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  川崎5式戦2型 (アオシマ 1/72)

  by MERSU57




 先回のポルシェの製作の合間に平行して進めていたモノです。
塗装の乾燥待ち時間がかなりあり、その間に作りあげました。
かなり新しめのキットです。
が、なにかスッキリした感がなくもっさりとは言いませんが旧い金型をリフレッシュしたかのような、スカッとしないイメージです。(初期のICMのモールドの様)
とはいえ、最後期の排気タービン装備型を国産品のモデルで手に入れられる事は貴重に思います。



 この機体に装備している排気タービンは、当初雷電などに使われたモノとは異なり当時の日本の生産技術では作り上げる事が困難な中間冷却器を省き、その代わり過給エアーに水噴射を行いこの冷却を施し同様な機能を持たせたものと言う記述があります。(温度が約30度下げられ十分な効果が確認)この方法であれば製造に高度な加工技術と取付箇所(これで苦労した様で)も必要なく、且つ軽量化にもなるので当時の日本では最適と思われます。水噴射の機能はすでに実用化(水メタノール噴射機能)している技術応用なので現実的な選択です。
実際にも同排気タービン装備の川崎キ102甲は試験飛行時、飛来したB29に遭遇しこれを撃墜した記録があるそうです。(参照 光人社NF文庫戦闘機恐るべし飯山幸伸氏著より) 2型の試験飛行の評価も悪いものでは無かったとか。 という事で、もしかしてそこそこ高性能な機体だったのかもしれない本機に興味をもち、作ってみる事にしました。



 組み立てにあたりまずインストに不明瞭な部分があり事前によく確認する必要があります。
特に塗装指示の部分で迷ってしまいます。コクピットの塗装色は末期の機体は機体上面色と同じ濃緑色で塗られたとの事ですが(インストもそれに倣っている様ですがー最初は間違いと思いました)気持ち明るい英国ダークグリーンで塗って見ました。
組み立てそのものは基本的にはサクサクと形になっていきます。
機体下面のボディと主翼の間に若干の段差と隙間があるので、プラ板の短冊で埋め込み修正、主翼機関砲の銃口周にも段差がありこれも直しておきます。色々なレビューを見ると後部ボディが四角すぎとあり、実際に同スケールの飛燕などと比べてもそう感じましたので、ボディ内部4隅にプラ材で裏打ちしてから削り込んで見ました。



 塗装前に全面軽くペーパーかけしておき、(全面梨地であり、しかも部分によって荒さも異なっています)まず日の丸を塗装仕上げしておきます。次に全面ラッカーシルバーを吹き付け上面に陸軍濃緑色(今回は水彩ダークアースと濃緑色の交互重ね)を筆塗りで行いました。薄めで10回くらい塗り重ねて色味と厚みを出して行きます。一部に水彩ムラ(濃淡差)を残し完了。久方ぶりにキャノピー枠の筆直塗りも行いました。(たまにやってみて自分の下手さを実感、修正ばっかりします)
ブレードは濃緑色の上から薄い赤をさしています。シルバー部も水彩ブラックで一部パネルに調子変えを筆塗りで施しました。
更に全体をエナメルブラックで軽くウオッシング。汚しは排気タービン周辺と薬莢排出口のみ軽く施します。垂直尾翼とコーション系はデカールを使用。フィニッシュにクリアーコート。如何でございましようか?



本機について話しをもどすと、出来上がった機体のコクピットのスライドキャノピーの組み付けが粗く、密閉状態でも隙間がかなりあり共振動が発生しそこに大量のグリスを充填しないと、抑えられなかったなど基礎の製造技術の稚拙な所もあるチグハグさが混在したものです。(参照ウィキぺディア)
折角の高高度性能も、気密性をもたせるコクピットも望むべくもなく当時の製造技術の実力とはいえ残念です。現在の日本の製造、生産技術を考えると雲泥の差を感じます。実機は3機作られた様ですが、終戦までの僅かな間でも試験運用したんでしょうか?興味深い所です。



参考資料 出版協同社日本航空機総集第四巻 川崎篇 1982改訂版ISBN コード無し
光人社NF文庫 戦闘機恐るべし 飯山幸伸著 ISBN978-4-7698-2619-C0195


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