スピットファイアといえば、主翼後縁が胴体と接するところで逆ガルの形になっていることが特徴だが、このキットは単純にまとめている。これは設計者の模型としての割り切りだと確信であり、巧みさの一つだとみたい。なぜならば、楕円翼に胴体が載っている平面形の理解は確実に表現してあり、正面から見た翼厚の変化も見事、翼断面形の再現も72キットとして充分すぎるものがある。設計し木型を起こして人が、上述の逆ガルを知らなかったはずがない。では、なぜ逆ガルにしなかったのか。 |
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逆ガルにすれば胴体下面の分割が複雑になり、子供にはそこの接着が難しくなる。一部のマニアよりも、より多数のモデラーを大切にした選択に違いない。その本当の腕のよさは、プロペラを見ればわかる。素晴らしい、の一言に尽きる。私は、これらの処理をあらためて見たときに「これこそプラモデル、これこそ飛行機を知った人の味わい」と感動した。主翼下面のラジエーターや脚庫のあっさりとした表現も、特に気にならない。気になる人は自分で加工して再現すればよいのだ。なぜって、気になるくらいの人は、自分で工作できる人でもあるのだから。 |