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プラモデルの製作

North American P-51D”Mustang”製作記
(Monogram 1/48)

by Kiyoshi Iwama(ひやめし会)


North American P-51D (1/48) Monogram Box Art より

 P-51ムスタングを知らない飛行機モデラーは皆無だと思います。米国を代表する第二次大戦中の戦闘機です。そのため世界中のプラモメーカが、競って各種スケールのキットを開発・販売してきました。今回取り上げるのは、今では古典的キットともいえるモノグラムの1/48スケールキットです。 実はこのキット、クラブの大御所から頂いたものですが、デカールが無くなっていました。上の箱画が示すようにこのキットのP-51Dは、欧州戦線のマーキングの機体でしたが、生憎手持ちのストックには大戦後期に硫黄島に展開した機体のデカールしかなく、そちらに衣替えすることにしました。



いつもならここで実機紹介と行くのですが、あまりに有名な機体でもあり、今回は省略し、キットについて簡単に触れた後製作記事に移ることにします。



 さてこのP-51Dのキットですが、1970年代後半くらいに発売されたものと記憶しています。モノグラム流のディテールが随所に見られ、モールドを見ているだけでも楽しくなってきます。部品点数も少なく、あっという間に形にできるのですが、そこは作ってのお楽しみです。パネルラインは凸モールドですが比較的繊細なラインでモールドされており、掘り直さなくとも問題ありません。 この頃のモノグラムのキットには、パネルを開けると機銃が見える等といったギミック的な仕掛けが見られたのですが、このキットも同様な仕掛けがあり、エンジンナセル下面のパネルを外すとエンジンが覗き、左翼の弾倉パネルを開けると機銃と弾帯が見えるといったものです。そんな楽しみもあるキットですが、作り始めるといろんな災難が降りかかってきました。では製作の説明に移ります。

製作

1.コクピット
 コクピットは、モノグラム流の一体成型技術を用い、7点ほどの部品で構成されます。コクピット内壁の機器も左右胴体の側面にきっちりモールドされており、モールド技術の高さを感じさせます。コクピットはインテリアグリーンを塗って、床面をタン、計器盤、通信機器、操縦桿のグリップをつや消しの黒で塗っていきます。計器盤は計器のモールドが付いているので色鉛筆の白で凸モールド部を軽くこすってやるとそれらしく仕上がりました。(写真1) 続いてコクピットの組み立てです。後は5つの部品を接着するだけで写真2のようなコクピットが出来上がります。(この時点でシートとガンサイトは未装着です)また左右胴体の内壁にモールドされた機器類や配線も塗装しておきます。(写真3、4)これで後は胴体の左右接合時に中に組み込むだけです。



写真1 計器盤

写真2 コクピット

写真3 右胴体内壁

写真4 左胴体内壁


2.胴体と主翼
 胴体の左右接着前に仮組をしてみたところ、機首下面のエンジンカバーと胴体の合いは極端に悪く、エンジンカバーの取り外しはあきらめ、接着してしまうことにしました。またエンジンナセル先端のパーツとナセル部の合いも悪く、パテ盛り修正は避けられない状況です。これでは折角のモールドも消えてしまいそうです。しかしまずはムスタングらしく見せるための作業が優先で、左右胴体の接着後、機首部の整形を行うことにしました。 胴体の接着前に、コクピット、尾輪、そしてエンジン排気管を接着しなければなりませんが、尾輪だけは組み込み、コクピットと排気管は主翼取付け直前に取り付けることにしました。写真5が機首下面のエンジンカバーです。寸法を合わせるため、プラ板を貼ってサイズを大きくし、整形しています。写真6は、左右の胴体を貼り合わせ、整形した後の機首上面です。できるだけモールドを残す努力をしたのですが、一部のパネルライン、リベット、ビスなどが消えてしまいました。



写真5 機首下面エンジンカバー 

写真6 整形後の機首上面


 写真7は、胴体に組み込んだ尾輪です。(写真は主翼取り付け後の物です)そして写真8が、写真5のエンジンカバーを機首部に取り付け整形を終えたところのものです。消えた一部のパネルラインはPカッターで彫り直しました。 また機首のプロペラスピナーとのインタフェース部も機首部先端が少し太いのか、段差ができてしまいます。このまま組むと流麗な機首になりません。そこでスピナーの径と一致するように機首の方を整形しました。(写真9)


写真7 胴体に組み込んだ尾輪



写真8 整形後の機首下面

写真9 スピナーとの段差を極力無くした機首


 次に主翼です。主翼は下面が一体、上面が左右に分かれています。接着の前に主脚収納部と12.7mm機銃の弾倉部、そして弾倉部に収める機銃と弾帯の部品も塗装をしておきます。写真10が主脚収納部です。配管などが細かくモールドされているので面相筆で塗り分けます。写真11が主翼下面に取り付けた機銃と弾帯です。 また写真12が主翼上面にモールドされた弾帯です。弾丸はブラスとシルバーで塗り分けたのですがあまり区別がつかないようです。またベルトは最初塗装で表現しようとしたのですが、実感が湧かないため黒の紙テープを貼ってみました。両者を組み合わせると写真13のようになります。



写真10 主脚収納部

写真11 機銃弾倉部

写真12 主翼にモールドされた弾帯部

写真13 主翼上下を組み合わせた状態の弾倉部


ここまでの工作が終え、主翼の上下面を貼り合わせます。さらに接合部を整形して胴体との仮組です。ところが主翼を胴体にはめ込むと、胴体と主翼上面のフィレット部に結構な隙間が生じました。止む無く、胴体側のフィレット部にプラ板を貼り、これを整形して隙間を極力抑えることにしました。写真14が胴体側に貼ったプラ板です。次は主翼と胴体の接合ですが、その前にコクピットとエンジン排気管を胴体に接着しておかねばなりません。 まず排気管を内側から接着します。そしてコクピット部を下側から胴体内に取り付けます。予めコクピット部を支えるピンを1本削り取り、残る1本もコクピット部が載るぎりぎりまで短くしておいたので挿入は簡単に済みました。しかし、しっかり停まってないと後で外れる可能性もあり、ここは瞬着でしっかり止めることにしました。(写真15)上から見ても大丈夫です。(写真16)



写真14 主翼と胴体の隙間を埋めるプラ板

写真15 コクピットの下方からの組み付け

写真16 上方から見たコクピットの組み込み状態


次に胴体への主翼と尾翼の接着です。予め調整していたのでこの作業は問題なく終わりました。(写真17)しかし、主翼前縁部付け根部分と胴体との接合部はまたまたパテによる修正が必要になりました。 (写真18)さらに胴体下部中央にあるエンジンオイル冷却器のインテイク部のリップが胴体側とうまく合わず、整形に手こずりました。(写真19は塗装後のこの部分です)これでようやく機体全体の塗装準備が完了です。



写真17 胴体、主翼、尾翼の結合

写真18 さらにパテで修正を行った主翼結合部


写真19 エンジンオイル冷却部

3.塗装とデカール貼り
 すでに塗装を終えた部分や、コクピット、そしてシルバーと焼き鉄色との混合色を塗装したエンジン排気口周りをマスキングし、シルバー(Mr.カラーの8番)を機体全面に吹き付けました。さらに胴体側面のパネルと主翼、弾倉パネルの部分をシルバーと焼き鉄色の混合比4:1の金属色で塗り分けます。次に今回選定した機体にするための塗装です。 ”Mary Alyce”機はスピナーがブルーに塗られ、機首先端に黒ライン、また主翼と水平尾翼の先端部、そして垂直尾翼には黒ライン付きのブルーの帯が塗られています。黒のラインはデカールが入っていましたが、今回は全て塗装で済ませました。ブルーの色ナンバーが何番なのか良く分かりませんが、Mr.カラーの65番“インディーブルー”を塗って済ませました。その後アンチグレアーをオリーブドラブで、アンテナをつや消し黒で塗って、機体の塗装は完了です。(写真20)


写真20 塗装の完了した機体

 塗料が十分に乾燥すれば次はデカール貼りです。エアロマスターのデカールはハセガワなどと比べると少し厚めです。今回は凸モールドのまま組み立てたので、この凸のパネルラインになじませるのに少し苦労しました。 マークソフターを多めに使い何とか貼り付けました。しかし、今回の目玉でもあるMary Alyceの画は、下地の白デカールと人物図を2枚重ねで貼るため、かなり部厚くなり、なじませるのに苦労しました。(写真21)


写真21 “Mary Alyce”のデカール



4.その他部品
 その他の部品としては、プロペラ、座席、風防、キャノピー、機銃収納部カバー、ドロップタンクなどがあります。プロペラは先端は黄色、その他はセミグロスブラックで塗装し、デカールを貼った後クリアでオーバーコートしました。(写真22)これをスピナーに取り付ければ完成です。機体へは差し込むだけ。 クリア・パーツの風防とキャノピーは枠をセミグロスブラックで塗装し、その上からシルバー塗装しました。風防は機体に、キャノピーはキャノピー枠に木工ボンドで取り付けています。そして写真23が主脚です。主脚のシリンダー部はフィニッシャーズのクロームシルバーで塗っています。この塗料は優れものです。



写真22 塗装の終わったハミルトン・スタンダード製プロペラ

写真23 塗装の終わった主脚


 弾倉部のカバーは開状態にするため、内側をインテリアグリーンで塗りました。そして写真はありませんが、開状態でカバーを支えるステーなどを自作して取り付けています。次にドロップタンクですが、キットには110gal.の細長いタンクが付いていましたが、これは欧州戦線で使われたもので、太平洋戦線では使われなかったと思います。そのためハセガワのキットから涙滴型の75gal.タンクを借用しました。(写真24)またこの機体には胴下中央部にもう1本VHFアンテナが取り付けられています。これはキットには無いためプラ板で自作して取り付けました。
写真24 75gal. ドロップタンク



5.完成へ
 デカールの貼り付けも終わった機体のアンチグレアー部をマスキングし、クリアの半ツヤで機体全体にコーティングを施しました。その後動翼の可動部分への墨入れや若干の汚し、排気の汚れなどを加えます。 次にコクピットのガンサイトに透明プラ板で作ったガラス板を取り付け、風防を接着、残った主脚、主脚扉、着陸灯、ピトー管、銃倉扉、エンジンオイル冷却機後方扉など小物を取り付けました。そして最後にキャノピーとプロペラをはめ込めばP-51Dの完成です。写真25~29が完成機の姿です。


写真25 完成したP-51D(44-63451)


写真26 完成したP-51D(44-63451)


写真27 完成したP-51D(44-63451)


写真28 完成したP-51D(44-63451)


写真29 完成したP-51D(44-63451)


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Vol.87 2015 November.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /  
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