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特集 民間機 

(Photo) シュド・カラベル

by  コルディッツ
博物館実機写真

 シュド・カラベルはフランスのシュド・エスト社の製作で、1955年に初飛行に成功したリアエンジン型式の中短距離路線向けのジェット旅客機です。機体後部にエンジンポッドを装着する機体は、日本ではボーイング727が有名ですが、世界で最初にジェット旅客機で成功したのは、カラベルでした。
 かつての航空機大国フランスは、第二次世界大戦中にドイツに占領され、航空機産業は衰退していました。戦後その復興に向け、フランス航空局は中短距離用ジェット旅客機のコンテストを行い、シュド・エスト社の提案したX-210が選ばれ、カラベルの開発に至りました。愛国的な状況下で計画が始まりながら、自国製「アター」エンジン3発案では推力不足と判明すると、英国製「エイボン」エンジン双発案に切り替え、コストダウンと設計期間短縮のために、先行したデ・ハビランド DH.106 コメットの機首部分の設計を流用するなど、柔軟な対応を取った機敏さは、成熟の国フランスと感嘆します。

 エアフランスの発注を受け、社名変更したシュド・アビシオン社が1956年に生産開始、初就航は1959年4月26日のスカンジナビア航空で、直後にエアフランスはパリ・イスタンブール線に投入します。このことを故佐貫亦男教授は「カラベルとはトルコの快速帆船のことであるが、それにふさわしいルートであった。」(「ヒコーキのこころ」光人社NF文庫)と記していますが、当時はヒコーキにロマンを感じた時代だったんですね。
 カラベルの生産型はⅠ、ⅠA、Ⅲ、Ⅵ-N、Ⅵ-R、10-B、10-R、11-R、12と9形式あり、1958年から1972年までに282機生産され、2005年までに全機リタイアしています。スウェーデン空軍ではSASの中古機を電子戦機機に改造して使用していました。
 ル・ブルジェの航空宇宙博物館のコレクションリストに、カラベルの名前はありますが、何故か私は見たことがありません(泣)。なのでフランス国外で撮影したカラベルを紹介させていただきます。
 本稿はWikipediaと「旅客機」(K・マンソン著、湯浅謙三訳、野沢正監修、鶴書房 昭和46年2月20日発行)を参照しました。


Sud Aviation SE-210 Caraveiie Ⅲ OY-KRD  スカンジナビア航空機
 技術博物館(ヘルシンガー、デンマーク)にて      2008年12月撮影
 原型は推力4,536kgのエイボンRA-26を装備しました。最初の生産型の
カラベルⅠはエンジンはそのままで20機生産。次のⅠA型は推力4,736kg
のエイボンRA-29 Mk522を装備して12機生産。1959年12月30日に初飛行
したⅢ型は、推力5.307kgのエイボンRA-29/3 Mk527とRA-29/3 Mk527B
に変えたタイプで、生産78機はシリーズ最多です。また初期型32機のうち、
31機がⅢ型にバージョンアップしています。  




懐かしいナローボディ機の2×3のエコノミー席。 




コクピット方向を撮影。操縦席撮影は仕切りの透明板に反射し失敗。 




 尾部の引き込み式の乗降用階段。SASのDC-9系ですが、私はここから
下ろして貰うのが大好きでした!  







Sud SE-210 Caraveiie Ⅵ-N  OO-SRA サベナ・ベルギー航空機
 軍事博物館(ブリュッセル)にて         2009年12月撮影
 Ⅵ型は推力5,535kgのエイボンRA-29/6 Mk531とRA29/6 Mk531Bに
換装したもので、1960年9月10日に初飛行しました。53機生産され、Ⅲ型
から5機が改装されました。逆噴射装置を付けないため「N」ーノーマル符号
が付記されるようです。時速845km/h、航続距離2,500km(荷重7,620kg)
乗客80名。逆噴射装置付きは「R」ーリバーサーの符号が付記されるかと。
 なおⅥ-Nの最初の利用エアラインはサベナ・ベルギー航空でした。
 




Sud Aviation SE-210-10-R Caravelle  TC-ABA イスタンブール航空機
 イスタンブール航空博物館にて          2019年3月撮影
カラベル10は、推力6,350kg の米国製P&W JT8D-7 ターボファン に換装
したタイプで、全長は32.01mのままです。最大速度800km/hと博物館の表示
にありました。
 撮影時は花粉への反応がMAXのようで、水平に撮影できず、済みません。 












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