Home > カ号観測機 (ファインモールド 1/72)< 飛行機プラモデルの製作<2018年10月号

特集 垂直離着陸機&ヘリコプター

  カ号観測機 (ファインモールド 1/72)

by 寿




 垂直離着陸機&ヘリの特集ということで作ってみましたよ、カ号観測機。厳密に言えば垂直離着陸は出来ないしホンモノのヘリでもないから微妙ちゃあ微妙な機体ではありますが、まぁ固いことは言いっこなし。 ヒコーキに詳しくないふつーの人が見たらコレも「ヘリ」って呼ぶだろうしね。




 ファインモールドのキットとしては割と初期のキットで、発売されたのはもう二十年も前のお話。金型も古くなっちゃってあちこちにバリとかがあるけど、基本良質なキットなので問題はあんまりない。細かい所をつついていくと「なんだこりゃ」的な謎部分があるけれど、それはまぁご愛敬。
溢れ出んばかりの情熱に技術が追いつかず、ちょびっと空回りしてるっぽい所が懐かしい感じです。
「そうそう。昔のファインはこーだった」
 ナノドレッドシリーズなどを出している現在から見たらまさに隔世の感があります。怠らず日々精進している成果ですかね。見習いたいもんです。




 とは言え、やっぱりファインの最大の見せ場はインストと共にあるその添付資料の濃さでしょう。そこに尽きると言っても過言ではありますまい。
「え~、キット本体じゃないの?」とか言われそうですけど、やっぱり実機のことを良く知れば制作意欲にも火が着くってもんですよ、ねえあなた。
タミヤやハセガワ様は忘れた頃に緻密な実機資料を同梱してたりしますけど、ファインモールドに至っては毎回コンスタントにですからねぇ。大したもんです。




 ちなみに今回の資料でワタクシ寿はちょっとしたカ号博士になってしまいました。いやぁ~技術資料ってのは読んでて飽きんね。知的好奇心くすぐるというか妄想かき立てられるというか。これもプラモの楽しみ方の一つでありますですよ。 色々と知った後でキットを組み立ててゆくと、「ほー」とか「へー」とか言って感心しながら作ってるしね。楽しみ方もより深まるとゆーもんです。文書だけで煮え滾った渇望を満たすのは中々に難しいからのう。



 読んで知って作って色塗って完成品を並べて。知る楽しみと、組み立てる楽しみと、色彩を塗り置く楽しみと、集めて並べる愉しみ。オマケに妄想空想さえも操れるときたもんだ。 これだけ多彩な楽しみを満足させることが出来るだなんて、いやはやモデラーというのは贅沢な趣味でございますなぁ。

製作の詳細

(写真1)カ号のパーツを切り出し始め、ちょびっとカオスな机の上。お手つきキット絶賛量産中!・・・・にしたくはないナ。今年の夏が暑すぎるのがイケナイんだ!
(写真2) 取り敢えずいつものよーにランナーに付いたままの状態で塗れるもんだけ塗っとく。馴れればこんなに楽な塗り方はないよ。


(写真3) 「ローターは駐機状態で垂れているので、指でしごいて曲げたらリアルになります」ってインストに書いてあったからその通りにしてみる。ふーむ、悪くない。ちょびっと力加減を間違えて一本折っちゃったけどね。何事にもホドホドが肝要かと。

(写真4) 座席を乗せて胴体を貼っ着ける。何だかメザシかシシャモみたいだ。塩焼きあたりが美味そう・・・・急に食べたくなって来ちゃった。



(写真5) ガニ股の足やら支柱やら多分になおざりな尾翼を着けてみても、何処となく海洋生物のイメージから逃れられないというこの不思議。リベレーターのとき(ウェブモデラーズ2015年三月号掲載)も思ったけれど、羽根のない飛行機械ってのは水の中の生き物と親和性が高いのかもしんない。水と空気という違いはあれど、どちらも流体の中を泳いでいる訳だしねぇ。
 ちなみに学生の頃「空気と水は粘性が違うだけで、ヒコーキと船は同じモノ。同様の流体力学の上で計算されている」と聞かされて「嘘~ん」と思ったもんです。うーむ、しかしこうして目の当たりにしてみれば確かにその通りやもしれぬ。

(写真6) いつものよーに、いの一番にスミ入れ。たまには少し変わった趣向も懲らしてみたいけど、外の暑さがそれを許してくんない。



(写真7) 腹下は中島系コクピット色を下地に灰緑色をぷーと上吹き。

(写真8) あとは濃緑色を筆でべたべたと塗っていくのみですよ。



(写真9) モノがちっちゃいもんだから塗り出せばあっという間。濃緑色よりも少し明るい緑色で軽く上吹きしてエナメルのスミ入れして、細部を塗った後にデカールを貼れば完成。の~んびり作ったんで二週間かかっちゃったけど、その気になれば二日程で多分出来上がってた。完成品は早く見たいけど、あくせくするのも何だかなぁって感じだし・・・・・暑いし。




(写真10) 裏返した姿は思いの他に無様、っちゅうかひっくり返された蛙のようで何だか哀れを誘うね。それを助長してるのはきっとこのガニ股のせい。

(写真11) 何はともあれ、黎明期の回転翼機が完成です。同梱の資料によれば、カ号(回転翼機の頭文字)は後に他の計画機と重複すると言うことで、オ号(オートジャイロの意)に改称されたのだとか。個人的にはカトンボ的なひょろい機体なのでカ号のままで居て欲しかったよ。残念なり。ま、別にオ号でも悪くないんだけどね。


写真12) これが同梱されているカ号の資料。うーん、なんてマニアック。でもこれを知っていようといまいと、日常生活には毛ほども支障がないぞ。




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