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特集 蛇の目

 カーチス キティホークMk.Ⅰa イギリス空軍 砂漠空軍 第239航空団 第112飛行隊”シャーク”所属機 エジプト1942年 (ハセガワ1/48)

  by 寿



 援英機としてアメリカから色んな機体が供与されたけどキティホークMk.ⅠaはP-40Eと同等の機体でざっくり言えば短胴型の機体です。キャノピーも後方視界改善前のヤツだけど個人的にはこっちの方が好き。 「後は振り返らない」という姿勢が男らしくていいよね。どーせファストバックで後方視界は無いも同然だし。まぁ戦闘機に乗りにしてみれば「肝心要の真後ろが見えなくってヤな感じ」なんだろうけど。 



 よく日本を題材にした戦争映画なんかじゃP-40はゼロ戦にあしらわれた雑兵やられ役的な扱いされてますが(「パールハーバー」じゃ真珠湾上空でゼロ戦墜としてたけどね) 縁の下の力持ちというか欧州戦を含め大戦劈頭の一番苦しい時に連合軍を支えた大変な功労機だと思うのですよ。確かに性能こそ枢軸軍の機体と比べて見劣りしてるけど戦い方さえ工夫すればそこそこイケてた訳ですしね。



 P47だのP51だのがそろい始めた中盤から終戦にかけても生産され続けたというのはやはり頑丈で稼働率が高く生還率も高かったってところが現場に愛されからではと愚考する次第なのです。 生産性も高かったのでバカスカ損耗補填しちゃったしね。流石だよアメリカ・・・・



 兵器ってのは優秀であることに超した事ないけれどそれよりも大切なのは「間に合う」ということではないかしらん。当時の日本やドイツは国力の貧弱さから「量より質」に走っちゃったんだけどそこまでは分かります。資金や資源では到底敵わない訳だしどうしてもその方向にいっちゃいますよ。でもその後がよろしくない。 どちらの国も持ち前のマニアックさから際限なくエスカレートしていってその挙げ句「結局間に合いませんでした」というトホホ展開が多いよね。もったいねぇなぁって話ですよ。その資材と時間と労力をそこそこの機体に割いていれば幾分ましな状況だったのかもってのはよく言われる所です。「質で量をねじ伏せる」って気持ちは判らんでもないけれどやり過ぎはアカンよやり過ぎは。



 普段の生活だって全力出せば最高の仕事が出来るだろうけど四六時中全開バリバリなんて不可能な話でそんなん短時間しか持たないっすよ。ほどほどの労力で息長~く走った方が全体として良い結果を叩き出したりするもんです。マラソンで端から全力疾走する阿呆はおらんでしょ?(でも短期決戦を望んだ日本はそれやっちゃったよなぁ・・・・)
 戦争も日常もそこそこが肝要で此いわば中庸の効。そこそこ最高ほどほど万歳なのであります。

製作の詳細

(写真1)とにもかくもまずはコクピット周りと「アゴの中身」部分をエアブラシでぷー。近年のハセガワはクオリティは落とさずパーツ数が少ない所が魅力じゃね。とはいえこのキットも割と前のキットだけど。(気が付けば歳くってたっていう悶絶キョーフの展開)

(写真2) 機体内部を塗っちゃえばあっという間にカツオブシ状態となります。ぱぱっと形になるのはやっぱええのう。モチベーションが萎える暇ありませんがな。


(写真3)レバー類も手を抜かずにちょんちょんと塗る。まぁ目立つ所だけね。赤って色は色の王様なのでワンポイントにはぴったり。有ると無いとじゃ大違いですよ。

(写真4) ばしばしに接着剤塗りまくってがちがちにくっつけちゃう。隙間にはとーぜん瞬間接着剤流し込んで補強です。翼はヒコーキの要じゃからのう。ちゅうか接着はプラモの基本だし~。


(写真5)いつもスミ入れを最初にやっちゃうからものの見事にきちゃない。まぁ毎度のこった。不安にならないといったら嘘になるけど絵画の下書きだって似たようなもんでしょ。どんな状態からでも完成した姿を幻視するのがモデラーってもんだ。

(写真6) うん、作業は前回より一歩進んでいるのに不安が増しているってのは何故だろうね不思議だ。でも挫けないよ。ここで気持ちがコケたら最期だ。いざとなったら全部塗り直せるってのが心の支えなんだろうな、きっと。


(写真7) サンド系濃淡二色でオーバースプレーしたらちょびっと見られるように。おおう、悪くないんじゃね?ちょびっと安心の一時であります。

(写真8) うーん目が痛いね。しかしこれでもエアスペリオリティブルーで色味を薄めてあるのよエイザーブルー。ソ連機といい砂漠の英国機といいどーして下面色がこんなにケバい水色なのかな~日本の夏の空って思いのほか淡い水色だけどロシアや砂漠の空ってこんなにも蒼が濃いのかしらん?それとも単にふつーの英国機やドイツ機の下面色を見慣れているワタクシの感覚がズレているだけ?


(写真9) リタッチした後にべたーっとエナメルでスミ入れ。後でスミ入れするんだから最初のは要らないぢゃん、って言われそうだけどそこはそれ。上塗りでボカシを入れたい寿的には大切な作業なのでありますですよ。

(写真10) 拭き取って~識別帯入れて~スピナー塗って~



(写真11) ラウンデルをちょびちょびハゲちょろ気味に塗ったのは単にわがまま。砂漠の英国機の国籍マークって割と掠れてるんだよね。砂漠の砂のせいなのかはたまた強烈な日差しのせいなのかその両方か。更にキタナイのはコースタルコマンドの機体でラウンデルどころか全身が油やら排気汚れやら塩害やらでもうぐちゃぐちゃ。機体を磨きすぎて塗装までハゲちゃった日本機とはえらい違いであります。

(写真12) かさかさに塗り上げた上からスミ入れしちゃったもんだから全体的にスミ入れのブラウンが定着しちゃって色合いがすっかり大人しくなっちゃった。半ば分かっててやったんだけどなんだか少し寂しい気分になるのは身勝手ってやつですかね。
 でもまぁこれはこれで「個性」ってことで勘弁して下さい。



(写真13) どど~んと完成であります。迷彩がいまひとつぼんやりしちゃってるけどまぁ悪くないんじゃね?自画自賛でありますが・・・・
 ところでわたくし寿は常々シャークマウスこそP40の為に在る、否その為に作られたヒコーキこそがP40なのだと考えておりました。シャークマウスの無いP40などただの亜流、P40に似た別の何かなのであります。そしてそれが一番映えるのは砂漠迷彩だと信じておりまして今回それは正に正鵠を射ていたのだと確信した次第。
 皆様は如何お感じでございましょうか。

(写真14)


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