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飛行機プラモデルの製作

 Yak-28P (Aモデル 1/72)

  by 加藤 寛之




 まず実機。興味ある形です。前作品Yak-25を上手く使って、それを薄い翼で造った高速機といえば簡単ですが、工夫に工夫を重ねてモノにした改良型、という形です。先端まで幅広いドロ~ンとした主翼は、外翼前縁を下に曲げて、ドッグツースも付けて、ついでに翼端のバランサー後方の隆起やエンジンナセルにも助けてもらって気流の乱れを抑制する対策にしたけれど、それで薄くて幅広のクタクタ主翼が改善するわけじゃないから、補助輪の重さ+バランサーを長~く伸ばして付けて、それでも危ないエルロンリバーサルの予防にはエルロンを内側に寄せちゃいましょう。 串型の脚配置はそのまま流用して、胴体内の容量をタップル確保。いまさら薄い主翼に脚を付ける負担をかけられないし、胴体から左右に広がる脚をつけても狭すぎることは確かだし、しかもゴツくて重くなるし。それなら串型で翼端の補助輪も錘やフェンスも兼ねて使えばイイや。でも串型配置だと最初から機首上げ姿勢にしておかないと離陸できないし、着陸だってヘタになるからお尻にドラッグシュートを付けちゃう。な~んて、ところでしょうか。




 次はキット。大きな寸法のキットを作り始めたころの初期Aモデルのジェット機のキットです・・・と知って恐怖に襲われた人が、日本国民に10人くらいはいると思います。ボロボロ、ガタガタ、ヘロヘロで、パーツの状態はグズグズです。 「完成するのですか??」「これでもキットですか?」といった感じで、プラモ創成期のマルサン1/100の技術水準でバリをさらに追加、それで大きくしたような製品です。出来あがっただけで価値があります。賞賛と歓喜の声が(日本の僅か数か所でしょうが)、聞こえてくるようです。




 胴体はコックピットと前脚庫、後胴に隔壁を組み込めばよいのですが、そう、簡単ではありません。左右の面の合いもガタガタです。次に垂直尾翼を付けますが、胴体との間にもちろん隙間が開きます。機首のレドームも、左右も、胴体とも、もちろん面が合いません。こういったところは、まず削って、それで残った段差にパテを擦りこんで均します。段差にだけ薄くパテをのせればよいので、意外なほど短時間で“まあまあ”になります。それでOKとします。 主翼も酷いものです。動翼が別パーツですが、スッキリとは合いません。なんとかします。エンジンナセルは、簡単には主翼と合いません。なんとかします。パテも多少は使います。やっと付いてもナセルと主翼の面の流れがちょっと難アリです。これは削れば良いでしょう。翼面が所々でうねっていますから、ついでに削ってパテで均します。水平尾翼はわりと簡単です。形を整えて、取り付けベロを切り落として垂直尾翼の断面にあわせて接着面を削り、そのまま接着すれば良いのです。




 前脚は細い軸が上下分割です。さすがに芯を入れました。胴体との接着は祈りの時間です。後脚は見えにくいので、角度などにはこだわらず強度重視で接着します。大事なことは、前後4つのタイヤを“それなりに”着地するようにすることです。主翼端の補助輪は、長さが全然足りませんから、根元で延長しました。それでですが、Yak-28や旧型のYak-25の写真をよ~く見たら、地上で左右どちらかに傾いていたり、あげくは片方の補助輪が浮いていることも珍しくないのです。これは模型的にはイイですね、片方浮いていても“実感あるね”といえばよいのです。  幸い、キャノピーはよく合います。隙間は驚くほどは生じません。細かいアンテナ類はキットにありません。私も付けません。面倒ですから。パイロンも付けません。武装は付けない、という私の主義です。燃料タンクならば付けるのですが、キットにはありません。
 塗装は銀で、楽です。ツヤを落とした銀を全面に塗り、これに輝く銀を軽くムラに重ねます。ところどころ、2回塗り、3回塗りをして変化をつけます。次にパネルラインを、黒を加えた銀を使いって面相筆でクタクタとなぞります。動翼の境目は、もう少し黒い銀を塗ります。最後に輝く銀を、凸部分や尖った部分に塗ります。・・・全然、楽じゃないですね。あとは、適当な灰色や青緑、黒でチョチョっと塗れば、だいたい塗り終わりです。デカールを貼って、完成です。



 このキットの入手(といっても、もらったの)は10年くらい前でしょう、もう日本の模型店に残っていないかもしれません。タップリと組み立てを味わえるキットです。出来上がると、尖がっていて、昔の子供(私のこと)が描いたジェット機みたいで、それが郷愁をさそいます。 良質なキット、有名な飛行機では味わえない、プラモデルの新たな境地を体験できます。欲しい方、残念ですね。でも、探してまでも作るのは・・・ね。


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