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プラモデル製作記事

ベル P63 キングコブラ (アオシマ 1/72)

  by 加藤 寛之




 「これは、いつか作りたい」と新発売時に思ったのだが、それは1970年代初頭だったらしい。いつのまにか40年以上が過ぎた。それは、プラモデル業界が元気で、こっちも作るのがただ楽しかった時代の製品ということだ。アオシマといえば、それまでは個性的な機種選択の一方で無理な可動を組み込んだテキトウな造形でファンを嘆かせていたのだが、突如、それらしい飛行機キットを数点発売したときのひとつがこれである。当時のアオシマ的な曖昧さはたっぷりとあるのだが、当時に流通していた他社のキットと大差がないところに近づいていたのも事実である。  実は、もう10年ほどたつだろうか、一度作り始めたことがあった。ところが「許せない!」ことがあり、ポイっと捨てた。今回は、その失地回復である。当然のことながらキットが改善されたわけでないので、作るこっちがユルくなったということである。今回開封したキットは100円時代のものなのだが、購入の経緯はまったく記憶にない。




 パーツ分割はいたって簡単。胴体はイスや床板まで左右分割で一体モールド。乗降ドアが別部品なので開閉選択できる。主翼は左右一体の上下2パーツで、エルロンは別部品。翼下には落下タンクが付き、翼機銃は前からの挿し込み式。前脚はあとで差し込むだけだが、前脚の左右扉まで胴体に造りこまれているのが面白い。 主脚は脚カバーで固定し脚柱をそれに付ける丈夫な構造だ。表面は凸リベットが並ぶ。これはやや単調で、パネルラインが曖昧なこともあって退屈感はあるが、当時なら充分にOKの出来。肉厚で頑丈な構造はリッパで、購入の対象者を明確に意識した設計だといえる。これはあらためて評価するべきだ。




 一方、難点も多々ある。最大の難は主翼がひどい前下がりになることで、隠しようがない。前回作ったときは、これが許せなかった。・・・ということは、胴体の側面形もがおかしいはずで、当然、断面形だって不正確なはずだ。内側に窓枠のモールドがあるのは塗装でごまかすとしても、乗降ドアは胴体側とパックリと隙間が生じる。背部の吸気口もひどく大雑把な造形だ。スピンナーが胴体の線とつながらないけれども、この時代ならば珍しくなかったので許す。それでも、先端に銃口はほしかった。テキトウさはプロペラも同じで、実機写真と見比べてはいけない。主翼はとみると、実機は層流翼断面だというが、キットはそんな些細なことなど気にしていない。前縁付け根から入った空気はどこから出るかも気にしていない。 些細なことといえば、排気管の数がオカシいんじゃないか?片側5コって何だ、ホンモノは・・・まあいいか。デカールは米軍仕様の基本的なものだけ。国籍マークが2枚余るので好みで貼ってくださいとか書いてあるのは、いかにもアオシマ。でも貼りかた説明で星マークを天地逆で指示しているのはマズいのじゃないだろうか。箱絵の機体塗装は、上側面が青で、機首や落下タンクを赤や黄色で飾ってある。これまたいかにもアオシマで、この齢になるとそのテキトウさを楽しめる。



 作り方説明など書くまでもなく、すぐに形になる。機首に錘を入れるくらいが留意点。胴体と主翼の合わせが超アイマイだが、これは多少マシといった程度に整形すれば良いだろう。きれいな整形よりも凸リベットを傷めないようにすることの方が重要だ。エルロンは固定して隙間を調整したが、主翼の前下がりはキットのまま受け入れ、機銃や落下タンクの取り付け角度でゴマカすことにする。最近はこういう角度を気にしないモデラーが増えているので、黙っていれば気付かれないかもしれない。 主翼後縁が厚いので、斜めに削り上げる。その部分で下面モールドが崩れるが上から見えるはずはなく、それこそ些細なことだ。乗降ドアは開状態で接着してごまかした。そうそう、背中のアンテナ柱はループアンテナにした。



 そんなことをしているうちに組みあがり、その辺りにある色を使って塗装、軽く表情を加えて終了となる。いつ購入したのか記憶がないほど時間がたっているので、さすがにデカールが使えなかった。熱湯でゆでても剥がれない。そこで、その辺りにあった赤い星を貼り、ソ連仕様とした。アオシマに負けず劣らず、こっちもテキトウにやるのだ。  なんともいえないけれども、完成に至った。おめでとう。まだ2~3コ持っていると思うけど、どうする?そうね、一つはアオシマの箱絵塗装にでもしましょうか。


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