チャンス・ヴォート社というのは、戦前はF4Uコルセア、そして戦後は最後のガンファイターと呼ばれたF-8 クルーセイダーやA-7 コルセアIIを産み出した老舗の航空機メーカの一つである。そのチャンス・ヴォート社が、第二次大戦の終戦直後に海軍から発出された高性能艦上戦闘機の開発提案要求に応じて生まれたのが、このF7U
カットラスである。試作機XF7U-1は3機が製造され、初号機が初飛行したのが1948年9月29日のことである。その形状は当時としては斬新で、鋭い後退翼に双尾翼を配した、無尾翼の双発戦闘機であった。同社の前作のジェット戦闘機、XF6U-1
パイレートからは想像もできないスタイルと言える。もともとアフターバーナー付きのエンジンを搭載する計画であったが、アフターバーナーが間に合わず、推力不足のエンジンでの試験に加え、不具合も多発し、結局3機の試作機はすべて事故で失われる結果となった。 |
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そのため14機生産された初期量産型のF7U-1は、試験・評価に充てられ、改良型のF7U-2は生産がキャンセルされる羽目となった。そのためチャンス・ヴォート社は、並行して進めていた大幅改良型のF7U-3の生産に注力することとなった。F7U-3は若干大型化し、エンジンの推力もアップされた。また空母での運用に不可欠な離発艦時の視界の確保や、揚力の向上と言った技術的課題に応えるため、機首部の形状変更や前脚を若干伸ばすなどの変更が加えられた。そして1954年10月、、F7U-3はやっと最初のカットラス実用飛行隊となるVF-124に引き渡されたのである。 |