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プラモデル製作記事 温故知新シリーズ第4弾

マルサン1/100シリーズの系譜(part 1)

by ヒサマロ

 温故知新シリーズ第4弾は初めて国産キットを取り上げます。私が小学生低学年の頃は三共のピーナツシリーズにお世話になりましたがその後学年が進むともう少し大きめの三和のキットやマルサンの1/100シリーズに移行していきました。マルサンの1/100シリーズは1961年夏に刊行された航空情報プラモデル読本によるとP-51Dムスタング、隼、紫電改、飛燕、零戦52型、フォッケウルフFw190、Me109G、スピットファイアー、P-38ライトニング、F6Fヘルキャットの10種類が発売になっていたことがわかります。
おそらく1960年ごろに発売が始まったのではと推測されます。当初は80円で売られていたようですが後に50円に値下げされたようです。私も近所の駄菓子屋に50円玉を握り締めて買いにいった覚えがあります。




 全部で27種類発売されたようです。大戦機だけではなくセイバーやX-15などのジェット機もキット化されていました。大型のサンダーチーフやE.E.ライトニングなどは80円で販売されていました。これらのキットはコピーではなくマルサンがオリジナルで開発したものです。初期のキットではまだプラモデルが手探り状態で開発された時期ですのでこのシリーズの部品構成が左右の主翼に胴体下面が半分ずつついているという変わったものになっておりこのはめ合わせが極めて悪いという共通の欠点があります。 ですが子供時代はそんことお構いなしに部品をむしりとって接着剤べたべたで組んでいたので全く気になりませんでした。ピーナツシリーズと違ってキャノピーがクリアーのむくではないこともポイントが高かったですね。それではご一緒に昭和30年代にタイムスリップしましょう。


P-51D

 まずはP-51D ムスタング キットNo.7051 ボックスアートはおなじみの橋本喜久男氏、キャラメルボックス形式で裏にも橋本氏のイラストで他キットの宣伝がされています。説明書はこの時代では部品の塗装が詳しく解説だれているのはさすがプラカラーを発売している会社だなと感心しました。 さて肝心のキットの方はと言うとなんとかムスタングに見えるかなという程度です。垂直尾翼の形がちょっとH型ぽかったり主翼前縁の張り出しがB型より少ないのではとか突っ込みどころ満載ですが、一番すごかったのが前述した胴体下面と一緒になった主翼ですがまるで角材に翼が生えた感じです。




 

 胴体断面は半円形ですので角ばった部分は当然大きくはみ出します。そこではみ出た部分を黒く塗り、むくのプラですので思い切り金属やすりで削りたおして無理やり断面形を合わせました。また胴体下面のラジエターも先端が尖っている不思議な形をしていますので先端部を切り落とし断面を黒く塗ってごまかしました。 このシリーズは驚いたことに筋彫りは凹み彫りで凸リベットになっています。国籍マークが凹み彫りで入れられています。デカールは当然使えませんので国籍マークは筋彫りに沿って手書きしました。マーキングは第8空軍ぽくしてみました。さあ、完成です。一緒に童友社のムスタングと記念撮影で50年の歳月を噛み締めて下さい。






UPCの紫電改

 続いてはUPCの紫電改です。UPCは主にマルサンなどの日本製のキットをアメリカで販売していた会社です。マルサンのキットNo.7054にあたります。ボックスアートは橋本氏のイラストがそのまま使われており、丈夫な貼箱形式です。当時はちばてつや氏の「紫電改のタカ」が少年マガジンに掲載されていましたので我々にはマストナなアイテムでしたね。キットの方は先のプラモデル読本でも出来が良いと褒められており、ムスタングと違いはめ合わせがとても良く、外形もそれなりに特長を良くつかんでいると思います。
子供の頃はドロップタンクがついているのが嬉しかったですね(零戦にはついていなかったので)。日の丸は手書きで入れましたが垂直尾翼のマークは適当なデカールもないのでそのままとしました。20ミリ機銃がちょっと太いですが特に手はつけませんでした。












フジホビー Me109G

 最後はフジホビーのMe109Gです。フジホビーはマルサン倒産後に金型を引き取って販売していましたが、この1/100シリーズではボックスはひどく下手な完成品の写真で説明書もなく裏箱にイラストで印刷されているだけという残念なもになってしまいました。マルサンのキットではNo.7050となっており、一番若い番号ですのでひょっとしたらこれがシリーズのトップだったかもしれません。 キャノピーはエルラハウベで垂直尾翼は大型木製とけっこうマニアックな選択になっています。
こちらも主翼のフィレットがなぜか真ん中につながるので思い切り削り落とします。主翼のバルジもちゃんとついていますが位置が後ろ過ぎます。国籍マーク、スワスチカ、番号は手書きしましたが老眼にはこたえますね。主翼のマークの位置は外側過ぎますがそのままとしました。こちらも童友社のキットと記念撮影しました。








 いかがでしたでしょうか?同年輩の方には懐かしく、若い方には昔はこんなキットが流通していたのかと思われるかもしれませんがこれらのキットたちに子供時代に触れられたからこそいまの飛行機好きな私たちがあるのだと思います。 マルサン1/100シリーズが果たした役割はとても大きなものだったのではないでしょうか。まだこのシリーズのキットはいくつか持っているのでそのうちパート2、パート3として取り上げさせていただきます。それでは、また。


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Vol.73 2014 September.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /  
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