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誌上個展

<日本航空史>
「翼よ、あれが・・・霞ヶ浦だ」

  by 加藤 寛之
プラモデル コラム

 先日、茨城県阿見町にある予科練平和記念館に行ってきた。霞ヶ浦はすぐそこだ。霞ヶ浦は、ニューヨーク~パリの単独無着陸飛行で有名なチャールズ・リンドバーグがシリアス機を自ら操縦して、アン夫人とともに昭和6年(1931年)に飛来した場所でもある。 この時代の飛行機の歴史に興味がある方ならば、今回掲載したような写真をなにかの本で見たことがあると思う。この時にはたくさんの人が記念に撮ったようで、似た写真がいろいろある。私もこれまでに2種類入手できたくらいだから、当時は相当な数が出回ったのだろう。




 では、なぜそれほど出回ったのか。もちろんチャールズ・リンドバーグが有名だからだが、それよりも可愛い美人のアン夫人が来たからだろう。今も昔も、社会が大きく変わっても、そのあたりに弱いことは同じである。そして、その飛行機の先進性である。来日の1931年でさえも、日本式でいえば91式である。シリアス機は、流線型で滑らかな胴体、深いエンジンカウリング、何よりも単葉だ。水上機かと思いきやこれは車輪を途中で換装したものなのだ。 近々、ハセガワが新発売する95式1号水偵と比べ、いくら目的が違うとはいえなんという格差か。未来の飛行機でお姫様とともにやってきたカッコいい英雄、そんな感じだったのだろう。「こんなに素晴らしい飛行機を作ってみたい」と邁進したニッポンではあったが、それから10年後にニッポンはその国へ宣戦布告をした。違うことを学ぶべきであった。




 予科練平和記念館には、赤トンボのものだという大きなオレンジ色の羽布が展示してある。ヤケて退色しているのだろうが、それでも思ったよりも赤みが強い。帰り道、路面にひいてある追い越し禁止のオレンジ帯よりも少し赤みがあるな、と思った。 シリアス機はというと、当時の模型用図面では「塗色は発動機部分と尾翼が黒、胴体と主翼が赤、浮舟とプロペラが銀色」とある。赤とんぼもシリアス機も、どちらも目立つ色だったのだ。


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