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飛行機プラモデルの製作

ロッキード T-33A 若鷹 (ハセガワ 1/72)

  by 加藤 寛之




 『プラモガイド』1970年版の「すいせんキット(国産)」欄にこのキットが紹介されている。そこには「世界中のどこへだしてもはずかしくないだけの実力をもったキット」と書いてある。私は発売からそれほど経過していないころに買いP-80に改造したことを覚えているが、T-33として作るのは今回が初めてだ。 絶版前に買っておいたように思うので、探せばまだ1~2コは出てくると思う。今回は250円時代のものだが、これが新発売時点では100円だったのだから賞賛されて当然だ。




 この時代らしく、細かい再現よりも全体の形の把握に重点をおいている。パネルラインは細い凸線で、単純な形体とあいまって滑らかなジェット機の雰囲気をスッキリと表現している。細部にこだわっていないので、パーツ分割はいたって簡単で組みやすい。古いキットだから、もちろん拙いところも目に付く。 脚柱は実感不足で、ホイールやタイヤはごつい。エアインテーク周りは造形に苦慮したようで隙間や段差がある。コックピットが単純明快なのはよいとしても天蓋の中央にあるワクまで省略しているので、キットのままでは“ちょっと違うナ”みたいになる。主翼が薄すぎるのも難点だが、実機を見なくなって時間がたち、よく覚えていないので素直に作れば目立たない。まあ、とりあえず組んでみよう。




 コックピットは、前後一体のバスタブ型の床に2この椅子を置き、後席の計器盤を立てればオワリ。椅子のお尻のところには大きなヒケがあるが、本来はお人形さんを乗せるので見えなくなる。操縦悍はお人形さんの持ち物なので、パーツにはない。前席の計器盤は胴体パーツから出た板にすぎず、左右分割だ。ここはデカールを台紙ごと切り抜いて貼るようにと指示されている。私はコックピット工作に何の関心もないので、椅子は後から載せればよいとして、床板をペペッと塗って胴体に組み込んだ。胴体合わせの注意点は、前部に錘を入れることくらい。 エアインテークは丁寧に組む。隙間は完全には埋めず、わずかに跡を残してパネルラインにする。これは一旦パテで均してから、綿棒に溶剤を含ませて擦ればわずかに窪んでパネルラインのようになる。垂直尾翼の付け根右側に生じる分割の隙間も、同じようにする。




 主翼の上反角は不足ぎみになる。これは前述の『プラモガイド』記事でも指摘されている。当時のキット評者は、当然のことながら、飛行機の飛行機としての形態を大切にしているのだ。このキットの場合、組み図にある正面図に合うように胴体側のフィレットを削って角度をつければよい。翼端タンク後部にあるフィンが厚いので、周りだけ下から削り上げて薄く見せた。  風防は、中央内面に薄いプラバンを曲げて貼りワクを再現した。前端に隙間が開いたが、これは胴体側をちょっと削れば簡単に解消する。脚は、古いキットゆえにガタ付きがある。位置を決めて丁寧に接着する。




 塗装は、特に書くようなことはない。デカールは驚くほど高品質で、台紙との分離はよく、ノリもよいので浮かない。日の丸の赤が朱色だったり、白と赤の中心がズレていたりするのは、昭和の廉価なキットの味わいとして受け入れればよい。
 完成。私が子どもの頃に航空自衛隊入間基地の航空祭で見たT-33の記憶は、ツルッとした丸胴と直線翼に大きなタンクを付けた時代遅れの機体だ。その記憶をくすぐるような、すてきなプラモデルが出来た。


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