一国で武装中立政策を突き進んだスウェーデンの軍備は、ユニークな物が多くて、拝観のし甲斐があります。特に戦車は国土環境に合わせて独自開発 を続け、世界に類のない無砲塔戦車Strv.103に到りました。
スウェーデンの戦車史は、WWⅠに敗れたドイツの戦車技術が(秘密裏に)持ち込まれたことから始まります。以後ドイツとの技術交流は長く、1934年に独資本が経営を握るランズベルク社の開発したL-60軽戦車は、トーションバー式サスペンションを採用し、独Ⅲ号戦車のモデルになりました。
さて1936年にスウェーデン陸軍は機甲部隊を新設し、翌年に機関銃装備の軽戦車と、少数の重戦車で編成することを決めました。20mm機関砲装備の国産L-60軽戦車は不採用となり、チェコスロバキアのC.K.D社製のAH IV Sv軽戦車が選ばれ、1938年から1939年にかけて46輛が輸入され、Strv.m/37として配備されました。 |
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武装は8mm機関銃2挺、乗員2名で路上速度60km/h、エンジンはボルボ社製水冷6気筒です。(以上は博物館の掲示によるもので、日本語資料は路上速度45km/h、スカニア社製エンジンとなっています)
m/37はスウェーデンの起伏に富んだ地形にマッチし、操縦も容易で、偵察や歩兵支援任務に1953年まで使用されました。軽武装で最大装甲厚15mmの軽装甲なので、もしも実戦になったら一蹴されたのではないでしょうか。
小型の戦車に、体格の良いスウェーデン兵士が乗れたと感心します。
車体のタン、茶、グリーン、黒の四色迷彩に、青地に黄十字の国旗は、良いアクセントになっていると思いました。
※ Strv : Stridsvagn、スウェーデン語の戦車の略 |