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特集 ハセガワのプラモデル

AC-130H Spectre (Hasegawa1/200)

by Kiyoshi Iwama(ひやめし会)


Lockheed Martin AC-130H Gunship (1/200) Hasegawa Box Art より



 ハセガワのキットにはAC-130H Gunshipとありますが、AC-130の正式ニックネームは”Spectre”です。そしてこのような空飛ぶ重戦車のような機体を総称してガンシップと呼んでいます。ガンシップの歴史は古く、ヴェトナム戦争中にC-47スカイトレインを改造して作られたAC-47 スプーキーに始まり、 その後C-119を改造したAC-119Gシャドー、AC-119Kスティンガー、そしてC-130を改造したAC-130スペクターと続きます。いずれもペイロードの大きな輸送機に大砲と言える重火器を搭載し、夜間に敵陣を集中砲火して破壊するという、恐ろしい兵器です。

完成したAC-130H



 AC-130Hは、C-130ハーキュリーズを改造した機体で、AC-130A、AC-130Eに続いて採用された機体で、機体が新しくなった他、電子機器が更新され、攻撃精度が向上しています。火器としては、105㎜砲を1門、40㎜ボフォース砲を1門、20㎜バルカン砲を2門搭載し、いずれも左舷に集中配備されています。これはAC-130の攻撃方法と関係し、左へ旋回しながら、旋回中心に位置する地上拠点に集中砲火を加えるためです。 またこうした火器は、暗視TVや高感度TV、AN/AVQ-19レーザやレーザ目標追跡装置などと連動するとともに、AN/ASQ-24A安定追跡装置によって射撃の安定化が図られています。
 AC-130の運用は、米空軍の特殊作戦軍団が行っていますが、ヴェトナム戦争終結後、1975年に展開していた東南アジアから引き上げましたが、その後グレナダ侵攻、コソボ紛争、イラク戦争などへ投入されています。


 さてハセガワのAC-130Hですが、発売から既に30年ほどが経つ古参キットで、今では店頭で見かけることはありません。しかしその後、C-130Hとして何種類かキット化され、最近では海上自衛隊のC-130Rとしてリリースされています。モールドは美しく、繊細なパネルライン、そして胴体上部のワイヤーアンテナの支柱までが部品化されており、ハセガワのこだわりを感じます。 一方でこのこだわりが災いし、1/200というスケールを考えた場合、組立性を悪くすることにもつながっています。後部のカーゴドアが別部品化されていますが、胴体内には床も無く、カーゴドアをオープン状態にすることはあまりないように感じます。


製作

1.工作
 工作で注意する点は、エンジンナセルを組み立て主翼に取り付けたときに段差が付かないようにすること。ナセルは先に主翼に接着して整形してしまった方がいいでしょう。2点目はキャノピーと胴体のすり合わせです。まずキャノピーを嵌め込むのに苦労します。分割が悪いように感じました。天井まで一体でクリアパーツにするか、前胴部全体をクリアパーツにするべきです。 作例では窓をマスキングしてから胴体に接着し接合部を整形しました。それでも窓が透明パーツのぎりぎりのところまであるため、整形代が十分に取れず、完成後も段差が残りました。(写真1、2)以前製作したP-8では、窓類はデカール仕上げとなっていましたが、1/200スケールではその方がリーザナブルな気がします。

(写真1)
(写真2)


 3点目は錘です。これまで1/200の旅客機ではプラ部品の錘をコクピットの隔壁に接着するようになっていたのですが、このキットでは自分で錘を準備しなければなりません。インストに5gの錘を載せるように指示があったのですが、私はそれを見逃し、後で泡を食った次第です。結局指定の場所には錘が付けられず、コクピット内に鉛の錘を入れてキャノピーを嵌め込みました。


 最初にも書きましたが、細かな部品を塗装後に接着するのは難作業のため、塗装前に、プロペラ、車輪、車輪格納庫扉、エンジン排気口、胴体の銃砲類、主翼下のECMポッド、ロケット弾、カーゴドアの観測窓を除いて接着してしまうことにしました。しかしピトー管だけは先に取り付けたことを後悔することになります。塗装作業などでのハンドリングが厄介になったうえに、最後には主翼端の1本を折損してしまい、真鍮線で作り直す羽目になりました。(後のことも考え、2本とも交換)


2.塗装
 キットには米空軍第1特殊作戦航空団第16特殊作戦飛行隊所属機のデカールが付いています。塗装は機体全面がダークグレイ(FS36118)1色というものです。ヴェトナム戦争時代は上面ヴェトナム迷彩に下面が黒という凄みのある塗装でしたが、グレー1色の塗装はメリハリが効きません。窓枠やレドームを黒で塗装するため、下塗りを半艶の黒で塗ってみました。(写真3) その後レドームやアンテナをマスキングし、Mr.カラーの特色305(FS36118)を吹き付けていきました。汚しを兼ね、多少下地の黒が透けるようにも吹いてみたのですが、残念ながら写真では見てのとおり、ほとんどその効果は無いも同然でした。

(写真3)



 機体の塗装後、小物の塗装を行いました。アクセントが少ない機体だけに火器類も、特に105㎜砲や40㎜砲は赤とオリーブドラブに、ECMポッドもポッドを白、ランチャーを黒に塗り分けます。また4基あるプロペラも目立つくため、少し面倒ですがマスキングしてグレーと黒に塗り分けました。塗装後、機体へデカールを貼ったのですが、デカールが古いためかシルバリングが発生しました。いつもなら保護用のクリアをオーバーコートすることでシルバリングを抑えられるのですが、今回に限ってはその考えは甘かったようです。  機体のデカールを貼り終えた後、塗装の終わった車輪や火器類等小物を取り付けました。そしてデカール保護用の艶消しクリアを吹き付け、乾燥後キャノピーのマスキングを外しました。ドキドキする瞬間です。最後にカーゴドアの観測窓を接着し、プロペラをエンジンナセルに差し込めば完成です。以下に完成品の写真を紹介します。


形はしっかりとAC-130を捉えています


大型機ですが、10円玉と比べるとかわいいキットであることが分かります


後方から見たところです。垂直尾翼に貼ったデカールのシルバリングが最後まで残りました


下面の写真です。排気の汚れも写真ではあまり良く分かりません


中胴部から前胴部を上から見たものです。ワイヤーアンテナを張れば、実感が出たかもしれません


翼下の様子が分かります。火器類は左から20㎜バルカン砲×2、40㎜ボフォース砲、105㎜砲です


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