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特集  SF・キャラクターモデル

まがいもの天国 中国のSFキャラクタープラモデル紹介
スティングレー (LEE スケール不詳)

by  田口博通 Hiromichi Taguchi
SF・キャラクタープラモデル




 今月はちょっと趣向を変えて、中国に住んでいた時分に入手した現地製SFキャラクタープラモデルをご紹介。

 上海に赴任していたのは10数年前、怖いSARS が流行した頃だが、アパート近くの古北にある大きな仏系スーパーマーケット 家楽福(カルフール)に行って驚いたことがある。
 あまりの人ごみで疲れて1Fのフードコートでぼんやり座っていると、隣のテーブルのいかにも普段着で買い物に来たという風情のオバチャンが花柄のルイ・ビトンのバッグをテーブルの上に無造作に投げ出してラーメンをすすっているのである。
 よく見ると、レジの並び客達もシャネルやダンヒルの財布から汚い紙幣を出していて、その辺を歩いている 生地が薄くてよれよれのTシャツのオネーちゃん達も 派手なロレックスやカルチェの時計をしているのだ。 
 さすが外資スーパーに来るような人達は上海でも金持ちなのかな?と、「へーっ」と 最初は奇異な感じを受けた。

 が、しばらくしたある日、同僚が上海市内中心部の大繁盛しているという某市場に連れて行ってくれる機会があり、その疑問が氷解。 要するに そこは大規模な「有名ニセモノ市場」だったのである。

 実は「ニセモノ市場」だけでなく、中国の有名デパート、小売店で売られている バッグ、財布、ブランドマフラー、衣類、ブランド化粧品は ほとんどニセモノ。だから、本物が欲しい金持ちの中国人はわざわざ日本まで爆買に来るわけである。
 飲食店やスナックの酒類(舶来酒、ウイスキー、ブランド老酒)もまず本物は無いと思って 飲み過ぎないことが健康に良いことは、常識だ。 
 スーパーで売られている食品ではニセ粉ミルク、ニセ舶来バター、メラニン入り牛乳に始まり、舶来ボトル飲料、ニセチョコレート、そしてニセタバコetc.etcとあらゆるものにニセモノが横行していて、かの国の人々が手に取るものは全てニセモノといっても過言ではない。

 もちろん、使うお金もニセ札が多く流通しているのだから しょうがないか。
 (つかまされたら、「ババ抜き」にならないように、タクシーで夜 早く使ってしまうことにつきる。)

 音楽CD片やDVD片 (片とはDISCの意味)のように、CD店ではもともと洋楽本物(輸入品)を売っていない(店で売られているのは全て著作権無視複製)という極端なものもある。(本物を誰も見たことが無い)

 しかし、スーパーで高価で売られていた 日本直輸入「秋田小町」 にはこっちが驚いた。和紙のようなすてきな袋に入っており、見るからに高級そうなのだが、、、  なぜかというと、日本がお米を輸出許可したのは2006年以降で、当時、日本からは「お米」は輸出していなかったからである。

 一般によく知られているように かの国は「党治」の国なので、国を法治していることになっている法律も形だけの法律だから、つまり「ニセ法治」であり この”まがいもの天国”状態は未来永劫 いつまでたっても同じく続くと思われる。 実際の話、最近 山東省青島に住んでいた時も何も変わることはなかった。
 
 時代を反映した最近の感心ニセアイテムはIPhoneそっくりのアンドロイドスマホ。画面を見ても気が付かず、App Storeに接続しようとして初めて気が付いた。こんなものもあるんですね。

本題のプラモデルもその例外ではないのである。


中国LEE製 STINGRAY箱絵  (上海市南京路の大デパートで購入したプラモデル)


 さて、上の写真は、当時購入して作ることなく日本に持って帰った 中国の「LEE」という玩具大手メーカーが発売していたスティングレーのプラモデルキットで、 まず箱絵は下の童友社のBIGスティングレーの箱絵に酷似している。箱絵は、要するにまんまコピーのようではある。

 中国語の「核動力潜水艦」とは、日本語の「原子力潜水艦」の直訳。よーく見ると、放映原題「海底大戦争」の文字は慎重に削除されていることがわかる。 
 左上の黄色の爆発の中には 「BIG」の替りに 「自動浮沈装置」と書かれていて、このLEEのキットは 核動力潜水艦ならぬ電動モーターによる潜水艦模型になっているわけだ。(ちゃんと動くように組み立て可能かどうかは別として)



(参考) 童友社のBIG STINGRAY箱絵 (ICサウンド+ライト点滅のギミックつき)
(金型は ミドリ商会のBIG STINGRAY を受け継ぎ、ディスプレィモデルに改造したもの)



 下の写真はLEE社製キットの中身で、部品点数は少ないものの、モールド状態は綺麗で、ランナーも近代的である。そこから察するに金型は新しい。幼少のころ ミドリ商会から発売されていた中型スティングレーキットと 各部品形状は同じだが、金型が新しいようである。  大きさから察するに、ミドリからユニオンに受け継がれた中型 STINGRAYを「参考」に(平たく言うとコピー)したようだ。こういう場合の「参考」とは 実に便利な言葉である。
 
 要するに、まとめると 「箱はBIG,中身は中型!」ということなのだ。 

LEE社製品の内容で、モーターとコード、電池ボックスとゴムパッキンも付属している。


ランナー内の部品配置は少し違うが、各プラ部品とゴムパッキンは
下写真の ミドリ商会(→ユニオン再販) 中型STINGRAYオリジナル版と形状も同じである。

(参考)ミドリ商会 中型STINGRAY オリジナル版



 説明書は 説明画はオリジナルからコピー転用されているが、説明書きは 当然のごとく、中国標準語になっている。 
 さて、ここで、中国からの輸出も 当然 考えたのか、英語が丁寧に併記されていることに注目されたい。(最近の某南西諸島の占拠埋め立てといい、この厚かましさには本当に頭が下がります。)
 悔しいかな この英語が 日本のスケールプラモデルメーカーが説明書に書いている英語に比べ、はるかに上手なのだ。
 Pour out the water after game over などと まるで英語ネイチャーのような雰囲気に書かれては、もういけません。これでは本家本元の日本製が逆にニセモノのように思われるではないか。
 やはり、世の中の現実は、内容や真実よりもプレゼンね!ということなのでしょう。




 話題に事欠かないLEE製のプラモデルはこの他、1/72 ホークアイ(フジミのコピー)も持って帰っているので、また 機会があれば紹介したいと思う。   さて、中国で住んでいた時に プラモデルを作ろうとして 何が一番困ったかというと、カッターナイフが全然切れないのである。

そうか カッターナイフの刃もニセモノだものね。


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