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誌上個展

   1/72で綴るソ連レシプロ戦闘機の系譜

   第4回 Yak-3 (Heller 1/72)

by akaihoshi2004

 第二次世界大戦におけるソ連戦闘機は従来、性能が低く見るべきものが無いとされて来ましたが、実は大戦末期にはドイツ機と肩を並べるほどに発展していました。このシリ-ズではソ連の単発レシプロ戦闘機に焦点を当て、1/72の模型を使って概ね年代順に辿って行きます。 


 Yak-3は番号順ではYak-1の次に開発されたと思いがちですが、実はYak-7やYak-9よりも後に登場した機体で、第二次大戦ヤコブレフ戦闘機のアンカ-となりました。前作Yak-9が対地攻撃もこなす多目的戦闘機だったのに対し、Yak-3はYak-1を小型軽量化して格闘性能を向上させた純粋な戦闘機で、大戦中の最優秀ソ連戦闘機とする声も多く聞かれます。戦後はYak-3をベ-スにソ連初のジェット戦闘機Yak-15が作られ、さらに-17,23と発展して行くので、確かにYak-3の基本性能は優れていたものと思われます。



 BOXア-トは日没を思わせる空のもと、市街地とも荒野とも見える大地の上空を飛ぶYak-3。背景は抽象的で形が判別できるものはほとんどないけれど、唯一遠方に炎上/墜落して行く機体が描かれており、地上から立ち上る煙と相まってここが戦場であることを物語っています。色彩的に調和のとれた絵ですが、機体塗装の色調は背景のオレンジに合わせて脚色されているようなので、この箱絵だけを頼りに塗装するのはあまりお奨めできません。



  このキットが世に出たのは1970年代中ごろで、恐らく 1/72Yak-3 の初キットです。1990年代前半にハセガワからキットが出るまではこのエレ-ル(Heller)が 1/72Yak-3 のベストキットでした。今から数えるともう40年以上も前のキットですが、スケ-ルモデルとして現代でも十分通用する内容を持っていると思います。



 エレ-ルはフランスの老舗キットメ-カ-ですが、フランスのメ-カ-がYak-3 をキット化するのは理由があります。大戦中、国を追われた自由フランス軍の戦闘機隊はソ連の支援を受け、東部戦線でドイツ軍と戦いました。ノルマンディ-ニ-メンと呼ばれるこの部隊はヤコブレフ戦闘機を装備し、強敵ドイツ空軍と互角に戦ったと伝えられています。本作例はそのノルマンディ-ニ-メン機を再現しました。スピナと方向舵の3色塗り分けはフランス国旗を表しています。



 このエレ-ルのYak-3はいかにもフランスらしい繊細なモ-ルド表現と的確なアウトラインで、Yak-3の雰囲気を見事に再現していると思います。Yak-3は無骨で垢抜けないソ連機の中では例外的に優雅な形状の機体なので、ノルマンディ-ニ-メンが装備するのにぴったりの機体ではないでしょうか。事実、ノルマンディ-ニ-メン部隊は戦後機体ごとフランスに帰国し、1947年までYak-3を使用しました。



 最後にこの作例はジオラマ風の展示台に固定して飾っています。実は下面の塗装に失敗して一部に酷いアラが出来ました。それを見たくないので台にくくり付けてしまったと言う訳です。この台は合板を正方形にカットした上に紙粘土を盛り付けて地面を作り、さらにその上に鉄道模型用の資材を使って砂利や枯草、雑草などを表現しています。


下記アドレスは本稿の筆者のホームページです。ご興味がありましたらどうぞご覧下さい。
http://w01.fitcall.net/akaihoshi/


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