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「スピリット・オブ・セントルイス」
(テスター 1/72)

by 加藤 寛之



 あえて説明すれば、リンドバーグが飛行機で大西洋を越え単独無着陸でニューヨーク~パリ間の飛行に初めて成功したときの機体である。くどいように思うが、単に大西洋横断なら船で行き来できる。飛行船でも横断できる。 いわゆる飛行機でも既に飛び石づたいで横断していたし、単独でもないし大都市間でもないけれども無着陸飛行もビッカース・ビミーが先に成功している。しかしそれで、リンドバーグが達成した偉業が揺らぐことはない。




 「スピリット・オブ・セントルイス」の1/72キットはフロッグもあったようで、こちらの方が評価は高い。そうはいっても私は持っていないので(たぶん)、テスター製を組んでみた。旧ホーク製で、スタンドには「Hawk」のモールドがあった。部品数は少なく大雑把なキットだが、箱の完成写真は確実に「スピリット・オブ・セントルイス」に見えるし、手を加えて形を直したところで「スピリット・オブ・セントルイス」にしか見えないだろう。それならばキットのままでよい。記念碑的な飛行機のキットなので、精密さや正確さにこだわる必要はなかろう。 そうはいいながら製作の参考にしようと雑誌をとりだし掲載写真を見ていたら、横断飛行の際の写真、現状の写真、映画用の写真などが混ざっていた。今までボ~と見ていたので気付かなかった。ここで考証してもよいのだが、どこまで追求しても“スピリット・オブ・セントルイスですね”となってしまうだろうから、おおらかに対処することにした。




 コックピットは何もないから、すぐに左右胴体を貼る。それなりに接着跡をきれいにし、ラダーの形をちょっと修正。主翼・尾翼は単調な造形だが、動翼の彫りを深くしたくらいでよしとする。支柱類はひどく太いが、バリや金型の合わせ目を整形してオワリ。支柱を組むとタイヤが前から見て逆ハの字になるのは実機どおりだが、支柱とタイヤが離れすぎる。これは支柱側をちょっと削って距離を狭くしておく。 水平尾翼の支柱は大胆にも完全省略している。これは支柱を追加する。プロペラはすごい厚みだから、薄く削ってそれらしくする。ピトー管や主翼上にある3本のナンだか分からない曲がったパイプみたいなものは、真鍮線をつけておいた。




 次は塗装。機首は金属面をバフで磨いた丸い跡があり、それ以外は銀ドープ塗装だろう。まず全体を銀+灰色+艶消剤を混ぜた色で塗る。つまらない銀色になる。まあ、しかたがない。機首は黒を加えた銀でポチポチ塗装をしてオワリ。塗装嫌いな私は“ちゃんと塗ろうという”気持ちに欠けるので、この程度のラフさでかまわない。面白いのはタイヤで、実機は側面に張った布地を銀色に塗るときにタイヤまではみ出して吹き付けている。
主翼上下面にある黒文字は、キットに彫ってある「デカールはここですよ」の凹モールドを利用して自分で塗ってしまった。理由は、凹モールドとデカールが合うとは思えなかったから。「ここですよ」は機首と垂直尾翼の文字にもある。凹彫りがあってはデカールが浮いてしまいそうなので、これらは事前にパテで埋めておいた。
 塗装は3時間ほどで終わり、デカール貼りも少ないので、簡単に出来上がった。最後に窓にマスキングをして「トップコート半光沢」を噴いておく。これをすることで、艶消剤を加えた銀色の定着をよくしている。




 かなりテキトウに作ったのだが、だれが見ても立派に「スピリット・オブ・セントルイス」である。深く考えずに作って正解であった。 ところで、垂直尾翼に書いてあるように同機の機種名は「N.Y.P.」というが、これはニューヨークとパリからとった呼称である。


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Vol61  2013 November.     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /             editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー

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