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誌上個展

「普通科の守り神」

by オンケル・ハイニ

まいど、オンケル・ハイニでおます。
今回はファインモールドの「73式小型トラック(無反動砲搭載型)」を製作しました。



ファインモールド社は以前から旧日本軍や自衛隊の戦闘車両をキット化していて、日本軍ファンにとっては、頼もしい貴重なメーカー様であります。
しかも、非常にマイナーな「こんなもん売れるんかいな?」と首をひねるような車両までキット化しくれています。



この「73式小型トラック」等も どマイナーな車両で、まあ日本以外の国では売れないだろうことは容易に想像できます、そのような車両を発売してくれるファインモールド社に感謝しつつ制作しましょう。



小型の貨物車両に無反動砲を搭載する、という手法は中東などの紛争地帯で四輪駆動車や小型トラックに搭載され、手軽で有効かつコストパフォーマンスに優れた火力の運用方法として世界中で古くから行われています。
陸上自衛隊でも早くから無反動砲をジープや小型の装甲車両に搭載して、普通科部隊の貴重な対戦車火力として長く運用していました。



私がこのキットを購入したのは、田辺節雄さんの劇画「戦国自衛隊」に登場していた事から、60式APCと組み合わせて戦国自衛隊の劇画版ディオラマを作りたいと思ったからですが、よく考えると劇画の連載が1975年からで73式だと、可能性がないわけではないけど、時期的に見て劇画に登場したのは多分73式の前の1/4tトラックだろうな…。
余談ですが、劇画での射撃シーンで無反動砲なのに砲が後座している様に描いていたのが印象に残っています。



キットは細部まで非常にシャープに再現しています。
細かいパーツが多く、初心者にはちょいと組み辛いかな?とは思いますが、元々こんなマニアックな車両を初心者が買うわきゃない、…かな?
インストで分かり辛い部分がいくつかあります、車体下部のパーツで取り付け位置や、無反動砲のスポッティングライフルと射撃照準器の取り付け基部の向きが分かり辛く、私も基部の向きを裏表逆に取り付けてしまい、スポッティングライフルの取り付けが出来なくなって間違いに気づく、などと言う事もありました。
また、尾栓を開くか閉めるか、照準器のカバーを開けるか占めるかの選択については、単にどちらか選択するようにの指示のみで、何のための選択かの説明は一切なし、やや不親切ではないかと思います。



組み立てについては、細かい部品の切り外しと接着時にパーツを飛ばさない事に気をつけて行えば問題はありません、と、言いながら、2つほど飛ばしてしまいました、リカバリーが容易なパーツだったのが幸いでしたが、模型製作上恒についてまわる宿命、とは言えやはり飛ばしてしまうと、しばらくショックで手が止まってしまいます。

オープントップ車両の場合、塗装は制作しながら同時並行で行っています。
まず、車体下部を艶消しの黒で塗ります、陸自車両は錆止めをかねてか、フェンダーの裏側まで真っ黒です。
車体上部は、オリーブドラブ(OD)の単色塗装です、ある程度組み上げたら、基本色のODを吹き、凹部や隅になる部分に黒を吹いて、さらにその上に薄めたODを吹き付け、黒立ち上げに近い感じで塗って行きます。



フロントウインド-やヘッドライト、バックミラ-などの折れやすいパーツを残して基本形が完成したら、調子を見ながらODにダークイエローを加えた塗料で凸部や平面の中央あたりに吹いてメリハリを付け、更に各部にエナメル塗料で墨入れを行います。
ストップランプやウインカーなどはラッカーの原色の白で下塗りし、エナメルの赤とオレンジ等を塗って行きます。



最後にクリア部品とバックミラー等を取り付けます。
右フェンダー上のライトガードのみアルミの細切りした物に置き換えています。
完成した車両は小柄な車体に黒々とした砲が前方を睨みつけた独特の迫力を醸し出しています。



現在ではほぼ退役してしまったようですが、長く親しまれていた車両です。
無反動砲は通常の砲に比べ、命中精度が劣ると言われており、通常の光学照準器に加えて12.7mmのスポッティングライフルが砲の上に同軸で載っていています。
この12.7mmはフルオートのみだそうで、まず曳光弾を発射し、その命中を確認した上で砲を射撃します。
次にはMAT(64式対戦車誘導弾)搭載型と1/35の60SP(60式自走無反動砲)を発売して下さる事を期待しております。


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