九九式高等練習機は、帝国陸軍の指示に基づき、立川飛行機が1939年に完成させた低翼単葉の複座練習機キ55です。原型は立川飛行機が1938年に完成させたキ36、九八式直協偵察機を改造したものです。
通常「直協機」は、下面の視界確保のために高翼にしますが、キ36は高速を得るため低翼を選び、視界確保には操縦席を前方の高い位置に置き、主翼は13度の後退角を付けました。さらに現場では機体をバンクさせて視界を補うことも計算に入れていたので、故佐貫亦男教授は「OR的思考にもとづいた発想で、
このマンネリズムを突破した弾力性が貴い」と「続々ヒコーキの心」(講談社)で絶賛しています。 |
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キ55こと九九式高等練習機は、キ36の優れた操縦性や運動性を受け継ぎ、帝国陸軍の外、アジアの同盟諸国でも使用されました。タイ空軍に供与されたうちの1機は唯一の現存機として、現在は王室タイ空軍博物館に展示されているので、博物館には日本からの拝観者が多いと聞きます。
同博物館までのアクセスは、バンコク市内からBTS(高架鉄道)とバスを乗り継ぐので、気軽にという訳には行きません。しかし2020年に博物館前にBTS駅がオープンする予定ですので、もう少しの辛抱ですね。 |