Home  > ゴジラ (1954) (バンダイ 1/250 ザ特撮コレクション 11 )> 特集 プラモデル温故知新>2019年7月号

特集 プラモデル温故知新

ゴジラ (1954) (バンダイ 1/250 ザ特撮コレクション 11 )

by 五六式(TYPE-56)



 5月31日からハリウッド版ゴジラ最新作"GODZILLA: KING OF THE MONSTERS”が公開されています。で,今回は,記念するべき第1作,”ゴジラ(1954)”版ゴジラを製作して温故知新します。

 最古級のキットは,おそらく,オーロラ版(1963)やマルサン版(1964)でしょうが,これらは,”キングコング対ゴジラ”版のゴジラを再現(しようと)したもので,初代ゴジラの本格的なキットの登場は,1980年代のガレージキット群のリリースを待たねばなりませんでした。

<ゴジラ(1954)について>



 山根博士によると,

今からおよそ200万年前,このブロントサウルスや恐竜が全盛を極めた時代,学問的にはジュラ紀,そのジュラ紀から次の時代の白亜紀にかけて,極めてまれに生息していた海棲爬虫類から陸上獣類へ進化しようとする中間型の生物であったとみてさしつかえない。仮にこれを大戸島の伝説に従ってゴジラ,ゴジラと 呼称します。

ですと。

ジュラ紀から白亜紀にかけて・・・なら,200万年前なわけはないのですが,何しろ,65年も前の作品なので科学考証も”それなり”と堪えてあげましょう。”恐竜100万年(ONE MILLION YEARS B.C.)(1966)”なんて作品(恐竜が闊歩する100万年前の世界で人類がそれなりに頑張っていたというお話)もありましたしね。

プロントサウルス(アパトサウルス)をプロントサウルスと言っているのも,当時よくあった間違い(一部の書籍さえ,間違えていた)です。

<キットについて>



 おそらく,現在でも入手可能な海洋堂のソフビキット(1/250スケール酒井ゆうじ氏原型)の方が簡単にできるのだろうけれど,今回は,敢えてプラモの方を製作します。

キットは,バンダイから1980年代に発売されていた”ザ特撮コレクション”シリーズの中の逸品。原型は,海洋堂のGSV(GODZILLA SUITS VARIATION)やバンダイのソフビ怪獣の原型で名高い速水仁司氏の手によるものです。他の”ザ特撮コレクション”シリーズのキットは,1/350スケールなのに,本キットだけが1/250スケールと,力が入っています。

プラキットは,型からパーツを外す都合でモールドが不揃いなところがあって,再現性ではソフビキットには負けてしまいますが,速水さん独特のかっこよさがあるんだなぁ。

当初は,劇中の背景も付いたジオラマ仕立てのキットでしたが,その後,”ゴジラvsビオランテ”公開に合わせてジオラマの部品を除き,差し替え用のvsビオランテ版の頭部を同包したコンバーチブルキットに仕様変更されました。今回,組むのは,初版の仕様のキットです。


 ビルは,劇中で映っていた銀座の松坂屋。ペット売り場の小鳥とゴジラの対比が怖いシーンのアレです。更に自衛隊のF-86Fが4パーツ構成で2機付いています。ぱっと見,よくできていますが,垂直尾翼の後縁の分厚さは絶句ものです。というわけで,今回は製作を見送りました。

<製作>

 古い在庫なので説明図が死んでいました。説明図には,解説もいろいろ書き込んであって資料的価値があったのですが,愚痴は言いますまい。粛々と組み立てるのみです。

ブラモは,くねくねした生物的なものの表現は苦手ですが、ものが大きいのでなんとかいい感じに仕上がりそうです。ただ,そのために部品の分割が多くなるし,精度を出すのが難しくなるので,あちこちに隙間があきます。部品を接着しても,なかなか固定しない(おかしいぐらいに)ので瞬間接着剤で裏側から固定したところも多々ありました。また,プラスチックが堅いので,バリの処理や整形が大変です。

お金さえ払えば,手間いらずで完成品が入手できる今般,敢えて自分で製作する意義とは?



首は,プラ板の筒を継ぎ手にして取り付けました。



 困るのは,3列あるとげとげの部品の接着位置がさっぱり分からないことです。中央に7枚、左右に9枚ずつ計25枚の棘があります。ランナーをよく見ると,背びれの部品は中央,左右と列ごとに固まって配置されています。幸い,組み立て説明図の画像をネットで拾うことができたので何とかなりました。

☆中央の一列は,前から 25-26-40-41-42-43-44
 右の一列は,前から 45-46-47-48-49-36-37-39-38
 左の一列は,前から 27-31-29-30-38-32-33-35-34

まずは,中央の一列を接着し,隙間を埋め・・・あらあら,隙間があかないよ・・・これは,嬉しい誤算。とげとげの方にたっぷり接着剤をつけて半乾きになるまで放置します。これに,もう一度接着剤を付けて、背中にぎゅっとくっつけるとほぼ隙間無しにくっつきます。このとき,もし隙間ができていれば,”めたぁ〜”と剥がしてもう一度接着剤を付け,背中にぎゅっとくっつけると完了,そのまま一晩放置すれば,強度も十分なレベルになっています。このとき,とげとげの列が左右に振れていますが,体のひねりと矛盾がなければ,それが正解です。次の日に,同じ要領で脇の二列を接着します。このとき,中央の一列と全体の流れが合うように意識して接着していきます。とげとげに関しては,これで工作終了です。





 全体の組み立てが終わったら,延々と部品のつなぎ目を消していきます。射出成形の都合でモールドの甘いところがありますが,ちょっと彫り込んでみると不自然だったので,すぐに作業を中止し,元の状態に戻しました。モールド云々にこだわるなら,多少値が張ってもレジンやソフビのキットを組むことをおすすめします。


 口内を塗装してから下顎を取り付けます。下顎の取り付け部は,赤で塗った部分が出っ張っているので慎重に削り合わせます。うまくいけば,わずかに残った部品のつなぎ目をゼリー状瞬間接着剤で簡単に埋めて仕上げることができます。



 下塗りの前に目や爪を白でスプレーしておき,それらの周辺は,筆で塗り分けておきます。バットマンに出てくるジョーカーみたいになりました。

塗料が完成したら白く残しておきたいところをざっとマスキングして(すでに筆で塗り分けているのでラフな感じで十分です。)缶スプレーのつや消し黒で全体塗装しました。



 下塗りが終了しました。後は,陰影を付けたり爪の部分を仕上げたり瞳を書き込んだりした後、トップコートでつや消しにしてやります。



 ドライブラシもしていないし,爪も瞳も塗装していませんが,写真にすればすでに十分なように見えます。(本編使用の着ぐるみ自体も墨で着色していただけと聞いています。)それに,爪も瞳も写さなけりゃいいわけだし・・・。

<完成>



 遠目で見ると,速水氏の原型の素晴らしさがよく分かると思います。定価2000円(当時,消費税はなかった)でこの立体物が手に入る快感と組み立てるときの苦しみを与えてくれたバンダイさんになんと言ってあげればいいのやら・・・。



 とにかく,顔がいいです。オリジナルの正確なトレースではないのですが,「そっくり」と「かっこいい」の絶妙なバランスで造形されています。



 やや,前傾姿勢で生物感を出しています。尾のひねりもプラモと思えない仕上がりです。


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                    editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず/リンクフリー
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