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誌上個展

連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第47回)

B-66「デストロィアー」 (イタレリ 1/72) 

by 鳥巣 Torisu



 

<実機解説>

 名は体を表すと言うか兄弟でもこうも違うかと思わせるという飛行機にアメリカ空軍が運用していた「B-66デストロイヤー(破壊者)」が有る。
 冷戦初頭に米国海軍が大型の核爆弾を空母から運用するためにダグラス社に開発させた大型核攻撃機{A-3スカイウオリィアー}の成功に目を着けた米国空軍は先に開発配備を進めていたマーチンB-57(英国キャンベラのライセンス生産機)に不満を持っていたのでこれに代わる機体としてA-3の空軍版を開発するようにダグラス社に指示した。
 指示を受けダグラス社の空軍部門であるロングビーチ部門で開発が行われたが空軍の要望に合わせて開発を進めるうちに 引き締まっていた身体(機体)は次第に贅肉が着き主翼の形状変更やエンジンの変更におけるエンジンポットの形状の変化や視界不良を是背するために大きくされたキヤノピー等マッチョなイメージが強くなった本機はまさに「デストロィヤー」と名前が相応しくなった。

 本来爆撃機として開発された機体だが、1950年から53年に渡り起きた朝鮮戦争下での空軍の偵察機の苦戦ぶりを痛感した当局の要望で偵察型RB-66が先に開発配備される運びになった。元々大型の核爆弾を搭載するために広く作られた機体内部には偵察機材や要員を収容するには打ってつけで本機の生産機の殆んどは偵察機とその後ベトナム戦争で運用される電子作戦機が占める事になった。
 爆撃型として生産された機体もあるが数は少なく本来の爆撃任務ではなくパスファイダー(先導機)として主に運用され地味ではあるが無くてはならない裏方として米空軍の作戦に貢献した。

諸元

全長              22.92m
全幅              22.1m
運用自重           26.218kg
最大速度           1、016km
戦闘行動範囲        1、450km




<キット解説>

 1980年代のイタレリのカタログに掲載されているので恐らく1970年代末から80年代初頭に発売されたキットだと推測されます(もっと以前かも知れませんが)
当時のイタレリの製品の下では数少ない全面凹モールドで彫られているキットです。
パーツも大きめのランナー2枠で収められていて大型機の割には少ないパーツ構成です。
透明パーツも綺麗に整形されていて好感が持てます。
デカールは英国に展開していた2部隊の物がセレクトされています
箱絵


製作

<コクピット>

 コクピットフロアー・座席・メインパネル・スティックの4点で構成されています。
メインパネルとコンソール類にはメーター等の彫刻が彫られており黒く塗った上にエナメルの銀で軽くドライブラシを施してメリハリを着けました。
座席も程良いデテールがされており軽くドライブラシを掛けてメリハリを着けても良いでしょう。


<翼と胴体の組み立て>

<翼と胴体の接着>

 工作を終わったコクピットを胴体に取り付けて左右の胴体を貼り合わせます。
貼り合わせる前に大型の3点姿勢の機体なので機首部に多めの錘を入れます
そして接着面の補強とヒケ防止の為に胴体上下の接着面の裏にプラ板を裏打ちしてから胴体左右を貼り合わせました。
次に主翼の上下を貼り合わせます。
下側の翼が上面の翼にフイットするように端を板ヤスリで削り調整したから貼り合わせました。
 胴体と主翼の接合部に隙間が生じたので多めに接着剤を塗り接着剤のはみ出しで隙間を埋めました。


<エンジンンポットの取り付け>

 主翼の下に取り付けられているエンジンポットを組み立てます。
ポットの左右部品とファンブレードの3点のみで構成されています。
シンプルです。
中がカラッポなのでノズル部分にジャンクパーツを流用してデテールアップをすると見栄えがします(作例では何もしておりません)
ポットの貼り合わせ部に段差が生じたのでラッカーパテを盛り付けました。
ポットのダボと翼の取り付け穴の相性はキツメですので少量の接着剤でしっかりと固定出来ました。


<整形とサフ吹き>

 機体とエンジンポットのパテ盛りが乾燥したら紙ヤスリ#400・1000・1500と番数を上げながら削ります。 仕上げに#2000番で全体を磨き#1200のグレーの缶サフを吹き付けて整形は終了です。


<塗装>

 今回は銀塗塗装なのでツヤを出したいので下地にクレオスMrカラーNo2「黒」を全体にハンドピースで吹きます。
次に同じくMrカラーNo8「銀」を吹き付けます。
メリハリを着けるために主翼中央部分と動翼(フラップ等)に色調の違う銀色(何を使ったかは失念しました)を塗りました。
最後に機首部の黒(ジャーマングレー)を塗り塗装は終了です


<マーキング>

 古いキットだったのでデカールの粉砕防止にスパースケール社の保護液をシートに塗ってから使用しました。
お陰で粉砕せず貼る事が出来ました。
但し糊が弱いのでクレオス「マークセッター」を塗って補強しました。
マーキングはエンジンポットに星が散りばめられた青い帯の10TRWにしようかと思いましたがエンジンポットに帯のデカールが綺麗に貼れそうにもなかったので妥協し尾翼に流れ星が描かれている簡単な19thの機体にしました。
翼の上に描かれているウオーキングウエイは付属のデカールの物を使ったので少しヨレヨレになってしまいました。
腕に自信が有る方は塗装した方が良いかもしれません。




<細部パーツの取り付け>

 細部パーツと言っても脚周りピトー管・レーダーの3点のみでシンプルです。
脚回りは脚柱とタイヤそしてカバー類で構成されています。
脚柱はしっかりと着けることができます。
脚カバーは取り付け位置がイモ着けなので多めに接着剤を塗りしっかり固定しました。
ピトー管はキットの物だと短く思えたのでイタレリのA-4スカイホークの給油プローブを加工して取り付けました。
最後に胴体下部のレーダー部品を取り付けて完了です。




<仕上げ>

 ハンドピース用に希釈した半光沢を薄く吹き付け乾燥後に窓枠を塗装したキャノピーを取り付けて完成です。




 以前からイタレリのカタログに掲載されている古のキットで何時作るか考えていましたが作る機会を下さった編集部に感謝です。 参考資料

航空ファン・エアープレンダィジエストNo85「ダグラスB-66デストロィヤー」


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Vol.74 2014 October.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved / 
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