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特集 ギミック

BELL X-1 & DOUGLAS X-3 (DRAGON 1/144)

by 五六式(TYPE-56)



 今回は,”ギミック”の特集に合わせて,透明ボディが用意されているドラゴンのベル X-1とダグラス X-3を製作しました。

<実機について>

・ベル X-1
 B-29に搭載されて空中発射され,ロケットモーターで加速(ここまでは,桜花と同じ。桜花には”BAKA BOMB←バカボンだとォ?”というコードネームがつけられていた・・・怒・・・。),音速を超えて飛行することを目的として開発された実験機。
 1947年10月14日,エレ・・・もとい,チャック・イェーガーの操縦により,水平飛行で音速を突破,機体の改良などを経て,飛行速度マッハ2.24まで速度記録を更新し続けた。

・ダグラス X-3
 ジェットエンジンを装備した機体で,自力で離陸し,音速を超え,マッハ2で飛行することを目的として開発された実験機。
 極端に細長い胴体や小さい主翼により,機体の空気抵抗を低減するという構想だったが,装備したJ-34ジェットエンジンの推力不足のため,水平飛行で音速を突破することは出来ず,急降下でマッハ1.25を記録するにとどまった。

<キットについて>

・ベル X-1(2機セット)
 スライド金型により,胴体を前後2つの透明部品で構成している。
 その透明な胴体の中にロケットモーターや燃料タンクなどを入れてディスプレーすることが出来る。
 デカール2機分とスタンドが含まれる。
 内部や脚周りの部品構成は,タミヤ・ウォーバード(元は,ホビースポットUオリジナルキット)のものと酷似しているが,機体自体の部品構成やディテールなどは,さすがに21世紀のキットにふさわしいものになっている。


・ダグラス X-3(2機セット)
 部品は全て透明部品。スライド金型により,胴体を前後2つの部品で構成している。
 胴体の中に入っているのは,ジェットエンジンとジェットノズル,操縦席のみ。X-1のキットの経験を踏まえてか,過剰な精密表現はなく,1/144スケールキットに相応の組みやすいものとなっている。

<製作>


 両方とも,細部の塗装指定が一切ありません。よって,X-1は,ホビースポットUオリジナルキットの説明書(タミヤ版ももちろん,OK)を,X-3は,AZモデルの説明書を参照しました。これらのキットを入手しない限り,製作に入ることができません。


 部品を一週間,中性洗剤を溶かした液に漬けていたのに,塗料をはじきました。さすが,中華キット。仕方が無いので(気をつけていても手が荒れる)ファインモールドのご機嫌クリーナー(離型剤落とし)でもう一度洗浄しました。


・ベル X-1
 胴体に燃料タンクやロケットノズルを仕込むため,テールヘビーになりますが,組み立て説明書には一切の説明がありません。尻餅をつくのが前提なのか,スタンドが付属しています。かといって,飛行姿勢にすると,パイロットのフィギュアがついていないので不自然です。流用しようにも,1/144スケールのキットに付属するパイロットフィギュアそのものが少ないし,X-1の飛行時のパイロットの姿勢は,膝を伸ばしたまま座るというものだったのでフィギュアの改造も必要です。

 で,Uのキットの説明書を見ると,前の方の燃料タンクに7gおもりを仕込むと書いてあります。このキットは,半分の寸法なので必要なおもりの重さは,7/8g,約1g仕込めばよいということになります。五六式は,釣り用の粒おもりをタミヤのプラパテと一緒に仕込んでみました。
 
 機体に内蔵させる部品の組み込みは,ややきつめになっています。部品を塗装すると,さらにきつくなるので部品の上下にある位置決めのための出っ張りを削って調整します。強引に部品を差し込むと,二度と出せなくなるので調整は慎重に。




 赤丸のところを削って調整する。青丸のところにおもりを仕込む。

 主脚は,取りつけ用のだぼの精度はよいのですが,接着面が小さいのが難点。主脚部品は上下の区別があるので注意。主脚柱が,一旦,斜め下に下がるように取りつければ正解です。

 説明書には,主脚カバーを開閉させるステーの取り付け位置が主脚庫の後部につくよう図解されていますが,これは,誤り。ステーの取り付け位置は,主脚庫の前部です。

・ダグラス X-3

 X-1より部品数が少なく,組み立てやすい印象。


 機体背面の透明部品にランナーの跡ができます。マスキングテープで養生してから,1000番の耐水サンドペーパーとコンパウンドで処理しました。 


 順調に製作が進んでいたのですが,ある日,塗装した部品を乾燥させていた車庫に入ると,パキッという音とともに足の裏に妙な感覚が・・・!!乾燥させていた前部胴体がなぜか足下に転がっていたのです。幸い,バラバラにはなっていなかったので,次の日,気を取り直して1日かけてリカバーしました。


 背部のパネルが取り外せるので,塗装仕上げにしても後からエンジンを見られます。タービンラインは,デカールを貼って一夜明けると,一部無くなっていました。心が折れつつ,マスキングテープの力を借りて手描きしました。
 ちなみに,キットの塗装図には,タービンラインが上面にしかなく,デカールにもその分しかありません。しかし,タービンラインは,下面にも入っているのが正解。キットに入っている2機分を,全面白の塗装で仕上げようとすると,タービンラインのデカールが足りなくなります。・・・この場合,やっぱり手描きか・・・。

<完成>


BELL X-1 MACH BREAKER


 燃料タンクは,ジンクロメイトで塗装しています。 


キャノピーの枠は,息を止めて面相筆で少しずつ描き込みました。


 DOUGLAS X-3 STILETTO


 機体内部の部品は少なく,シンプルな構成です。


 細長い胴体と小さな主翼という点でF-104に似ていますが,エンジンの出力や空気力学上の洗練度でF-104の方が圧倒的に勝っています。


 X-1とX-3の比較。X-1の全長は,P-51マスタングと同程度。X-3のそれは,F-105より少し長い程度です。


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