Home  >飛行機プラモデル製作 > 続・プラモ進化論 ハセガワ 零戦二二型 〜恩讐の彼方に〜  

特集 ハセガワのプラモデル

  続・プラモ進化論
ハセガワ 零戦二二型
〜恩讐の彼方に〜

  by  松戸のタカ




 こんにちは松戸のタカです。
今回も「プラモ進化論」です。
で、模型は新旧のハセガワ製1/72零戦二二型です。


 そもそもこのキットには思い入れがあります。あれは40数年前、私はプラモデル作りが好きで当時から旧日本機を中心に作成しておりました。零戦も当然好きでした。手軽な1/72でエルエス、タミヤなどの零戦を作ったりしておりました。ところがひとつ不満がありました。当時は二一、三二、五二型の各キットは入手出来ましたが、なぜか二二型は販売されておりませんでした。エルエスの二一型と五二型を組み合わせて二二型を作る方法がモデルアートで紹介されてもいました。
けれども二つのキットから1つの機体を作るのは良いけれど、余ったパーツはどうするの?とケチな中学生であった私にはどうしても踏み切れないでおりました。
 そうしているうちにハセガワから二二型を含む各機種が販売されるというニュースを耳にして心待ちにしておりました。
 やがて、そのモデルが販売されました。私はさっそく模型店に足を運び「零戦二二型」を購入したのでした。


 喜び勇んでさっそく組立にかかりました。ところが作成している途中で???と違和感を感じ始めていたのです。
 バスタブ型のコクピットは、むしろガランドウにならないので気にもならず、胴体が随分細いなあ(実はエルエス製がふとすぎたこともありますが)などと一抹の不安を感じ始めていました。

 決定打となったのはカウリングでした。「何、このポリバケツみたいなカウルは?」
 細かいラインなどには余り気にしない私ですら、「これは違うんじゃない?零戦らしくないよ」と感じました。
 「天下の?ハセガワからでた新モデル」なだけに失望感も大きかったです。あまりがっかりして最後まで完成させなかったような記憶があります。

 その後、次第にプラモに対する興味がなくなりプラモ作りから遠ざかる事になったのです。 
 もしかするとこのハセガワ製零戦は私をプラモ作りから遠ざけた張本人かもしれないのです。



 40年ぶりくらいにプラモ作りを再開したところ、「あの」忌まわしいハセガワ製零戦はすっかりリニューアルされていました。試しに新版の二一型を作成したところ、あらら、以前の欠点は見事払拭されておりました。
 そうした事を踏まえて40数年前の「リベンジ」をかねて新旧二二型を作成する事にしました
新旧二つのモデルを比較すると旧版は凸モールド、新版は凹モールドとなっています。


上が旧版、下が新版。旧版は方向舵、主翼後端が一枚板で表現されているのでシャープです。新版は凹モールドですが、細くて浅くて塗料が厚いと埋没してしまいそうです


 旧版は各型を一度に販売するために部品の共有化?が図られています。1つのモデルにカウルが3種類、エンジンも2種類、増槽タンクも2種類などなど「部品取りパーツ?」満載状態です。ついでに爆弾まで付属されています。


カウリング3種類、エンジン2種類、増槽タンクも2種類付属。でもスピナーとプロペラは二一~五二型共通のようです


 新版も部品の共通化が図られていますが旧版よりも効率よくなっているようでした。ただプロペラブレードが二一型と三二型以降で別パーツになっているのはいいのですがブレードが一本一本別パーツになっているのは正直面倒くさかったです。


新版はプロペラブレードが一本ずつ分けられています


 旧版は二二型なのに五二型以降につけられた排気管熱対策の耐熱版がモールドされていたり三二型までしか存在していないはずの方向舵タブがあったりで結構アバウトなところがあります


旧版には五二型以降に付けられた耐熱版がモールドされていました



旧版には二二型以降は無いはずの方向舵修正タブがついています(まあ切り落せばいいのですが)


 新版はさすがに、それらは改善されておりました。方向舵の修正タブは別パーツになっていたりします(そこまでしなくてもいいのに)
コクピットは旧版がバスタブ型と評判が悪かったようですが、私はこの点は当時、全く気になりませんでした。新版は簡単ながら、それなりに作られており、こうなってくるとせめて座席に軽め穴くらい開けてあげないと、とかシートベルトくらいつけるか、などと余計なこと?を思い始めます。


新版は座席に軽め穴をあけて、シートベルトをつけたりしたくなります


 旧版のバスタブキャノピーだと、そうした何か細工をしようなどという考えはみじんも浮かばず、お人形さんに色を塗って乗せればそれでいいや、となります。


かのバスタブキャノピーです。手の入れようがないです



組んでしまえば(私は)気にならない


 キャノピーはといえば旧版は天井のラインが一本足りません。これは書き足します。それにしても手書きで枠を描いてみましたが、どうもダメです。修行が足りません。 やはりデカールを利用するか、マスキングテープを利用してチマチマ描くしか無いのかなあ?(新版は市販のカット済みマスキングテープを利用したので結構キレイにできましたが)


 さて、問題の旧版のカウリングですが、新版と比べると3ミリくらい長いようです。1/72で3ミリというと本物では20cmくらいになります。これはさすがに長すぎます。 形状もズンドウであり、零戦のあの微妙なラインとはほど遠いものがあります。これらを修正するテクも気力もありません。そもそも新版で文句ない形状になっているのですから。


これが私を落胆させた問題のカウリング。左が旧版。同じ部位とは思えないくらい大きさ(長さ)が異なりズンドウです

ここは昔の姿をさらしてもらうためにも現状でいきます。


 旧版は古いためかバリも少なくなく、合いも今一つで修正に時間をとられます。そのため新旧のキットを一緒に作成していると旧版の方が余計に時間をとられていることに気がつきました。
そうなんですね古いキットは修正に時間をとられるために、「さらに手を加えていく」という気がなくなっていくのですね。


旧版は(左)どうしても修正する手間がかかります


左が旧版。旧版はプッシュロッドが再現されており、何となくカッコいい。新版は何だか素っ気ありません。エンジンに関しては旧版のほうがいいなあ


 さて、どうにかでき上がりました。
新版はどこから見ても立派な零戦。細かいところはタミヤやファインモールド製と比較すると見劣りするかもしれませんが、全体としては良い出来です。
一方、旧版ですが出来の善し悪しよりも、このキットを見ていると40数年前の悪夢?がよみがえってくるようです。
 でも40数年ぶりに「零戦二二型」を完成させることが出来ました
 あまり良い思いはありませんが、これで一つの復讐?ができたのでよしとします


 ところで組み上げてみると旧版も案外良い感じです。確かに不細工なカウリングを見ていると複雑な気持ちですが、それ以外はなかなか良く出来ております。バスタブ型のコクピットもお人形さんを乗せてしまえば(私は)全く気になりません。新版と比較してみてもアウトラインは(カウリングを除けば)劣るものはありません。
 逆にカウリングの出来が良ければ,当時の「零戦の決定版」となり得たかもしれません。もしこのカウリングさえまともだったら40数年前、私はプラモを作り続け、零戦ライブラリは充実したものになっていたかもしれません。この40年のブランクをどうしてくれるんだ!。そう思うとハセガワは罪作りなことをしたものだとつくづく残念です


旧版はながめていると思わず「ぞ〜うさん、ぞ〜うさん、お〜はなが長いのね♪」と口ずさんでしまいました!


こちらは新版。さすがによく出来ております






 閑話休題。 塗装は二二型ファンならば一度は作ってみたいラバウル仕様の105号機にしてみました。巷ではかの撃墜王である西沢広義氏の乗機とも紹介されていますが私は多分それは間違いであろうと思っています(理由は長くなるので省略)。このスケールだと手塗りがしっくりすると思います(キタナイだけとも言えます)。写真を見ていて気がついたのですが胴体と比較するとカウリングは結構キレイなんですよね。スピナはまだらに塗装されたモデルが多いようですが私は好みで無塗装としました。
 ガシガシと塗装したためか近くで見るとホントにマダラでキタナイのですが、遠目だとそれらしく見えてくるのがうれしいです



アップにするとキタナさがわかってしまう。三菱製零戦のカウリングは敢えて青味を強くしているのはワタクシのささやかなこだわりです


こうやって上から眺めると翼幅が広いことが改めて実感できますね


 新版は旧版と比較すると「旧版での欠点を一つずつ修正していったようなモノ」という印象です。例えれば戦国時代から江戸時代になったくらいの変化(なにそれ?)といったところでしょうか?




  それにしても新版は「新しい」といっても発売からかなりの年月を経ており、なんとなく古くささを感じさせます。零戦に限らずハセガワの1/72スケールの大戦機全体にいえることですが、そろそろリニューアルしてくれないかなあ?


おまけ

旧版は製作中に脚をへし折ってしまい、芯として金属線を入れて再度接着するという手間があったり、新版は脚カバーを紛失してしまい、廃材から作り直すと言ったアクシデントがあったり、さらに貼ったはずの日の丸デカールがいつの間にか取れてしまい、結局手書きで塗り直すなどとトラブル続きでした。

 エアフィックス(新版)に付属していた飛行状態の脚パーツから作り直しました。プラスチックが柔らかく加工しやすいのが幸いでした

 どうも零戦二二型と言うのは私にとって鬼門なのかもしれません。


  Home>飛行機プラモデル製作 > 続・プラモ進化論 ハセガワ 零戦二二型 〜恩讐の彼方に〜
Vol.102 2017 February.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /  
         editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー
「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」

プラモデル模型製作特集2

TOTAL PAGE