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  Su-2 (ICM 1/72)

  by 加藤 寛之

 あのスホーイが手掛けた飛行機だが、知らない人の方が多いのではないか。原型の初飛行は1937年というから、日本でも似たような軽爆撃機を造っていたころ。そのソ連版といったところ。
 何でこんなカッコなんだろう・・・、と思う。一つひとつみると、理屈はわかる。でも、まとまってみたらコレですか・・・、みたいな形だ。


 ICMのキットは、金属製とみられる主翼全面にはとても細かいリベットが打たれ、胴体はツルツルだから実機は木製なのだろう。そういう作り分けが明確。風防ワクにも、細かいリベットが打たれている。脚カバー内面にも丁寧なモールドがあり、パーツを眺めるモデラーには魅力がある。
だが、作るとなるとそう楽ではない。接着面の整形は当然として、厚み調整とか、どうやって接着するのか考えるとか、成形不良部分を加工するとか、そういうことを丁寧にやっていく必要がある。主翼全面のとても細かいリベットは、細かすぎて表面がモヤッとしているように見えてしまう。これはちょっと残念だ。



 コックピットは数パーツで組む。これが胴体下面から挿入できる。胴体内面に接着すれば胴体の幅を確定できる。これは組みやすくていい。回転式銃座も上から置く方式なので、便利。ただ、エンジンの取り付け方法が甘い。ここは接着剤が固まらないうちにカウリングをつけて、適切なエンジン位置を見つけだすことになる。
 主翼パーツは単純な構造。動翼類は上面にモールドされている。動翼部分との境目の厚み調整と接着面の整形は必須。特異な構造は、主脚取り付け部分を下翼内面に接着する仕組み。精度からみて左右が揃うとは思えない。実際にも傾いてしまい、タイヤの接地部分を少し切り落として合わせる必要があった。組みあがった主翼は、前縁・後縁ともにシャキッとしていないので、真っ直ぐに整形。厚みも微妙に揺れるので、ナナメに見ても真っ直ぐに見えるように削る。下面後縁には窓がある。透明パーツよりも穴が小さいので、穴を大きくする。面も合わないが見える場所ではないので、テキトウに終わりにする。下面には爆弾倉扉があって、開状態にして爆弾を装着できるようにもなっている。これは私の好みで閉じた。
 水平尾翼は左右一体の一枚モノ。これを胴体後方から挿入する構造で、意外なほど上手く入る。そのため尻尾が別パーツになっており、この精度が低い。まあ、後ろで見えにくいから、テキトウに整形してOKとする。
 この水平尾翼に合わせて、前から見て主翼がナナメにならないように胴体へ取り付ける。これまた、意外なほど水平尾翼に合う・・・が、右前で胴体側フィレットと段差ができる。パテで整形すればいいのだが、無視してそのまま許容した。
 風防は取り付け部分の整形と合わせ調整をすればOK。回転式銃座のドームは左右分割で、特に問題なし。前方に実機にない分割線が残るが、風防内になって見えにくいので、スジを黒で塗っておけば気付かない。



 塗装は簡単。その辺りにあった緑色と水色で塗る。そういえばSu-2には主翼フィレットの後方に小さな丸窓があったと思うが、このキットにはない。なくてもいいのか、省略なのか、全然、わからないが、それらしく描いておいた。垂直尾翼端の赤白はテキトウにやりすぎて、酷い後ろ下がりになってしまったが許容範囲。 ただ、数字「09」のデカールが大きすぎて指定位置に貼れなくて、“まあいいや”で下げて貼った。ところが完成後に、別箱のこの製品があることがわかり、その箱絵ではラダーに「09」が描いてあった。どちらが間違っているのか、どちらも正しいのが、どちらも違うのか分らないので、気にしない。



 とりあえず完成する。
面白い形ではあるが超カッコ悪いし、模型としてもシャキっとしない。ソ連機マニアでもないと、実機も知らない。高精度のキットを作っている人には想像もできない「以下、よろしく」的な製品。
そういうプラモデルだが、印象は似ている。新キットが次々と発売されるとは思えないので、キットが売っていたら「買っておいて損はないです」と言いたい。でも、トクもしないと思う。



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