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イタリア王国海軍潜水艦 “シレ“

by 愛知県在住 作者 清水 栄治



経緯について
 2019年開催の静岡ホビーショーに行った時のことでした。メーカー、モデルクラブと一通り見終わって有料のアウトレットブースに行ったとき洋書コーナーがあり珍しさに見いってしまいました。なな、なんと”カゲロウ“専門の出店でした。表紙のきれいさに驚きました。ネット販売で値段を見る限りでは相当高いと思っていました。しかし本日は値引きがありました。この本はどんな人が購入するのかなと思いつつ店員さんに中身について説明を受けました。やはりフルスクラッチ用で3Dキャドを駆使した内容で詳細な個所もたくさん描写してあり大変重宝する内容に感じました。他に軍艦シリーズは圧巻でした。ただシュリンクパックがしてあり中身が見えないので購入を条件にそこで中身を拝見しました。私のほしいものが全て記載されていてこれは大満足、今回はこの中でも比較的値段の低いもので、全く知らないイタリアの潜水艦に決めました。



製作について

 カゲロウの本には平・立・断の図面が載っていますがサイズがいろいろで全て1/72に拡大コピーを取る必要があり自宅ではできないので友人の職場の特大のコピー機で図面を作りました。



 材料は全てタミヤ製のプラ板、プラ棒を使います。まず船体の作成から、中心にはソリや曲がりを防ぐために径5㎜のステンレス棒を挿入しました。それを8mmのプラ棒の中に通して芯材にしました。




船体は断面図に従って厚さ1㎜のプラ版で21断面作ります。その断面を4㎝ピッチで芯材にくし刺していきます。これで骨格が出来上がります。







次は船体面になりますが今回は曲面の塊でブロアータンクを後付けにしようかと試行錯誤した結果一括で取り付けるようにしました。船体は0.5mmのプラ板を4㎝×3~4cmサイズに切ったパーツを断面に沿って貼っていきます。



船体は乾燥後曲面を出すためにかなり削り取る必要があるので2回目の0.5㎜プラ板を張っていきます。接着剤は実績から行くとハンブローが一番です。強力にくっ付きます。船体の最上部のR個所ですがこれは後で均一に削ることができないので2㎜の丸プラ棒で表現しました。そこへ船体水抜き穴用のパーツを(別途作成したものを)ここも2度貼っていきます。乾燥後水抜き穴をピンバイスとやすりでコツコツと穴をあけていきます。これは大変な作業です。ここで十分乾燥後船体をやすり、耐水ペーパー、砥石でコツコツと削っていきます。細かな隙間がたくさん出てきますが、そこを瞬間接着剤、エポキシパテで埋めて成形します。



 船首の魚雷穴はドリルで穴開けて中の筒を0.2㎜プラ板で成形します。水中翼は可動するように工夫を凝らしました。





 船尾にはものすごいものが待っていました。魚雷発射管、舵、水中翼、スクリュー全て手作りですが魚雷発射管はドリルでくり抜きプラ棒を挿入、そこへ扉の取り付け、その扉は可動。スクリュー及びそれの保護架?これの曲線はてこずりました。何度も失敗、3次元は寸法なんかあてになりません。挑戦あるのみ。おかげでうまく収まりました。これらは全て可動。



 船体が全て出来上がったところでグンゼのサフェーサー(♯1200)を吹き、乾燥後耐水ペーパーで塗布幕を均一に成形。ここまでで道半ば(約3か月)これから上部に入ります。まず、艦橋の製作、これは骨組みを作りそれに0.5mmプラ板を楕円形に切り出したものを張っていきます。これは型紙を作り楕円形が回り込んでどんな局面になるのかを確かめてから取り付けました。1階と2階になっていますが双方この手順で行いました。



 デッキですが縞鋼板の模様が悩みの種ですがここはコツコツと極細の伸ばしランナーを1.5㎜長さに切ったものを縦、横とジグザグに接着していきます。次は甲板デッキになりますがここは水平が肝心ですが4㎝ピッチの胴体断面の最上部を全て(21か所)削り合わせました。ここへ甲板(0.5㎜プラ板)を張りますが、その前に木材幅(1.5mm)毎にスジボリを入れます。ここではあらかじめくり抜き穴をあけておきます。木目がそろうように甲板長を長めにして胴体最上部の2mm丸プラ棒に接するように両サイドをテーパー仕上げにして接着いていきました。



 今回の目玉になる人間魚雷の格納庫になりますが、格納庫になる筒の材質に悩みました。プラ板で作ることは可能ですが従来だと0.5mmプラ板を幅5㎜程度に切り、それを芯材に沿ってスパイラル(らせん状)上にグルグル回して接着していけばできるものですが(私の定番)これには3個作るために長い時間を要すためにあきらめました。ここでは塩ビ管を使いその表面に0.3㎜のプラ板を接着しましたがプラ用の接着剤で効果があるのか不安でしたがうまくくっつきました。筒ができたらリブ(1㎜プラ棒)を曲面に曲げて接着していきます。ここで一つは扉を開けて中がのぞけるようにと思いそのように加工しました。ここまで大まかなものは完成。あとは小物を作っていきます。







 塗装に入りますが、色合わせが大変でした。常識でいけば軍艦色に艦艇色になりますが、これは困った確かなのは本の色が頼り。コツコツとグンゼラッカーカラーを感に頼り2色調合しました。基本は緑色で鼠色がかった色ですが艶消しを80~90%にしました。



 艦艇色の境目(吃水線)を一直線にするためにツルツルの化粧板があったのでそのうえで直角定規を使い鉛筆で直線を引いていきました。その後極細のスジボリを入れました。これはマスキングをするときにガイド役になるために施しました。



 塗装が完成したら最後は艦橋、魚雷格納庫、小物等取り付けていきます。おまけにイタリア国旗(0.1㎜プラ板)切り抜きファレフォの塗料で手書きをして取り付けました。これで全て完了



全体をとおして
 又今年の夏もフルスクラッチをしてしまいました。なかなか作業に入る前に意気込みがいりますが、今回はなかなかその気になれませんでした。何か目標があればことは進むものですが今回はなかったのかなー又コロナが影響したのかなーとも思いました。こうして出来上がってみると昨年感動した思いがよみがえってくるところがあります。それはうまく完成にこぎつけたことと色合いが本のイメージとぴったり合ったことだと思いました。“終わりよければすべてよし”これにつきます。






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