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プラモデルの製作

  イー400潜水艦 (フルスクラッチ 1/72)

by 愛知県在住 作者 清水 栄治




■作品について
 この作品は2006年から2007年にかけて作成したものですが、モデルアート誌40周年記念の作品コンテスト(モデコン)で優勝した大変意義のある作品です。これを作るきっかけは前年に家族でハワイ旅行に行った時、アリゾナ記念館に展示してあった真珠湾奇襲に関する展示模型の出来が大変良く感動してしまいました。特にガトー級の潜水艦は実物が海に係留されておりその中(艦内)をルート観察できこれにも感動しました。又記念館内には潜水艦のカットモデルが展示してありその作りこみにも感動しました。その後しばらくたって本屋で偶然日本の潜水艦のシリーズ版を見てしまい日本の潜水艦の偉大さとカッコよさに驚かされました。 その本の中にはフルスクラッチした潜水艦の写真が数点載っており見事なものでした。ここで自分も作ってみたいと思ったのが始まりでした。やはりハワイの本物の潜水艦が起爆剤になったと思います。作成に関して資料が必要ですが本屋で購入した“学研:歴史群像―伊号潜水艦”しかなくネットでは作成に関する資料がほとんど手に入らず本の資料だけで作ることにしました。スケールを決めるにあたり都合よくタミヤ1/72:晴嵐のストックがあり、これを使えるように1/72で伊号400に決めました。しかし全て作ると全長が2m近くになり大変な作業になるため部分的で又ウォーターライン的なデザインに決めました。




■製作について
 資料は本の中の白黒写真が基本となりますが、その写真上で測った寸法を1/72の縮尺に換算します。その時、写真の中の人間の身長や手足の長さが大変参考になりました。作成に関しての材料はタミヤ製のプラ版、プラ棒、エポキシパテなどです。この潜水艦の一番の見せどころは飛行機の格納庫ですが、これは実際のように空洞でディテールも手を抜くことなく作りました。 格納庫の円筒は0.5mmのプラ版をコンパスカッターで円形リングに切りぬきそれが骨組みになるようにリングの縁(円周囲)を0.5mmのプラ版をアールにくせを付けたものを覆って(接着)いきます。これで一度目の円形の筒になりますが強度を増すためにさらに2度目のプラ版を接着します。これで乾燥後接合面のペーパ掛けが楽になりきれいな円形になります。次に格納庫をとりまく艦橋周辺や機銃ですが、これは幸い詳細な写真や解説が載っており、それらしく造形をしました。




船体部では格納扉とカタパルトとの接続部が必要となり又船体の中の機密室まで見えるためここの個所は手を抜かず推測で造形をしました。写真で判別がつくものは出来る限り作るつもりで、飛行機のフロート用の格納庫、折りたたみ式のクレーン、飛行機射出用のカタパルト、魚雷投入ハッチ、デッキの滑り止め仕上げ等力を入れて作りこみました。 船体外側面の水抜き穴と電信管の造形は根気のいる作業でした。最後に甲板デッキは0.5mm厚のプラ版で2mm幅切り短冊状に配置していきました(実際は木製?鉄製?)。手摺は全てプラ製のばしランナーで太さを0.8mm程度のものを取り付けてあります。




塗装の前に500番のサフェーサを全体に吹きつけ実際の特殊塗料の表現に近づけました。塗料は全てラッカー系を使用して明暗のグラデーションをほどこしてあります。船体のカラーですが資料から察すると紫かかったグレーとのことで、それらしく調合して濃い艶消しを施しエアブラシで吹きつけてあります。 塗料の使用量はびっくりするほど大量でした。機銃はエナメル系の塗料でメタリックブラックを使いそれらしく塗ってあります。飛行機はタミヤ製の晴嵐を2機使いましたが1機は通常に他の1機は待機状態の組み立て前の状態にして作りました。そしてそれを格納庫に入れ込むことを可能にしました。飛行機を載せることで一層カッコよさが増した感がしました。


 

■全体をとおして
 この作品が雑誌のコンテストで優勝したことは大変光栄に思います。模型メーカー主体のコンテストは数ありますが、それを超えた本来の作ることに関したコンテストで評価がもらえたことは至福に至るところです。それでこの作品は雑誌の表紙に載ることになり又製作記事や写真も載ることになりました。嬉しい限りです。その後タミヤさんから1/350で伊号潜水艦が発売になりました。それで静岡のホビ-ショーでタミヤの社長さんに私の作品を見てもらう機会があり短い談話をしたことがありました。その時に雑誌社からタミヤの潜水艦を作って製作記事を載せてみませんかと問い合わせがありましたがあまり気が乗らず断りをしてしまいました。今考思えば引き受けておけばよかったなと思う限りです。 既成のプラモデルを作ることと自らの考えでこの世に一つしかないものを作ることは全く違う作業で、その時に思った感動や衝撃を形にしたいことは私の本能のままに行うことで絵画を描いたり写真に残したりする当然の行為でしかありません。物を作ることは私にとって必然なことで自分を表現することだと思います。これを機会にフルスクラッチを続けていきたいと思います。今回披露出来ることについて大変ありがたいことと思っております。




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Vol68  2014 April.     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved / 
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