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特集 レッドスター

  フォッカーD.VII(MÁG)
(エデュアルド1/48 ウイークエンド版)

  by 平針みなみ Minami Hirabari

 エデュアルドのフォッカーD.Ⅶ(MÁG)のキットには、赤い星の国籍マークをつけたハンガリー赤軍機のデカールが入っています。
MÁGとは、Magyar Áltlános Gépgyárの略で、 ハンガリー総合機器工業と訳されているようです。第一次世界大戦末にオーストリア・ハンガリー帝国空軍で使用するフォッカーD.Ⅶを製造しました。
ナンバー3861、3863~3867の6機がフォッカーからハンガリーに送られたもので、ローゼンジパターンになっています。このうちの3867が、のちにチェコスロバキアで使われることになるものです。ハンガリー製は、単座機が93.01~93.26、復座機がH01~H10の番号がふられているようです。製造されたのはもう少し多かったようですが、資料によって違いがありはっきりしません。



  エデュアルドの1/48のフォッカーD.Ⅶシリーズは、2005年のFokker D.VII(OAW)でスタートし、順次バリエーションを展開し、2010年に(MÁG)のDUAL COMBOが出て、翌2011年に(MÁG)のウイークエンド版が出たということのようです。また、1/72のフォッカーD.Ⅶは2019年にスタートし、同年に(MÁG)のリミテッド・エディションも出されています。

フォッカーD.Ⅶ(MÁG)の1/48のデュアル・コンボや1/72のリミテッド・エディションのキットには、ハンガリー赤軍、チェコスロバキア、ルーマニアの3カ国の10種類の塗装のデカールが入っていますが、今回作ったウイークエンド・エディションでは、赤い星のハンガリー赤軍機(1919年 93.07)1種のみです。
ここで注意したいのは、いくつかの通販サイトなどで(MÁG)のキットを「ソ連軍」と記載したり、10種類のデカール(ロシア/ソ連×6、チェコスロバキア×3、ルーマニア×1)と表示したりしていますが、これは誤りです。キットの塗装図の説明にはHungarian Red Army ×2、Czechoslovakia Air Force ×7、Romanian Air Force ×1となっています。チェコスロバキアのうち4種は国籍マークが3色ラウンデルなので、ロシア機と勘違いしたのか、ハンガリーの赤い星2機とチェコスロバキアのラウンデル4機をロシア/ソ連としてカウントしたとすれば数字が合います。なお、これらの6種の塗装の機体はソ連が成立する以前のものです。キット紹介の解説文を書く人は、キット付属の塗装説明などは見ないのでしょうか。



   ハンガリーは、第一次世界大戦にはオーストリア・ハンガリー帝国として、ドイツ帝国側で参戦し敗戦国となりました。戦後、オーストリア・ハンガリー帝国は解体され、1918年10月31日に共和制国家のハンガリー人民共和国が成立するも、翌1919年3月にハンガリー共産党によるハンガリー革命が勃発し、ハンガリー社会主義連邦ソビエト共和国(1919年3月21日~8月6日)が成立。この時の国旗は赤い細長い長方形で、国章は赤い星でした。しかしこの政権は、隣国ルーマニアの介入で打倒され、1920年3月にはハンガリー王国の成立が宣言され、第二次世界大戦の終結まで続くことになります。(1946年2月1日王制廃止)
 ということで、ごく短期間だけ存在した「赤い星」をまとったハンガリー機です。

エデュアルドのフォッカーD.Ⅶ(MÁG)のキットですが、とくに問題となるようなところはなさそうですが、機銃の銃身を真鍮パイプ、動翼の作動アームを真鍮棒にそれぞれ置き換えました。



塗装については、キットの箱の裏に塗装図がありますが、デカール番号がキットのものと違っています。この図は、所蔵しているデュアル・コンボのキットの塗装図をそのまま流用しているようです。また、機首の金属部分の色名・カラー番号の指定に誤りがありますが、1/72のリミテッド・エディションでは訂正されています。
 デュアル・コンボ版では、ハンガリー赤軍機はローゼンジとクリアードープドリネンの2種ですが、ウイークエンド版ではクリアードープドリネンのもののみ。塗色はMr.カラーC45セールカラーが指定されています。そのままだと濃く感じたので少しホワイトを混ぜました。国籍マークの下地の白は、ホワイトC316に少しセールカラーを混ぜて塗ってみましたが、胴体は塗り忘れたのでキットのデカールをそのまま貼ったので、白さに差が出てしまっています。機体番号はキット指定の93.07ではなく93.09にしています。 資料(Fokker D.Ⅶ Foreign Colour Schemes an Insignia Colour Guide with 1/72nd or 1/48th scale decals, Blue Rider Publishing, 2001)に両機の図が出ていますが、違いは主翼上面の国籍マークの部分で、93.07はエルロン部分に白帯が塗られていませんが、93.09は塗られています。白帯の位置も少し違いがあり、93.09の方が少し内側です。また、赤い星のサイズは93.07の方が少し小さくなっていますが、キットのものは大きめで93.09にちょうどよさそうです。なお、この資料にはオーストリア・ハンガリー帝国の鉄十次国籍マークの93.07も掲載されています。


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