Home  >シービクセンFAW.1 (サイバー ホビー1/72) Sea Vixen FAW.1 (cyber hobby 1/72)

誌上個展

シービクセンFAW.1 (サイバー ホビー1/72)
Sea Vixen FAW.1 (cyber hobby 1/72)

by 田口博通 Hiromichi Taguchi



実機について キットについて
 DH.110 シービクセン (de Havilland DH.110 Sea Vixen)はイギリスの航空機メーカー、デ・ハビランド社が開発したイギリス海軍の複座全天候艦上戦闘機である。ビクセンとは「雌狐」の意味である。
操縦席は中央胴体の中心軸から、ややずれた位置にあり、レーダー手席がその横に分離して配置されている。当時画面が暗かったレーダースコープを操作するため、レーダー手のキャノピーは光が入らないように遮光されている。
1951年に初飛行し、1959年に部隊配備が開始。
主に艦隊が進出した中東やアフリカで1972年まで使用された。
 イギリス機の中では人気が今一つの地味な機体だったため、プラモデルでは1/72クラスの古いフロッグ製があるのみだった。近年 シービクセンの再評価が進んでおり、1/48でエアフィクスから素晴らしい新金型キットがリリースされたことは記憶に新しい。 
 保守的な日本のプラモメーカーからは絶対出るはずのないアイテムだが、中国メーカーはアイテム選定でリスクを取る勇気に溢れていて、このサイバーホビーの新金型1/72シービクセンの発売でまた穴が一つ埋まったのは喜ばしいことだ。




 このサイバーホビーのシービクセンは 1年ほど前のこと青島から帰任するちょっと前に、青島新市街の飛虎隊模型店で 180人民元(現在のレート 1元16円で換算すると2880円)で購入し、現地で作れずに 持って帰ってきたキットだ。
 実は、中国現地の中国製キットの値段も、日本に輸出が果たせると 「箔がつく」のか、近年 変に値上がりしてきて 困ったものだ。この1/72クラスのプラ2モデルは以前は70元程度で売られていた。 品質が低いにもかかわらず、変に自信を持ってしまって、日本でも際限なくプライスを上げつつある某広東系がひどい。やはり 欲に支配される中国ではある。
 青島のマクドナルドのバイトが時間8元。国で決まっている最低賃金が月約800元だから、この180元という価格が中国でいかに高価なものかうかがいしれると思う。(ちなみに筆者が赴任中に常用していた韓国製携帯電話のお値段、140元だった。)

 下は このキットに入っていた パンフレットでついでに紹介しよう。淘宝(タオバオ)とは中国のNET商店街のことで 日本の楽天のような存在といえば わかりやすいだろう。 「天天秒殺、日々半額」とは、読んで字のごとし。
網購とは「NET購入」のことで、進口模型玩具とは輸入模型玩具の意味だ。(ちなみに輸出は出口という。) 

箱絵


部品ランナー

製作

 中央胴体は上下分割になっていて、胴体内部にエアダクトとコクピット、排気パイプを仕込んでから上下を接着する。構成としてはよく頑張っている。
 射出座席はいただけない。
異常に小さく、下の写真のように72のメタルシートと比べると大人と幼児用くらいの差があり思わず笑ってしまう。
他から流用するのも ばからしいので、シート下に4mmくらいプラ板でかさ上げをし、用いることにした。

シートをそのまま使うとコクピットはこんな感じになってしまう。



機首にめいっぱい錘も仕込んで、胴体の上下を接着するが、合いは特に問題ない。

左右のブーム、水平尾翼と組み合わせる。
左右のテイルブームはねじれないように注意して接着することが重要だ
 左右の主翼は 展張状態と折り畳み状態が選択できるようになっている。
 中国のプラモデルメーカーは輸出が中心になるためか、商品化に際して、プラモデル商品としての「売り」のポイントをきちんと押さえて設定しており、エルロンと、フラップ、方向舵も別部品化されている。また、胴体上の発電機ドアが開き、使用状態が選べるようにもなっている。
 
 こういうところは、日本国内メーカーも見習ってよく考えて欲しいところだ。

塗装

下面をMrカラーNo1白。上面を同No333 エキストラダークシーグレーで塗装。
境界には18mm幅マスキングテープをアクリル板の上で細切りにすると使いやすい。
吹きこぼれは必ずあるので、面相筆で丁寧に修正しよう。

上面塗装が終わり、マスキングテープをはがしていく。



デカールはイタリアのカルトグラフ製とされているが、印刷は良いのだが、艶消しでフィルムの固い今まで見たことのないような品質のもので、貼ると余白の部分が白く浮いてしまい、困ったものだ。
こんな品質のカルトグラフデカールを過去に経験したことがないので、最近日本のホテルレストランでも流行の假的(jiade、偽装まがいものの意)ではないかと思わせるようなものだ。
しかたないので、強引にMrカラーのクリアを吹き付け、なじませた。

脚、脚カバー、小物などを接着すると、ほぼ完成に近づく。フラップの後縁は薄く削っておいた方がよい。

 さて、このシービクセン のプラモデル。外形などに言及していないが、中国製プラモデルは一般的に平面形、側面形など、写真か図面があれば、それをもとにCADで追従できる形状は問題を感じることは少ない。
 ただし、断面形状、翼断面形状など、設計者の力量が問われる部分は、それは中国製なので期待する方が無理といっておこう。
 近くて遠い、勝手に設定された竹の防空識別圏のかなたの国製のことゆえ、「もう少しなんとかならんのですか」と伝えることもできない。
 (形状にうるさいモデラーは エアフィックス1/48を横に置いて、チェックし、修正しながら 自分でバンバンしながら製作していると思う。) 
 
 筆者は形状が目立たないように 折り畳み状態を選択した。 無駄な抵抗をせずに早い完成をめざして修正無しのオール素組である。

完成へ

翼を折りたたんだ状態としたので、支柱は洋白線で自作しておいた。操縦席はキャノピーから少し見えるように、4mmほどかさ上げしたのは前述の通りだ。  72では旧フロッグしかなかったシービクセンなので、穴がふさがったのは歓迎だ。
 なんとなく こんな感じなのかなと思いつつ 完成となった。側面形は機首が低いので主脚を沈みこませるか、前脚をもう少し伸したらよかったようだ。






  Home>シービクセンFAW.1 (サイバー ホビー1/72) Sea Vixen FAW.1 (cyber hobby 1/72)

Vol.63  2014 January.     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー

「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」

特集1


TOTAL PAGE