Home  > Grumman F4F-3 Wildcat ‘Yellow Wing’ (Hasegawa 1/72)

誌上個展

Grumman F4F-3 Wildcat ‘Yellow Wing’
(Hasegawa 1/72)

  By Kiyoshi Iwama(ひやめし会)


F4F-3 WILDCAT ‘YELLOW WING’ (1/72) Hasegawa Box Art より


 Web-modelers 創刊6周年、おめでとうございます。これこそ、モデラーの、モデラーによる、モデラーのための雑誌と言えるでしょう。 記念号の特集の一つに“米海軍大戦機“がありましたので、今回は昨年完成させた作品を記事にしてみました。

写真 完成したF4F-3 イエロー・ウィング


 ハセガワからシャープな筋彫りのF4F-4ワイルドキャット(1/72)がリリースされたのは,1994年のことでした。そしてその1年後には、F4F-3 WILDCAT ‘YELLOW WING’と銘打ったこのキットが発売されました。第二次大戦が始まる前の米海軍機は、胴体がピカピカの銀、もしくはライトグレイで、主翼の上面がクローム・イエローというのが標準塗装でした。このキットのイエロー・ウィングもそこから来ています。とても見栄えがする塗装で、飛行機モデラーなら誰しもいつかは作ってみたいと思ったのではないでしょうか。私もその一人で、イエロー・ウィングが発売となるや手に入れたのですが、結局そのままお蔵入り、完成したのはつい最近のことです。 F4F-3はF4F-4と外観的にはほとんど同じため、箱の中にはF4F-4のキットが入っていました。実機ではF4F-3の主翼には折りたたみ機構がなく、また12.7mmの機銃も4門でしかも内側の2門は少し銃身が翼前方に突出しています。そのためこのキットでは、F4F-3への修正指示がインストに記載されていました。その点は抜かりないハセガワさんですが、モデラー側から言わせていただくと、主翼ぐらいは修正して欲しかったと思いました。ただデカールに、Aero Master製のものが入っていたので、その不満も帳消しとなりました。デカールには空母レンジャー搭載のグリーン・テイルのVF-41所属機と、空母ワスプ搭載のブラック・テイルのVF-72所属機の2種類が入っていましたが、本作例では前者の塗装に仕上げています。

写真 完成したF4F-3 イエロー・ウィング



さて、いつもならここで実機の紹介を入れるのですが、ワイルドキャットは超有名な機体ということもあり、今回は省略、いきなりキット製作の話に入りたいと思います。

製作

 まずは胴体や主翼、尾翼、コクピット、風防などを仮組みして問題点を探りますが、このキットに関してはあまり問題点が見つかりませんでした。強いてあげると垂直尾翼のアンテナ支柱が折れていたため、ステンレス棒で作り替えたくらいです。そして次にインストに指示されているように、主翼のパネルラインを変更します。 折り畳み部の分割ラインなどがある主翼のパネルライン部に瞬間接着剤を流し込み、固着後整形。次にF4F-3のパネルラインをPカッターで追加します。さらに片翼に3つ開いている機銃口の内外弦側の1つをそれぞれ付属の部品で埋め、主翼前縁を成形します。これで前準備が完了です。


1.コクピット
 最初にコクピットの製作ですが、キットのデカールを使って簡素に仕上げています。コクピット内はインテリア・グリーンで、計器盤は黒で塗装し、デカールを貼りました。計器盤のデカールはハセガワの方が、実感があったのですが、少し劣化していたためエアロ・マスターのものを使用しています。(写真1) 座席もインテリア・グリーンで塗り、これに紙製のシートベルト(和巧製)を取り付けていますが、ベルトを白く塗装するのを忘れてしまいました。(写真2)


写真1 コクピット
写真2 座席


2.胴体・翼
 コクピットとエンジンは胴体の左右貼り合わせ前に組み込んでおく必要があります。またコクピットの下側にある観測窓もしかりです。このため、まず胴体左右パーツの内側のコクピット部位、エンジンルーム、観測窓部分をインテリア・グリーン、つや消し黒、シルバーで塗り分けておき、その後外側の観測窓周辺をシルバーで塗装しておきます。そして塗装が乾燥した後、観測窓のクリア・パーツを胴体の内側から接着します。 後で外れると救いようがないため、私は流し込み接着剤でしっかりと固着させました。(写真3)
次にコクピットと塗装の終わったエンジンを胴体に組み込みます。(写真4)
そして左右の胴体を貼り合わせれば、胴体がほぼ出来上がります。(写真5)
そして次の作業に移る前に、観測窓をマスキングテープで保護しておきます。


写真3 胴体内側の塗装
写真4 コクピット、エンジンの取り付け

写真5 組み上がった胴体


 コクピットもエンジンもきちんと納まったところで、次にエンジン・カウリングのリップ部を取り付けるのですが、内側に回り込んだ部分を後に塗装するのが難しいため、この部分は先に白く塗っておきます。それから機首への接着です。この部分は、接着後若干のすり合わせが必要です。 その後主翼と尾翼を接着するのですが、こちらはほとんど隙間なく、ぴったりとフィットします。そしてコクピット前方のグレアシールドをつや消しの黒で、座席の上のヘッドレストを茶色で塗ります。これで機体の形状がほぼ出来上がりました。(写真6、7)


写真6 組みあがった機体
写真7 
組みあがった機体のコクピット部と胴体-翼の接合部


3.車輪、脚柱などの小物部品
 大物の、胴体と主翼部分がほぼ完成しましたので、次に小物部品の工作と塗装です。まずは主車輪と主脚柱です。主脚はコンパクトな構成でワイルドキャットの特徴ある主脚を再現しています。まず主脚柱の部品を、シリンダーロッド部をシルバーで、その他をインテリア・グリーンで塗装しておき、組み立てます。そしてハブの内側をインテリア・グリーン、外側をシルバー、タイヤをタイヤ・ブラックで塗装した車輪を取り付け、主脚が完成です。(写真8) 次は風防です。ウィンドシールドとキャノピーの外枠は機体と同じシルバーですが、内面はウィンドシールド部が黒、キャノピー部がインテリア・グリーンですので、プレキシガラス部をマスキングし、まずは内面色を塗装します。(写真9)
 塗装が終わると、風防内面を保護していたマスキングテープを外し、機体に接着します。これで機体の塗装前作業が完了です。(写真10、11)写真11の胴体下側に見えるマスキングテープは観測窓部のものです。


写真8 主車輪と主脚柱

写真9 マスキングを施した風防


写真10 風防を取り付け機体塗装の準備ができた状態

写真11 機体塗装前の状態(下面)



4.塗装
 塗装は、まずカウリングからのぞくエンジン前部をマスキングし、カウリング前方部を白で塗装します。その後残る機体全体をシルバーで塗り、乾燥後マスキングを施して主翼上面の黄色、尾翼のグリーンと塗っていきます。主翼上面色の黄色は、下面に回り込んで前縁部までカバーしています。尾翼のグリーンは、デカールのインストにはWillow Green、つまり柳のみどりと記載されており、はっきりと色調が分からなかったため、箱画に近いと思ったMr.カラーの64番、ルマングリーンを吹き付けました。 なお他のカラーですが、いずれもMr.カラーを使用しており、シルバーは8番、白は316番(FS17875)、黄色は329番(FS13538)となっています。ここまでの塗装が終わった状態が写真12、13です。


写真12 塗装の終わった機体上面

写真13 塗装の終わった機体下面



5.デカールの貼り付けと仕上げ
 機体の塗装も終わり、機体にデカールを貼りつけます。気になるのは購入して時間が経つため、うまく貼れるかどうかですが、さすがエアロ・マスターのデカールです。Mr.マークセッターを使用して綺麗に貼り終えることができました。それでも白い帯や黒の細い線などは、ハンドリングに気を遣いました。 よく乾燥させたのち、反ツヤのクリアー塗料で全体をオーバコートし、塗り残した尾輪、ナビゲーション・ライトを手塗りで仕上げていきます。その後、エナメル塗料のフラット・ブラックとフラット・ブラウンをシンナーで薄め、パネルラインへの墨入れや汚れを軽く付けてみました。最後に風防と観測窓のマスキングを外し、主脚とプロペラ、そしてドロップタンクを取り付ければ完成です。(写真14~15)


 憧れのイエロー・ウィングの完成です。少ない部品点数できちんと組み上るところに、このキットの素性の良さを感じました。最近はやたらと部品点数が多く、手間のかかるキットが多いため、プラモの原点のようなこうしたキットに巡り会うとホッとするのは私だけでしょうか。 確かに実機にできるだけ近づけるためには、それも一つの手段ですが、模型は模型と割り切るのもひとつの模型道かもしれません。

写真14 完成したF4F-3 イエロー・ウィング(その1)


写真15 完成したF4F-3 イエロー・ウィング(その2)



  Home>Grumman F4F-3 Wildcat ‘Yellow Wing’ (Hasegawa 1/72)

Vol.78 2015 February.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /  
           editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー

「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」

特集1


TOTAL PAGE