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創刊6周年特別企画

 「私の選ぶ21世紀の名キット 10選 」 

by webmodelers編集部


 2015年2月号でwebmodelersは6周年を迎え、記念企画として「私の選ぶ21世紀の名キット 10選」 をアンケート投票募集いたしました。
 2001年から今年までの間にリリースされた プラモデルから あなたが21世紀の名キットだと思う10キットを選び、選んだ理由など コメントやエピソードを寄せていただきました。


by コルディッツ
 ここ数年、キットを完成させていないヘタレですが、そんな人物が、これ以上未完成の
プラモデルの在庫は増やさないと誓いながら、しかしついゲットしたキットは、名キットの
称号に相応しいのではないかと気付き、投稿させていただくことにしました。
 なおジャンルは第二次世界大戦モノに限定、選抜の順番に、とくに意味はありません。

1 タミヤ1/35 シャ―ルB1 
 想定外の変化球(選定)に、即座に不買意思消滅…

2 タミヤ1/35 三号突撃砲フィンランド軍バージョン
 フィンランド・フリークは、ゲットせずにはいられません。

3 タミヤ1/48 Fi156シュトルヒ
 空マニアも陸マニアも、同時に満足させる希少なキット。

4 タミヤ1/72 零戦
 とくに主脚収容庫の表現は感動ものでした。

5 アオシマ1/72 五式戦
 アオシマのチャレンジャー精神を応援します。

6 エアフィックス1/72 ホーカー・ハリケーンMk.Ⅰ 
 よくぞファブリックウィング型を出してくれました。

7 エアフィックス1/72 グロスター・グラジェーター
 複葉機キットにも、新技術導入は感謝。

8 エアフィックス1/72 デ・ハビラントDH82aタイガーモス
 地味な機種にも、新技術導入は狂喜。

9 ドイツ・レベル1/32 Bf109G
 エンジンがないのは残念ですが、アジアのメーカーに負けずに頑張って。

10 ドイツ・レベル1/72 ハンドレページ・ハリファックス
 まさか新製品が出るとは…
 以上苦渋の選択結果ですが、やはり無精な英国機が好きなんだと実感しました。


by Windy Wing 2013
第1位~第7位
<TOMYTEC 1/144 技MIXシリーズ>
F-22
F-2
P-3C
F-15
CH-47
V-22
F-4EJ

の各バリエーション(順位は私の好きな機種順)

【選定理由】「私より上手」

私のような拙いモデラーでも、従来の彩色済みフィギュアに対しては、多少なりとも形状やディテールに手を加えて、再塗装やウェザリングを施す余地は充分にあります。しかしながら、この<技MIX>シリーズをその素材だけをもって、製品よりもうまく完成させることは私にはできません(実際にそのような「パーツ+デカールのみ」の商品も同シリーズに若干存在します)。

なによりも全体形状の正確さが最大の美点ですが、加えて、絶妙の塗料調合、程良いぼかし、そしてタンポ印刷とMYK風デカールによる国籍マークとコーションデータなど、現代の模型量産技術の粋を結集して作り上げられた本シリーズは、まさに20世紀には開発できなかった「今そこにある未来」です。

もっとも、同スケールの商品と比較すれば相当に高価なので、シリーズをすべてコレクションする、といった性格のものではありません。かくいう私も、F-22を2種とCH-47を1機、そしてミッドナイトイーグル版のF-15J/DJをいくつか持っている程度で、今は地磁気観測用RP-3Dロードランナーの発売を待っているところです(出るかどうか知りませんが)。

したがって上記の評価は、所有しているキット以外は家電店に飾ってある完成品をもとに付けました。このようなメーカー・サンプルでもほぼ完全な模型が出来上がるのですから、web-modelersの愛読者の方ともなれば「誰が作っても同じ」「することがなくてつまらん」、さらには「そもそもこんなものプラモデルじゃない」と反論されるのは承知の上です。

それでもあえて、おそらくはどなたも選ばないであろう本シリーズをベスト1から7位までのぶちぬきで推薦させていただいたのは、ひとえに「私より上手」だからです。


第8位~第10位
<ホビーボス 1/72 エアクラフト・シリーズ>
フォッケウルフFw190D-9(写真は別売りデカール使用)
ペトリヤコフPe-2
チェコ・ズリンZ-142

(自分の持っているものの中から機種本位で選定)

【選定理由】「プラモデルを進化させようというメーカーの心意気」

マルサンの昔から、特に飛行機モデラーは部品のすり合わせに苦労させられ続けています。ところがここに挙げたホビーボスのキット群では左右の胴体や上下主翼と下部胴体など、大まかな部品が一体成形になっているおかげで、例えばD-9では、切れ上がったフィレットなどが簡単確実に再現可能です。基本の形状も良く把握されていて、くっきりと切れ込んだスジボリと相まって、無骨な機首機銃周辺などは模型界随一の美しさを見せます。

もちろん、この一体成形の副作用として、液冷エンジンはプラの塊、コックピットもバスタブ程度、となってしまうので、世のすべてのキットがこういう形式をとるべきだとは考えません。しかし、20世紀の既成概念で凝り固まったままの国産メーカーが、機首レドームをライトニング・アレスターのモールド上で平然と2分割する状況に対するひとつのアンチテーゼであることもまた事実です。

このように「一見奇抜、基本はしっかり」という姿勢は、何よりもユーザーが喜ぶ商品を作りたい、というメーカーの崇高な心意気がなければ生まれてくるものではありません。今後、他国の斬新なアッセンブリーを検証しながら、国産メーカーもそれぞれに工夫を凝らして、さらにユーザーフレンドリーな商品を輩出されんことを期待しています。

フォッケウルフFw190D-9 ホビーボス 1/72



【速報】
ちょうど<レベル 1/72 サーブJAS39Cグリペン>が届いたので、良ければ10位にでも挙げようかと思いましたが、ドイツレベルは製品を追う毎にモールドが甘くなっていて予選落ち。2年越しの予約品で「初めてのまともな72グリペン」と期待していただけに残念です。ちなみに、単座用部品が完全に別袋詰めされていますので、ご参考まで。


by 田口博通
 21世紀の名キットということで、最近作ったキットを中心に選んでみましたが、10点に達しませんでした。 3点は、「次点」として選んでみました。
 21世紀に入ってから 国産だけでなく、中国製プラモデルも極めて多く、発売されていますが、いつのまにか消えていった 駄作とはいえないものの記憶に残らないプラモデルも多かったのかもしれません。

1 ウルフパック 1/48 T-38タロン  2013年10月号掲載記事
 出来は最高で、最近のコリアンパワーを実感した名キット。この出来で、最近の国産1/72航空機プラモデルと同じお値段なのだから、コストパフォーマンスは良い。
ウルフパックのを「月」とすると、最近買ったトラペのタロンとキネティックのF-5Bは「すっぽん」というところか。

 アカデミー1/48 F-4Bファントム
 21世紀のファントムキットはさすがこんな感じね という実感をいだかせる素晴らしいキットで、コリアンパワーあなどりがたし。

3 エアフィックス 1/72 FOLLAND GNAT T.1 2013年3月号掲載 
 エアフィックスのリニューアル攻勢の一つ。2012年に新金型でリニューアル発売されたGNAT T.1は大変身を遂げた。初期型だった先代は昭和雰囲気のビニール袋詰めの簡単なキットだったが、主翼を大型化された発展型のT.1型となった実機同様にプラモの方も大幅な進化を遂げた。エアフィックスはプラモデルの将来に明るい希望を持たせてくれた。

4 エブロ 1/20 ロータス49B 2013年7月号掲載記事
 ロータス49は 45年前にタミヤから1/12の名キットが 発売されて以来のモデル化で、作りやすい価格帯の手ごろな大きさの1/20 キットの登場が待たれていた。エブロのこのキットは製作中のメカニック感がたまらない。充実した製作時間を過ごすことができ難易度もちょうどよい。完成するとこれだけの達成感を与えてくれるプラモデルキットは21世紀らしく、素晴らしい。60年代葉巻型ビンテージF1レーシングカーのプラモデルに新時代を切り開いたキットで 今後のシリーズの拡充に期待したい。

5 アオシマ 1/72 五式戦闘機 2014年4月号掲載記事
 2013年12月に待望の再開が果たされたアオシマ1/72「真・大戦機シリーズ」のニューフェース 。まだまだ荒削りの部分はあるものの、キットの構成には 1/72大戦機というジャンルで性根を入れて,気を吐こうというチャレンジ精神を感じるキット。この勢いを絶やさずに 新製品を開発して ユーザーの支持が得られれば、アオシマ1/72「真・大戦機シリーズ」がこれから益々発展しするだろう。店頭にたくさんこのシリーズが並ぶようになれば、我々プラモファンの楽しみも増える。アオシマのチャレンジに期待したい。

6 造形村 1/32 震電 2014年4月号掲載記事
 内部てんこ盛りの造形村の1/32シリーズは 大型飛行機プラモデルに新境地を切り開いた。日本のプラモデルも遂にここまできたかと思わせるこだわりが素晴らしい。多少 お高いが、内部を作るだけでも腹一杯になり、コストパフォーマンスはリーズナブルと感じさせる。3DCADをおもちゃのように使いこなせる若い人達が、こだわりぬいて、設計したようで、この情熱とこだわりの姿勢に敬服。日本のプラモデルの未来も希望がありそうです。

7 トミーテック 1/48 内部解剖零戦52型
 よく知られているように、著名なモデラーがH社の零戦52型の外版を切り抜いて、内部構造を追加したものを原型にして 塗装済み組み立てキットとしたものだ。
あっというまに 夢の内部解剖零戦が組み立てられるキットが5000円台で売られた訳だから、これを作った後は 自分で改造する気を完全に消失するプラモデル。中国の安い工賃が土台にあるとはいえ、この出来には まず、自分では絶対かないません。

8  X-47B (プラッツ 1/72) 2014年6月号掲載記事
 遂にUS海軍現用機もここまで来たかと思わせる衝撃的な未来の無人攻撃機だ。その姿はまるでUFO。こんな代物が現実に空を平気で飛ぶようになるとは恐ろしい時代になったものだ。いわば ゲテモノのこの機体を極めて真面目にキット化しているプラッツの努力が素晴らしい。

(次点)
タミヤ 1/35 10式戦車 車体と砲塔形状も素晴らしく、これぞ 新式10式戦車という雰囲気を醸し出している秀作だが、 残念ながら 組みにくい部分があり 熟練者向けとなってしまっている。 砲塔上部の砲手用サイト、車長用サイトは、どれも薄板箱組になっていて、タミヤらしくなく 組みにくい。接着代がほとんどなく、熟練者でも 裏側にプラ棒でも仕込まないときれいに組むのは苦労するほどで、初心者には難しかろう。
 経験の深いタミヤならば、装備箱のようにアンコを仕込む構造にするなど、いくらもでもアイデアがあったはずだが、いつものタミヤらしい親切心が今一つ欠落しており、それが惜しい。我らのタミヤ精神を取り戻して、ファンのために改良して再発売して欲しいキットだ。

ハセガワ 1/72 MV-22オスプレイ
 キットの出来は いつものハセガワスタンダードで、形状はしっかりと出ていて、実機の写真と見比べても破綻がない秀作。 期待のギミックはティルトローターのエンジンナセルがお約束どおり回転可動する。しかし、可動部は、それだけ。後部カーゴドアは別部品になっているのだが閉状態のみ。胴体内などのディテールは再現されていない。ハセガワキットでは垂直離着陸輸送機の本質的な特徴が表現されているわけではなく、いつもの外形だけのスタイルモデルといった趣であるところが惜しい。 
 話題のオスプレイはプラモデル素人さんでも作りたいプラモデルのはず。初めてプラモデルを作る人でも プラモデルを作る楽しさを感じる商品になっているだろうか?と もう一度問い直したい。

ホビーボス 1/72 TA-7C  これまで日本メーカーが売れないリスクを恐れて発売しなかった複座練習機型のコルセアⅡは結局中国メーカーが発売した。 1/72ではなんと初。基本的なフォルムには不満があり秀作には達していないが、ハセガワ48コルセアⅡを参考にしたのか、胴体前部のアクセスパネルを開くギミックつき。キットの内容はハセガワ、フジミなど他メーカーの良いとこどりで 華があり、サービス精神旺盛、リスクを積極果敢にとるプランに溢れた広東メーカーの姿勢が素晴らしい。



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Vol.78  2015 February     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /
                    editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー

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