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特集 ヨーロピアンカー

完成までのメカニックな時間を楽しむ
フェラーリ テスタロッサ (ブラーゴメタルキット 1/18)

by  田口博通 Hiromichi Taguchi




 ヨーロッパの車はそのボディのデザインが魅力に溢れ、虜になってしまった方の多いことでしょう。中でもフェラーリは曲線でボディが構成され、テスタロッサはその代表格と言えるのではないでしょうか。
 塗装もせずとも気軽に作れるカーモデルとして、ミニカーメーカーのブラーゴからメタルキットシリーズが以前、発売されていました。
 積んでおいたストックの中から、フェラーリテスタロッサを作ってみました。本体は1/18なので、かなり大きく、ルマン仕様が作れるようになっています。 
 ボディがダイキャストメタルなので、重量感がはんぱなく、箱も結構重たいですが、ボディ塗装済みがありがたいです。
 スナップタイプで、部品の接着も必要なく、プラスチック部品をもぎ取った跡を整形するカッターナイフだけあれば、完成するという簡便キットで、これで4000円以下で売られていましたから驚きでした。
 現在はメタルキットシリーズが絶版のようで、残念ですが、また こんな構想のメタルキットを発売してもらいたいものです。

箱絵



 かちゃかちゃと完成までは2時間程度でした。
ボンネットを開けるとエンジンが見えます。
ドアも開きます。
ハンドルを回すと連動して前輪のステアリングが切れます。リアを開けると燃料タンクと予備タイヤが見えるという遊び心満載のミニカーのメタルキットでした。




下がオープンザボックスの状態。
ボデイは塗装済みで完成していて、メッキ部品と透明部品、タイヤなどが付属しています。
説明書は6か国語表示。日本語もあるのが有り難いです。




ボディですが、イエローに塗装されて、各部が、写真のように可動するようになっています。 この状態で、キットに入っており、ボデイを加工する必要が無いのが、楽に完成する最大の要因ですね。


組み立て

 シャーシーですが、メタルのシャーシー部品にメッキのラジエーターグリルと特徴的な排気管部品を差し込むと完了。スナップキットの本領発揮です。

完成したシャーシー



 そこに、下のコクピット部品と床板部品を組み合わせます。コクピットはブラックで、床板はシルバーのプラスチックで一体成型されています。
 コクピットは座席、ギアカバー、防火壁が一体で成型されています。
床板には、燃料タンクとアクセル、ブレーキペダルなどと共に、左右のパイプまで一体成型で表現されています。この辺りを見ると、最近のエアフィックスのリニューアルキットの内部部品構成に脈々と通じるものを感じます。

 


 エンジンは、メッキ部品である左右の排気管が一体になっており、ダークシルバーに成形されたギアボックスに載せて、上からフェラーリテスタロッサのトレードマーク赤いカムカバーを差し込み、メッキ部品の12気筒ファンネルを差し込んで固定すればそれで完了です。
 左右の排気管が一体成型で排気管の角度が出るなど合理的でもあり、この完成度で積木細工で嘘みたい というのが、正直な感想です。




 タイヤはパターンもそれなりというところでしょうか。ホイルはプラですが、それでもワイヤホイルを再現していて、なかなかの雰囲気です。
 前輪のステアリング機構ですが、3部品からなる簡単な構成で、これでハンドルを回せば、左右に確実に動くという驚くような仕組みです。
これは、日本の大手のプラモデルメーカーにも参考にしてもらいたい部分ですね。




シャーシーにエンジンとステアリング機構を載せハンドルを組み込みます。  下回りが一挙に完成に近づき、メカニック感が味わえます。




デカールの計器を貼っておいたダッシュボードとタイヤを取り付ければ、メカニック感あふれる下回りが完成。 ここまでで、実に1時間強でした。

完成した下回り。

完成

ボディをかぶせネジ止めして、ウインドーやライトなど透明部品と、バックミラーを慎重に取り付けます。 ルマンレーサーのデカールは貼らずに、フェラーリマークだけ貼ってロードカーとしてみました。
これで、完成です。ここまでで2時間弱でした。




 塗装もせずとも、スナップで接着の必要も無く、誰にでも完成できる現代のメタルカーキットの中に、プラモデルの原点を見たような思いがしました。

 ミニカー専業メーカーの作るキットは、例えば、ライトのベースは必ずメッキ部品で、また、ウインドーの枠もメッキ部品で用意と 各部に細かい配慮がされており、完成した姿には破綻がありません。例えば、テールランプは透明レッドの部品で、そのライトベースはメッキ部品です。そんな行き届いた配慮にカーモデルに対する愛情を感じます。
それが実感を高めている要因でしょう。
 今月号にタミヤのプラキット ポルシェスピードスターを無塗装で製作した記事がありますので、それとの比較で見ていただけたらと思います。

 手を加えるとすれば、ボンネットやドアの裏に自分で塗装するくらいでしょうか。ウインドーやヘッドライトカバーの透明部品に厚みがあるなど、大味な部分もありますが、ミニカー特有のおおらかさも持ち味の一つでしょう。 
 さて、完成車のフォルムはどうでしょうか。
テスタロッサのフロントのボリューム感などさすが、イタリアメーカーだなと感じます。

 このテスタロッサは同じ部品からメーカー完成のミニカーとしても売られているので、模型店の店頭でご覧になった方も多いでしょう。
メーカー完成のミニカーとユーザーが完成させるメタルキットの違いは、カーモデル組み立てのメカニックな楽しみの部分をユーザー側にもたらしてくれることでしょうか。 完成すれば、メーカー完成のミニカーと同じ完成度となり飾っておくことができます。ここもポイントの一つでしょう。

 塗装済みのメタルキットはさらっと簡単にカーモデルの楽しさを存分に楽しめますので、プラモデルのカーモデルの未完成病に陥った方にもお奨めです。 

 もう一度、組み立てから完成に至る模型の楽しさを味わってみませんか。その楽しさには、プラモデルも塗装済みのスナップキットも境はありません。新たな世界が必ずや開けること、請合います。






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