであったか判らない虹色の余りデカールとロシアの星印を組み合わせて、でっち上げ部隊マークを貼っておいた。まあ、昔にはよくあった「余ったシールは好きなところに貼りましょう」みたいなもので、私はこれで構わない。




 とりあえず完成とする。風防、特に前方が幅広すぎるようだが、この時代のキットであれば充分に合格水準だ。表面の凸線モールドも重厚で好ましい。なによりも部品分割に無理がなく、組み立て作業が単純でよい。しかも出来上がってみれば、全体の姿に堂々とした力感があり、チマチマしていない。 古いキットだが、立派なキットである。だが金型の高齢化は隠しようがないから、高い値段で再販しては地道に働いてきたこのキットに無慈悲な批判を向けさせるだけある。相応に、が優しさである。


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Vol61  2013 November.     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /             editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー

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