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誌上個展

ブラバム BT-18 ホンダ F-2 (エブロ 1/20)

by 田口博通 Hiromichi taguchi

  Vintage garageは創世記から1970年代までのビンテージレースカーとビンテージクラシックカーの連載コーナーです。クラシックな姿の中に優雅さと繊細さを内包した彼女達にしびれる方々も多いはず。 
 ビンテージ・ガレージは ビンテージカープラモデルの製作だけでなく、その独特の魅力を醸し出すビンテージカーが背景に持つエピソードにもスポットをあてています。 
どうぞあわせてお楽しみ下さい。

 2018年4月号から再開したビンテージ・ガレージ 第5シーズンですが、 今月登場するのはエブロから9月に発売されたニューキット1/20 ブラバム BT-18 ホンダ F-2です。
 このキットの内容は国産カーモデルとしては初めて、内部構造のパイプシャーシーと燃料タンクまで再現されたF-2レーシングカーです。また、ホンダ製のエンジンも適確に再現されています。
 外国製ではパイプシャーシを再現したキットが古くから存在し、エレール(ユニオン国内版)のブラバムF-3の実に見事な1/24キットが、2013年10月号のビンテージガレージ(第3回)で登場していますので、ご参照ください。
 今月登場のエブロのブラバムF-2も、見事な出来のパイプシャーシーで、ボディも魅力的なブラバムのスタイルをしっかりと再現されています。
 ブラバムホンダF-2は1965年はエンジントラブルでほとんどリタイヤに終わりましたが、エンジンが改良された1966年シーズンは 12戦中11戦で優勝し、F-2チャンピオンシップを獲得しました。



 エブロ1/20 Brabham BT18 Honda F-2 箱絵 


ブラバム BT-18 ホンダ F-2

実車について

 ジャックブラバムといえば、F-1レーサーとして有名で、1959,60年にクーパーF1でF1チャンピオンになっている。
 彼は、F-1でもう一度、1966年に ブラバムBT19に乗って4度の優勝を遂げ、F1チャンピオンになった。
 このバラバムBT19は自身の設立したMRD社で設計した鋼管スペースフレームシャーシーで信頼性の高いマシンだった。

 ブラバムチームはF-1でのレース活動と並行して、F-2レースにも参戦し、MRD社から設計したシャーシーを市販しているが、そのエンジンにはコスワースが使われていた。
 一方、ホンダは1960年代半ばにF-1に参戦したことは、良く知られているが、それと並行してF-2用の1000ccV4エンジンを開発し、その性能をヨーロッパのレースで試そうとしていた。それはレース専用に設計した水冷4サイクルDOHC直列4気筒の994ccエンジンでRA300Eと称されていた。
  そして、ホンダは1965年から2年間 ブラバムチームに試作したF-2用エンジンを供給したのである。
 日本のオートバイメーカーの試作した実績も無い(当時ホンダは4輪車の発売をしていなかった)V4エンジンである。おそらく、ブラバムから望まれて供給したのではなく、ホンダからスポンサー料を払い、頼み込んで 使ってもらったということだったのだろう。
 その試作エンジンはブラバムBT-18シャーシーに搭載され、1965年F-2シーズンはエンジン不調で完走できず、散々な結果に終わっている。それでもブラバムは辛抱しながらホンダエンジン搭載車でのレースを続け、エンジン設計チームに貴重なフィードバックを行い、エンジンの改良を待った。
 そして、そのブラバムの辛抱が実を結び、ホンダエンジンが改良された翌1966年F-2シーズンは 12戦中11戦で優勝し、ブラバムにF-2チャンピオンシップをもたらしたのである。

(実車写真)
1966年のF2フランスGPで、ホンダ製エンジンを搭載したF2マシン、ブラバム・ホンダBT18に乗り込むジャック・ブラバム
このレースでも優勝する。(1966年09月11日)  【AFP=時事】より引用



 1966年の結果だけ見てホンダの技術力を賞賛するのは片手落ちというもので、エンジンの改良すべきポイントを指摘してリードしたのはブラバムだったのだ。
 実は、1965年シーズンではホンダのF-2エンジンの設計者には自分達が設計したエンジンがどうして壊れるのか、何回リタイヤしても、かいもく解らなかったのである。F-2エンジン設計者達の自尊心が強く、苦労して改良を続けていたF1エンジンチームの貴重な経験を取り入れようとしなかったこともその原因にあった。
 社長の本田宗一郎も「俺の不満は、どうしてF-2エンジンチームの連中は、同じミスを繰り返すのか、ということだ。そこから何も学ばんのか」と言っていたそうである。
 そんな状況の中で、F-2エンジン設計者に直接、「君達が設計したエンジンは、オイルがシリンダー内に満遍なくいきわたることがない。それが壊れる原因だ。つまりは設計のミスだ。走行中のエンジン音を聞いていて気が付かなかったのか?」
「Mrホンダのような天才的なエンジニアは感性で設計するものだ。そして、その感性があればエンジンの悲鳴も聞き分けられるのだが。君達にはそういった感性はないようだ。
とにかくエンジンが壊れるのは、オイルがきちんと潤滑していないからだ」ときちんと指摘したのはジャック・ブラバムだったのだ。
 その後、ホンダのF-2エンジンは ピストンが特殊合金製に替えられ、またピストンリングの耐久性も向上したものに改良された。そして1965年9月のフランスF-2グランプリでやっと、リタイヤせずに完走できるまでになったのである。

BT-18鋼管パイプフレームと、後部に搭載されたホンダ1000ccエンジン。



製作

 9月に発売されたブラバムBT18 ホンダF-2はブラバムのパイプシャーシーと、ホンダF-2エンジンが再現されている。
 パイプシャーシーもほぼ一体成型されていて、組み立て易くなっている。
 また、組み立て説明書が 全ての実車部品名称が記載されるように改良され、組み立てが格段と楽しくなった。
自分が今、何という名前の実車の部品を、組み立てているのか知って組み立てるのと、知らないで組み立てるのとでは、楽しさも後で残る知識にも雲泥の違いがある。 大変嬉しいことだ。

パイプシャーシーが再現された部品
エンジンと燃料タンク
エンジン、シート、ホイールなど ボディ

ボディの塗装

 ボディ部品は上下分割でグリーンでモールドされている。
今回は、フィニッシャーズのピュアグリーンを吹き、キットデカールを貼り、クリアを吹いて塗装は完了。
デカールだが、ゴールドのストライプを貼る際、エアスクープが邪魔になるので、切れ込みを入れながら貼り付けると良い。ノーズにはホンダのエンブレムを貼っておこう。
 エンジンカバーのキャブレター部には透明プラスチックのカバー部品がキットには付属しているが、金属メッシュで置きかえた。

塗装をしたボディカウリング上下、エンジンカバー


シャーシー

 キットのシャーシーはパイプシャーシー、燃料タンク、エンジン、前後サスペンションと、ラジエーターから構成されている。
 フロントサスペンションはシャーシに取り付け、リアサスペンションはエンジンに組み込んだリアバルクヘッドに取り付けるような設計になっている。
 このキットでは組み立てをする中で自然に4輪のアライメントが取れるはず?という構造になっているので それはそれで良いが、4輪が接地するかどうかは最後までわからない。運に見放されないように慎重に組んでゆこう。
 今回は最初に、パイプシャーシにフロントサスペンションを組み込む。次に平らな板の上で、エンジンに組み込んだリアバルクヘッドをシャーシーに接着というプロセスにした。結果、4輪はほぼ接地することができた。

エンジンとサスペンションを組み込んだシャーシーの完成形

パイプフレーム

 では、順を追ってパイプフレームを組み立てて行こう。
まず、メインフレームから不要ランナーを丁寧にカットする。30度刃先のカッターナイフを用意しておくと工作がしやすい。
そしてB2部品(コクピット前部バルクヘッド)をメインフレームに接着する。(写真1)
次にB9(センターバルクヘッドロールバー)をメインフレームに接着する。(写真2)

(写真1)メインフレームとコクピット前部バルクヘッド部品
(写真2)センターバルクヘッドロールバーを接着する。

 フロントバルクヘッドにペダル部品を組み込む。(写真3)
(写真3)ペダル部品をフロントバルクヘッドに接着



 メインフレームにC5(フロントサスペンション上部)を傾かないように接着する。
 その後で、上から、フロントバルクヘッドをメインフレームに接着する。 
コクピット左右の補強パイプB12,B13と、ギアシフトC19、ステアリングシャフトを接着する。(写真4)
シャーシーの塗装は説明書どおり、ニュートラルグレーとした。
(写真4)ほぼ組みあがり、塗装したメインフレーム部

燃料タンク

 燃料タンクはコクピット左右にあり、上下貼り合わせになっている。フラットアルミで塗装しておく。
  燃料タンク部品
フラットアルミに塗装した左右燃料タンク

エンジン

 このキットのエンジン部はまず、エンジン本体とトランスミッションを別々に組み立てる。
次にトランスミッション前側にB6リヤバルクヘッドを上部び2個のボルト部で接着する。
最後にエンジン本体をトランスミッションに結合してエンジンが完成するという設計になっている。

 シャーシにエンジンを組み込む時には、B6リヤバルクヘッドをメインフレームに接着するので、これがエンジンアライメントの基準になるのだ。これを頭に入れて、仮組をしながら、エンジンをトランスミッションに接着しよう。
干渉しないように メインフレームのエンジンマウント接着部を少しカッターで削って広げておくと良いだろう。

完成したエンジン部

前後サスペンション

 まず、フロントとリアのアップライトを組み立てておこう。タイヤ軸を挿入するポリキャップを入れるのをお忘れなく。  フロントアップライトと、リアアップライト部品

フロントサスペンション

 フロントダンパーユニットは小さい部品が多いので、飛ばしてしまわないように慎重に組み立てよう。 組み立てると下の写真のようになる。

組み立てたフロントサスペンション

リアサスペンション

 まず、リアバルクヘッドをメインシャーシーに接着して、エンジンを取り付ける。
このリアバルクヘッドに リアサスペンションが取り付けられることになるので、しっかりと時間を置いて接着部を乾燥させ、接着強度を確保してから、次の作業に移ろう。 
 リアサスペンションも小さい部品が多く、また、メッキ部品も多いので、先細の丸やすりを使って、部品の穴の大きさを調整しながら組んでいくとよい。
組み立てると下の写真のようになる。

組みあがったリアサスペンション

シャーシーとタイヤの最終組み立て

 ラジエーター、エキゾーストパイプ、各種ホース類、補機類をシャーシーに組み込んでいき、シャーシーを完成させる。
ラジエーター部は上部カウリングと干渉しないように、仮組しながら 位置決めをしよう。
 タイヤを取り付けて、無事 4輪共に机面に接地すれば、組み立て完了である。
 不幸にも1輪浮いてしまったら、秘策として、ヘアードライヤーで浮いたサスペンションの接着部を温めながら、調整していく。この際、プラスチック部品を熱で変形させないように注意しよう。

最終組み立て前の各ブロック



ラジエーター部は上部カウリングと干渉しないように位置決めする。

完成

 シャーシーに上下カウリング上部とエンジンカバーを取り付け、上カウリングに透明キャノピーを手工芸用水性ボンドで接着し、最終組み立てをする。
 完成したブラバムBT18ホンダの姿は 葉巻型フォーミュラの典型的なスタイルで実に魅力的だ。
小さい部品が多く、ちょっと組み立てに苦労する箇所があるので、落ち着いて組んでいけば、必ず完成できるはずだ。
毎回、エブロのレーシングカーのキットは製作中のメカニック感がたまらない。充実した製作時間を過ごすことができるだろう。







ブラバム F2 その後

 ホンダエンジンのF-2参戦は1965年、1966年の2年だけで終わってしまう。
また、F-1レースでは 1965年にRA272で1勝、1967年にRA300で1勝挙げた後、1968年シーズンのフランスGPでジョー・シュレッサーの命を奪うことになった悲劇により撤退した。
 しかし、自分たちの技術が世界にどれだけ通用するものか挑戦したいというチャレンジ精神は、後のホンダに受け継がれ、1983年からF-1エンジン供給で再参戦している。
 後年、この時のF-2エンジン設計者の二人がホンダの社長になるのだが、この2年の経験を活かせたのではないだろうか。
 ブラバムにとって1966年はF-2シーズンチャンピオンになっただけでなく、F-1でも4勝を挙げ、自身3度目のF-1チャンピオンに輝いた最良の年となった。
 続く、1967年はチームメイトのデニス・ハルムがチャンピオンとなり、ブラバムは2年連続 コンストラクターズチャンピオンに輝いたのである。 





 ブラバムのパイプフレームシャーシーは多く輸出された。
 日本でも プリンスR380がブラバム(BT8A)の鋼管フレームをベースにして、ロールバーを加え、V6エンジンが搭載可能なように改造するなどした鋼管スペースフレームを使用した。
また、ブラバムのフォーミュラマシンを鈴鹿サーキットが大量に購入し、それがプライベーターに放出され、幾多の日本人レーサーを育てた功績は大きい。その一人が生沢徹だった。
 さて、引退したF-2マシンの行方であるが、現在、ツインリング茂木のホンダコレクションホールに飾られており、見ることができる。ゼッケンはNO.3 ジャックブラバムが乗った車であり、フロントノーズにはホンダのエンブレムが飾られている。お子様と一緒に休みを利用して訪れてみるのも良いだろう。


ツインリング茂木のホンダコレクションホールに飾られている ブラバムBT18ホンダ F2

http://blog.livedoor.jp/jsaeformula/ より引用

ビンテージ・ガレージ バックナンバー
5th
シーズン
2018年8月号 第26回 PRINCE R380A-1 (インターアライド 1/24)
2018年7月号 第25回 ジャガーEタイプ (グンゼ 1/24)
2018年5月号 第24回 マツダ コスモ スポーツ L10B (ハセガワ 1/24)
2018年4月号 第23回 Team Lotus Type49B 1969 (エブロ 1/20)
4th
シーズン
2017年2月号 第22回 ベンツW154-M163仕様  (W163 (1939) リバイバル 1/20)
2017年1月号 第21回 ダットサンSR311 フェアレディ (フジミ(旧日東) 1/24)
2016年12月号 第20回 スカラブ Mk.4(モノグラム 1/24) 
SCARAB Mk.4 (MONOGRAM 1/24)
2016年11月号 第19回 マクラーレンM8A 1968(タミヤ 1/18)
  Mclaren M8A (TAMIYA )
3rd
シーズン
2016年2月号 第18回 ポルシェ356Aスピードスター (トミー 1/32)
PORSCHE 356A SPEEDSTER(TOMY 1/32)
2016年1月号 第17回 ブガッティT55スーパースポーツ(バンダイ 1/20)  
Bugatti model 1932 type 55 Super Sport (Bandai 1/20)
2015年12月号 第16回 フェラーリ 250 テスタロッサ(ハセガワ 1/24)
Ferrari 250 Testa Rossa (Hasegawa 1/24)
2015年10月号 第15回 シトロエン DS19 (エブロ 1/24)
CITROEN DS19 (EBBRO 1/24)
 
2015年9月号 第14回 フォルクスワーゲン カルマン・ギア 1963年型 (GCIクレオス 1/24)
 Volkswagen Karmann Ghia 1963
2015年8月号 第13回 メルセデス ベンツ 300SL (タミヤ 1/24)
Mercedes Benz 300SL (Tamiya 1/24)

2nd
シーズン
2014年12月号 第12回 オースチン ヒーレー 100-6 (レベル1/25)
AUSTIN HEALEY 100-SIX (Revell 1/25)
2014年11月号 第11回 リンカーン・フューチュラ(レベル1/25) 
LINCOLN Futura (Revell 1/25)
2014年10月号 第10回 メルセデス・ベンツ540K(モノグラム1/24)
MERCEDES-BENZ540K (Monogram 1/24)
2014年9月号 第9回 デユーセンバーグ・モデルSJ(モノグラム1/24) 
DUESENBERG SJ (Monogram 1/24) 
2014年8月号 第8回 ド・ディオン・ブートン (1904年型)(ユニオン 1/16)
DE DION BOUTON 1904 (UNION 1/16 )
2014年7月号 第7回 アルファロメオ2300 トゥーリング(1932)(ブラーゴメタルキット 1/18)
ALFA ROMEO 2300 TOURING(Burago Metal Kit 1/18)
1st
シーズン
2014年1月号  第6回 ベンツ 300SLR (レベルモノグラム 1/24) 
2013年12月号 第5回 BENTLEY 4.5L BLOWER (エレール 1/24)
2013年11月号 第4回 ブガッティ 35B(モノグラム 1/24) 
2013年10月号 第3回 BRABHAM F-3 (エレール  1/24) 
2013年9月号  第2回 ROB WALKER Team Lotus 72C (エブロ 1/20)
2013年8月号  第1回 ホンダF1 RA272(タミヤ 1/20)


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