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誌上個展

10式艦雷 (マルサン UPC 1/50)

  by 小山新一




 中学生のとき、マルサン1/100に出会ったのが、私のプラモデラーとしての出発点でした。ただ、そのころの少年週刊・月刊誌の戦記ブームが多分に零戦・隼以降、すなわち太平洋戦争に焦点が当たっていたこともあり、固定脚の飛行機や複葉機の人気は今一つでした 。私もその後は、タミヤ1/50日本傑作機シリーズに夢中になり、そのうちにマルサンは倒産してしまいました。マルサンが、固定脚の「 97司偵」や三葉の「10式艦雷」といった珍しいキットを開発、発売していたことを知ったのはメーカーがなくなってからだったのです。




  それら、マルサン初期の傑作機のキットをオークションで入手、作ったのは「97司偵」が最初で、次が今回の「10式艦雷」であります。どちらも、マルサン・オリジナルは高価なので、UPCブランドです。 以下、写真のボックスはUPCのもので、マルサン・オリジナルの橋本喜久男さんのそれのような軽快さはありませんが、脚の構造などはよく調べて描いてあり、モデリングの参考になります。




 パーツの状態から記録しておけばよかったのですが、製作のレポートは主翼の取り付けからになります。ここが、この機体製作の肝ともいうべきところ でしょう。 複葉機でさえ、上翼と下翼のアライメントは苦労するところですが、この機体は主翼がさらに1枚多い。日本機唯一の三葉機なのであります。




 で、胴体主翼三枚は塗装済みで、下翼と中翼をしっかり接着し支柱を通してこれも固着。その上で三枚目の上翼の合いを確認しつつ張り線を張っていきます。上翼を接着してからでは張れない張り線をすべて張り終えたら上翼を接着する手はずです。  下翼と中翼を接着後、3翼を貫く支柱を立てて接着、完全に乾いてから、張り線をはる穴をピンバイスであけて張り線を張っていきます。支柱を支えるX型の張り線を下翼と中翼間、中翼と上翼間に張り、すべて終わってから上翼を接着します。



 張り線、久しぶりにやったので、初めはミシン糸を使ったのですが、たるみが避けられず途中から0.4のテグスに変えました。上翼を接着、固着ののち、3翼をつらぬく張り線を、開けておいた穴を通して上翼まで通し瞬間接着剤で固定します。実機はこの3翼をつらぬく張り線、正確にはかって強度を保つように 張るのでしょうが、模型でそれを実現するのは困難で、正面からこのあたりで穴を開けたので、よくみると糸が中翼で折れ曲がったりしています。 まあ、雰囲気でらしくは見えるのですが。このあたり、製作途中の写真と完成写真で推察下さい。モデラーならここらの苦労おわかりですよね。




 塗装とマーキングは小川利彦氏のカラー3面図(国書刊行会)にならいY-303のシリアルとし、すべて筆塗りで仕上げてあります。マルサン初期の製品ながら、全体形なかなかで帆布ばりのモールドもみごとであります。 なによりこの飛行機は日本唯一の3葉機として魅力がありますし、設計者がソッピース社から招いたスミス技師の設計という点も見逃せないところでしょう。




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