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特集 液冷

 デカール自作第4弾
フェアリー ファイアフライMk.5(エアフィックス 1/72)

by口博通 Hiromichi Taguchi



 ファイアフライ(Fairey Firefly )は、「火のついたハエ」ではなくホタルの意味ですが、イギリスのフェアリー社が開発し、イギリス海軍の艦隊航空隊などで運用された複座艦上戦闘機です。Mk.5はグリフォン74エンジン(2,245hp)を装備し、第2次大戦後 就役しました。
1/72モデルではフロッグMk1とエアフィックスMK5の古いキットがあり、その後スペシャルホビーからMk.4が、またSMERからMk.1が発売されていますが、現在のSMERのキットが旧フロッグ金型ではないかと推測されます。

エアフィックスMk5 箱 絵


 エアフィックスのキットは1960年代の金型なので部品点数は少なく、形状の修正などという邪心を抱かなければすぐに組みあがると思います。主翼が展張状態と折りたたみ状態のコンバーチブルになっているため、分割されていて、各部の隙間、段違いも大きいので、瞬間接着剤をパテ替わりに使って丁寧に整形しておきます。この辺は古いキットゆえ、さくっとは行かず、思ったよりも手がかかります。
 塗装は下面 スカイ、上面 エキストラダークシーグレーの塗り分けです。エアブラシ吹き付けでは綺麗には仕上がるが単調になってしまいます。それで、気流の方向に塗面タッチをつけたく、面相筆による筆塗でMrカラーを用いて塗り分けました。デカール貼り後、艶消しクリアを吹いて保護したら、その筆のタッチも見えなくなってしまい、残念。



 デカールは下写真のように黄ばみが進みとても使えそうにありませんでした。
白黒のストライプはマスキングして塗装し、国籍マークは他キットからほぼ同じ大きさのものを流用すればなんとかなりそうです。
しかし、機番202と部隊マークKはどうにもならないので、デカールを自作することにしました。


デカールの自作

 手順は9月号のカワサキ ヒューズ H-500(タミヤ 1/48) と同様です。
1)まず、スキャナーでデータ化します。
手持ちのスキャナーでもっとも解像度の高い1200dpiでスキャンしておきました。
2)次に画像加工ソフトで 文字以外の箇所の黄ばみを消します。
 具体的にはデカール余白部を「ペイントカン」ツールでホワイトに塗っていきます。(画像上のホワイトはプリンターでは透明となるので)
 文字の黒色も黄ばんでいるので、「ペイントカン」ツールでブラックに塗っておくと、しゃっきりとした黒色が取り戻せます。

文字以外の箇所の黄ばみを消す


3)次に、印刷のためにドローソフトに 先ほど作った画像を取り込み、取り込んだ画像を拡大縮小して 原寸で印刷できるようにします。
下は 筆者が使っている「Inkscape」というフリーのドローソフトの編集画面です。

とりこんだ画像の拡大縮小の具体的な方法は

上の画像の例では1200dpiで横1529dot,縦1193dotとなっています。
横 1529÷1200=1.27インチ
縦 1193÷1200=0.995インチ
となるので、入力ボックス右端をin(インチ尺)を選び、原寸で印刷するには、幅ボックスに1.27 ,高さボックスに0.995 と入力すれば完了です。



4)そして、このドローソフトからインクジェットプリンターでデカール用紙に印刷します。これで、デカール用紙に原寸で印刷できました。
(家庭用インクジェットプリンターで印刷できる自作デカール専用用紙が売られています。アマゾン通販でHIQPARTSというメーカーから発売されている透明ベース(製品名 INKJ-T04CL-05 880)を使いました。A4サイズが5枚入って950円でした。)
(5) 水に溶けるインクジェットなので、印刷後、「クリアーコーティング」が必ず必要となります。
デカール用紙の注意事項を良く読んで、2日くらいインクをしっかり乾燥させた後に 模型用ラッカークリアー「GSIクレオス「スーパークリア」、ガイアカラー「EXクリア」)などをエアブラシで注意深く吹き付けておきます。完成した自作デカールは 切り抜いて、水につければ、普通のキットデカールと同じように使用可能となります。

印刷した自作デカール


完成

 機銃はしんちゅうパイプで、着艦フックはシンチュウ線で置きかえました。キャノピーは「ピカール」で磨いて取り付けました。フラップを下し、爆弾を下げれば 完成!!
 
 デカール自作が自分で気軽に出来るようになれば、作りたいとは思いつつもデカールの入手が出来ないと製作をあきらめていた古いキットも容易に完成ができるようになります。古いキットのストックをかかえたモデラーには、ぜひお奨めのテクニックです。
 完成すると、2200馬力越えのグリフォンを装備した液冷機なので、機首のスタイルはムスタングのように流れるようなラインになっています。しかし、前部キャノピー形状が無骨で美意識が欠けており残念。
 複座戦闘機フェアリーファイアフライは大馬力エンジンを装備した割にはやっと速度500km少し越えた程度で 戦闘機に比べると速度も運動性も劣りました。そのため、対戦闘機戦闘任務には全く使えず、偵察もしくは爆弾を搭載した地上攻撃任務や対艦哨戒が主となっていました。実質的には艦上攻撃機(アタッカー)として運用されたようです。





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